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コラム

“ポスト・スペインバル”洋業態トレンドの行方は?

"スペインバル"ブームが終息し、洋業態トレンドはいまどうなっているのか?"イタリアンバール""ビストロワインバー""ビアバー"などが次々に登場してきたものの、人気を集めているのは実は"ベタコテ系和業態からの進化系"である。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


魚介系居酒屋で“独り勝ち”といわれる魚金グループが手がける洋業態「ビストロuokin」の五反田店が10月29日オープンした。新橋、池袋に続く3店舗目だが、今回は新築ビル1階のスケルトン物件。内装面でも完成度の高い店である。手ごろな価格のワインと“ストーブ(鉄鍋)料理”に加え、ヒュージの新川さんがリゴレット中目黒店で取り入れた“タジン鍋”も登場、東急レミー裏の隠れ家立地にも関わらず、連日大賑わいを見せている。すぐ近くには和の「魚金」があり、それが進化した洋の「UOKIN」という対比で見れば、いまの最先端トレンドが読み取れるのではないだろうか。“スペインバル”ブーム以降、しばらくヒット業態に乏しかった洋業態だが、“和系からの進化”というキーワードが浮上してきた。

“和系”といっても、目下のトレンドはベタコテ系、低価格路線である。そのエッセンスを踏襲した“がぶ飲み・ちょい飲み”系が強い。和では生ビールにハイボール、ホッピーが主役だが、洋ではもちろんワインが主役になる。面白いのは、ハイボールは洋業態にも似合う。渋谷の立ち飲みで不動の人気の「富士屋本店」。ここも魚金グループ同様、洋への参入をして大成功を遂げた。その店が桜丘エリアにある「富士屋本店ワインバー」だ。メニューには「鮎のオイル煮」や「白ねぎのマリネ」など和業態がベースにあるからこそ生まれた“和洋折衷メニュー”が多い。“純粋洋”からは生まれない発想で新しいメニュー、業態を創る。ここがポイントの一つだろう。そのパターンでいえば、もつ焼きい志井グループの「新宿三丁目ホルモン横丁」の“ハラミ専門店”「Burrari」や11月4日、神楽坂に続く人形町店がオープンした「魚串さくらさく」(洋業態ではないが)も和の食材をワインに合わせるという点で要チェックだ。

「ビストロUOKIN」ヒットの決め手になったストーブ料理も、和の“煮込み料理”的な発想で客からは捉えられている。9月にオープンした「中目黒グリル」は“アウトドア料理”をコンセプトとしているが、売りは“ダッチオーブン料理”。肉や魚介、有機野菜の炭火焼から、素材の旨味をじっくり引き出すダッチオーブン(鉄鍋)を使った様々な料理を出す。ダッチオーブンも和の鉄鍋料理と連なる。ワインもリーズナブルなデイリーワイン(ボトル3,000円以下のもの)を、安いグラスではなく、最高級のリーデル社製を使用。ワインはグラス次第で味が違う、というのは私の実感でもある。デイリーワインといえば、「安かろう悪かろう」というイメージが強いが、そこを“アウトレットワイン”の導入という裏技でカバーしたのが「渋谷ワイン酒場」「恵比寿ワイン酒場」というヒット業態を創ったスタジオナガレ。11月5日、同業態では3店舗目、経営は「ぶけなび」を運営するマウントウィナーズの「神楽坂ワイン酒場」がオープン。料理はやはり“壷漬け”“煮込み”という和のエッセンスを取り入れたもの。これも洋業態の最先端トレンド店に加えていいだろう。

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