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コラム

2014年の飲食トレンドを予測する!

2013年が終わろうとしている。12月の売上げだけを見れば、史上最高の数字を叩きそうな飲食店も少なくないだろう。アベノミクスがたしかに功を奏し、大企業のボーナス支給増額や接待復活の波を受けて、飲食ミニバブル"の現象が垣間見られるのは事実だろう。しかし、実態はどうか...。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


私は、暮れの“飲食ミニバブル”は一過性の現象だと見ている。年を越せば、原材料のさらなる高騰や消費税の値上げなどのアゲインストの風が待っている。そんななかで、「行く理由のない店」は淘汰されるだろう。来年は、今年よりもさらに「行きたい理由の明確な店」に顧客が集中するようになるだろう。立地や客単価よりも、よりコンテンツやバリューが重要視されるに違いない。では、どのような業態や店舗が勝ち組としてクローズアップされるのだろうか?今年を振り返ってみると、業態トレンド的に顕著な動向は以下の4点に代表されるのではないか、。

1、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」に代表される“ハイクオリティカジュアル業態”が人気をリードした。その路線を踏襲した「ドラエモン」などが注目された。圧倒的なサプライズMDの勝利だ。沖縄からタイへ展開している「銀次郎」グループ、福岡の「フィッシュマン」など地方勢力も台頭してきている。
2、一方、“ネオ大衆酒場業態”も堅調に推移した。「鳥貴族」の好調さや「串カツ田中」の急成長がその動きを代表している。
3、非アルコール業態の新主役たちも脚光を浴びた。ファストフードでは「丸亀製麺」の伸び、朝食マーケットを開拓したパンケーキやエッグ業態も大きく伸びた。
4、アルコール分野では、日本酒とりわけ純米酒がクローズアップされた。飲み方もグラスワインで飲む、小ポーションの利き酒で楽しむなど、スタイルが一新した。日本酒のほかにも、国産クラフトビールや日本ワインも市場を広げた。これらの“和酒”の勢いが大きな波となった。

こうした動きは、2014年に入ってからも続くと見る。大手チェーンも、こられらのインディーズ系の勢力に刺激され、何十年にわたって守り続けてきた“FL管理至上主義”を捨て始めた。しかし、それが中途半端に終わっては経営陣の自己満足に終わるだろう。どこまでマーケットに忠実に、そして誠実にそれを定着させられるかがポイントになる。これらに加えて、2014年に新しい動きとして出てくるであろうトレンドは、以下の4点だ。

1、バルから、ネオ・ビストロへのシフト。これは来年の大きな潮流となるだろう。「がぶ飲みワイン」や「せんべろ」よさらば、これからは「じっくり食べ飲み、しかもカジュアル」がトレンドになる。料理だけでなく酒類MDにもこだわった“東京スタイルのネオビストロ”が次の時代を切り拓く。たとえば12月10日に五反田にオープンした和ビストロ「クラフトマン」だ。2014年の最大のテーマは「ハイカジ業態の進化」である。

2、景気回復はまばらながら、局地的な“ミニバブル現象”は続くだろう。いわゆる“大人の遊び”的なコンテンツを打ち出したバーやラウンジなどが復活の兆し。しかし、カジュアルな使い方もできるような幅の広い業態がこれからのトレンド。“横丁の仕掛人”が銀座コリドー街にオープンした24時間営業の「リブハウス」「オーシャンハウス」などは、新しい“カジュアルバブル”“セレブカジュアル”というキーワードを冠したい業態だ。

3、ジャパンクオリティを追及し、掘り下げると生産者支援、地方活性化につながる。そうした明確な目的をもった“ミッション型経営”にさらに注目が集まる。飲食から流通を変えるイノベーションパワーにも大きな期待がかかる。六次産業化への取り組みが飲食経営者にとって新しい世界を広げることになるだろう。

4、「和食が世界文化遺産に!」。これは和食のトップの世界だけでなく、居酒屋や大衆酒場にいたるまで日本食コンテンツ、食材・酒類におけるジャパンクオリティは世界に向けて発信される“フード・グローバル元年”になるだろう。とくにアジアにはこれから日本の飲食文化がどんどん出ていくに違いない。
 

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