コラム

2014年、勝つために何をすべきか?

2014年が始まった。飲食業界には、食材偽装問題、原材料の値上げ、そして消費税の値上げという逆風と、和食(日本人の伝統的な食文化)の世界無形文化遺産登録決定、景気回復傾向という順風が吹いています。2014年、飲食店経営者が勝つためにどうあるべきかを考えてみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


2014年の飲食マーケットを見る場合、まずもって、消費者、顧客のさらなる外食に対する価値感の変化、ニーズの多様化、高度化により、「従来型の業態枠が取り払われて新しい概念によるマーケットの再構成、再構築が始まる」ということを認識しておく必要がある。「業態枠が取り払われる」とはどういうことか。2013年8月8日付けののコラム「業態から業型の時代へ」で私はこう書いた。
「業態=顧客にどのように売るか。
それに対して、
業型=顧客に価値を伝える仕組みをどうつくるか、ということである。『我々が顧客に与えられる価値とはなにか』(ミッション)、そして、その仕組みをどうつくるか」(業型発想)を考え抜き、実行すること。それによって、競争状態から突き抜けることができるのである」
また、こうも書いた。
「業態の枠を破ることによって、イノベーションが生まれるのだ。それは、新しいビジネスモデル(業型)の創造でもある。そこで、私が提唱したいのは、外食、飲食業界も『業態づくり』から『業型づくり』へ脱皮しなければ、これからの飛躍はないということだ。
『業態』をいくら量産したところで、陳腐化するのは目に見えている。ある意味で『何屋かわからない店づくり』のなかにこそ、イノベーションのタネがあるのかも知れない。そこに挑戦する企業こそ、先端企業ではないか」

そして、今年は業態のみならず、国境の枠も取り払われる「ボーダーレスマーケット」が到来する。その根拠は、外食、飲食のアジアを中心とする海外進出の本格化と「和食;日本人の伝統的な食文化」の世界無形文化遺産への登録決定がもたらす「グローバル標準化」だ。これからは、「業態」ではなく「文化」としての飲食コンテンツが世界に出ていき評価にさらされることになる。このようなボーダーレスマーケットにおいては、「ネオ・コンセプト」「ネオ・バリュー」づくりを踏まえた「業型」発想が重要になる。そうしたなかで、飲食店経営者が心がけておかなければならないキーワードを3つあげておきたい。

1、顧客があなたの店に行く「目的」、すなわちあなたが自分の店をやる「意味」を問い直し、明確化すること。つまり「ミーニング(意味づけ)」がまずキーワードの一つ。串カツが流行れば串カツ、馬肉が流行れば馬肉、日本酒が流行れば日本酒といったた「同質化の罠」が危ない。経営と店づくりに明確な「ミッション」があり、将来への布石なら問題ないが、単なる追随では続かない。

2、差別化、オリジナリティとは何かをもう一度真剣に考え直してみる。自店、自社の立ち位置、ポジションを再確認すべきということだ。この「リ・ポジショニング」が二つ目のキーワードである。

3、そして、「ミーニング」「リ・ポジショニング」ができたら、決して軸をブラしてはならない。大事なのは足元固めと深掘り。そこに唯一の「バリュー」という鉱脈がある。ここからは、いかにクリエイティブにそれを特化できるかだ。“究極の特化”すなわち「スペシャライジング」が三つめのキーワード。コンテンツだけではない、これから求められのは「バリューの特化」だ。真似されても陳腐化しない業態を超えた「文化」をつくるカギはそこにある。
 

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