ゴールデンウィークに最近話題の飲食店のオープンが相次いでいるというので、町田を訪ねてきた。小田急線とJR横浜線の町田駅が交差する駅前には、東急、丸井や109などの商業施設が建ち並び、南口一帯は大手チェーンのカフェや居酒屋が密集している。大学が多いことから“学生の街”といわれる一方、古くからある商店街も多く、「仲見世通り」などは開業60年の歴史を誇り、町田の文化遺産的存在になっている。その「仲見世通り」の近く、若者が集まるパークアベニュー商店街の「日高屋」の上に3月21日、カフェ「44 APARTMENT」がオープンした。ニューヨークのSOHOにあるようなソーシャルカフェをイメージしたコンセプトで、パンケーキやフレンチテースト、エッグベネディクト、ハンバーガーなどを提供。ドリンクも豊富で、“究極の夜カフェ”を目指すという。3階は屋上テラス席となっており、町田のこのエリアにはなかったオシャレなスタイルの店だ。経営は、町田・相模原の「MACHISAGA」エリアで24店舗の飲食店をドミナント展開するキープ・ウィルダイニング(保志真人社長、保志智洋副社長の兄弟経営)。保志真人さんは、居酒屋甲子園創業メンバーの一人で、いまでも幹部として活動している。
同社はもともと居酒屋中心の経営だったが、町田ではすでに「CAFE KATSUO」「LATTE GRAPHIC」「ZERO ONE」などのカフェのほか、「DAN-CHICKEN-DAN」「OSTERIA 3903」などのイタリアンやスペインバルを10店舗展開している。3年前に本社を小田急線町田駅北口に移転して、本社ビルに「CAFE KATSUO」「OSTERIA 3903」をオープンしたのがきっかけとなり、「町田のカフェのランドマーク」とさえいわれる存在になった。保志社長はインタビューなどで、「街を変える存在として地域に密着した店づくりをしていきたい」と語っているが、まさにそのようなポジションになってきている。カフェ展開の責任者として現場で指揮をふるう保志智洋副社長は「3年前に町田に出てきてから、この街がカフェやワインの店などを求めているということがわかりました。もっともっと町田の街を面白くしていきます」と話してくれた。5月19日には、老舗の「珈琲の殿堂 プリンス」跡に「The CAFE」をオープンする。飲食業界で“町田の独り勝ち”といわれるキープウィルグループの今後の展開からは目が離せない。
そんなキープウィルグループの金城湯池に殴り込みをかけたのが、アジア系ビストロで勢いのあるグローバルダイニング卒業生グループ。まず、池袋でブレークしている「アガリコ」のBig.Belly大林芳彰社長が、北口の駅至近の場所にFC店舗「アガリコマサール」を2月に出店。4月21日には多摩プラーザや新百合ヶ丘などの西東京エリアで「アジアンビストロDai」などを展開しているプレジャーカンパニーの望月大輔社長がはやり北口エリアに8店舗目となる「トラットリア&ピッツェリアDai」をオープンした。時ならぬ“GD卒業生の町田戦争”の勃発である。彼らはサービスのレベルが格段に高いし、センスある店づくりに定評がある。町田の飲食マーケットを一気に底上げするパワーを秘めている。さらに、渋谷、六本木な都心部で5店舗を展開しているビアバー「アボットチョイス」が北口の好立地に進出してきた。経営はDinner Rush(泉一雄社長)。「町田で最多のタップ数」という20タップで世界のクラフトビールを提供する。ワインの店が急増している北口エリアにクラフトビールで殴り込み。私が訪ねた日も、やっと1席が空いていた状態で、ひっきりなしに客が訪れていた。「町田エリア」、とくにこの北口が大きく変貌を遂げようとしている。