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コラム

「魚系居酒屋」トレンドの拡大・進化の行方

「ホルモン」「餃子酒場」「鳥料理の進化」と並び、海鮮をコンテンツとした「魚系居酒屋」も2009年の軸トレンド"として根強い人気を保っている。どこまで拡大、進化してくのだろうか? "

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


そんな「魚系居酒屋」業態の拡大・進化傾向を大きく三つに分けてみた。一つは、「魚系居酒屋」業態を代表する「水産系」。“浜焼き”“海鮮酒場”業 態を新たなビジネスモデルとして確立した浜倉好宣氏(浜倉的商店製作所社長)の「丸冨水産」に代表される“浜倉モデル”。トロ函と卓上コンロ、魚貝プレゼ ンテーションが決まりごとスタイルで、いまや「○○水産」という“浜倉モデル”を模造したネーミングが増殖している。大手居酒屋チェーンによる既存店の業 態転換、仲卸など専門業者による参入、フランチャイズパッケージの登場等、この「水産系」は乱立気味となっている。 具体的には、「水産系」では「磯丸水産」が新しい注目店。サムカワフードプランニングが吉祥寺に続き池袋も新たに開店させた。専門業者による参入で は、水産会社らしい力技での出店の神田の「丸ト水産」。水産会社経営らしく店先には鮮度と品そろえの証のような船形水槽が置かれている。卓上コンロ焼きの ほか、驚きお得の刺身盛り合せや充実する鮮魚メニューで、千葉県などですでに多店舗を展開する実績を作っている。同じく船形水槽が大きく目を引く「徳寿」。大分県から漁師が直送するサザエ、あわびが卓上コンロ焼と合わせた看板商品としてかなりお得に提供し、人気となっている。また、北千住の「寿一郎 二郎」は串焼きで人気のちゃらりの新業態である。浜焼きのほかにも串焼きや揚げ物といった居酒屋定番料理とお酒でカジュアルな居酒屋ポジションを作ってい る。神田神保町の横丁に開店した昭和レトロな大衆酒場をイメージした環境の「魚百〔うおぴー〕」は、厳選の卓上コロンの浜焼きと下町のお酒が看板商品の今 までにはない進化系なかでも注目である。 「魚系居酒屋」の二つ目の傾向は、地場産業活性がベースとなる地元直結のご当地海鮮を看板商品とする「海鮮郷土系」である。海鮮系郷土料理業態を リードしているのは、島根県に本店を置く「かば」と根室市のバックアップを強みにした「根室食堂」。「かば」では総合的な構成力で居酒屋業態としての完成 度も優れている。「根室食堂」でなんと言っても立呑み業態のポジションを引き上げた、北海道産高級食材のお値打ち感提供にある。新規登場では、仙台に本拠 地を置き、ホテル、飲食を展開するエムケーコーポレーションの「まるとく漁業部」。宮城県直送の魚貝を中心に水産卸しの強みを活かした鮮魚のレパートリー にある。 そして、三つ目の傾向は、居酒屋ポジションの“新海鮮業態”であり、新たな業態コンテンツを提案する「ニューウエーブ系」である。なかにはスタイル やコンテンツをコンプレックスする複合型も見られるが、新しい魚系居酒屋が誕生している。その「ニューウエーブ系」の一つである、蠣と刺身が看板商品の和 風オイスターバー「魚や粋」は、築地場内仲卸しの経営で魚屋を仕舞った後、酒場として開く。渋谷に続いて六本木に開店した「あぶらぼうず」では刺身に魚貝 の鉄板焼に加え、居酒屋としての惣菜料理や鉄板料理のレパートリーを持ち、バル的な魚貝酒場の一面を作り出している。渋谷の「地魚屋台浜ちゃん」は、刺身 と市場の天ぷらを看板商品に漁師の煮魚と全国から届く魚貝を余すところなく提供するがコンセプトの大衆食堂である。ユニークなコンテンツやオリジナルなコ ンセプトの店舗が多い「ニューウエーブ系」からは今後のトレンドのキーワードとなる要素も高く目が離せない。

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