コラム

「東京ミッドタウン」にデビューするということ

昨日15日、六本木ヒルズ内の「アカデミーヒルズ」で、来春3月30日にグランドオープンする「東京ミッドタウン」の記者会見及び懇親パーティが行なわれたので顔を出した。記者会見では商業施設130店舗の全貌が明らかになった。さて、見所は...。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。


130テナント中、飲食施設は「レストラン&バー」が27店舗、「フード&カフェ」が33店舗の出店となる。東京ミッドタウンのコンセプトは、 “都心の上質な日常”を提供すること。周辺地域の居住者、オフィスワーカー(ヤフーやUSENなどが入り20,000人になるという)をベーシックなター ゲットとするが、今回、三井不動産があえて戦略的なターゲットとしてあげたのが「年齢にとらわれず、独自の感性で都心型ライフスタイルを確立している“ラ イフスタイル アーティスト”」(松藤哲哉・東京ミッドタウン事業部事業グループ統括)。要は、30代以上でもコンサバ志向にならない“艶男”“艶女”及び“チョイ悪オ ヤジ”予備軍たちである。 そうしたターゲット戦略だからだろうか、コンサバのイメージか強い寿司業態や純和食を持ってこなかったのが面白い。和食では、私が『アリガット』誌で初めて紹介したご縁のある神戸「NADAMAN DINNING」の山下春幸さんがHAL YAMASHITA 東京」で東京進出、人形町今半にいまトレンドの鉄板焼業態「鉄板焼ステーキ 喜扇亭」をやらせたのもビックリ。三菱地所の「新丸ビル」でも“老舗ブランド誘致”がテーマになっているようだが、新業態にこだわったのはいい選択だろう。また、“日本初出店”としてひらまつが銀座とほぼ同時にデビューさせるコンランレストランの「Botenica」やワンダーテーブル久々の勝負ライセンスレストラン、「Union Square Tokyo」(NY)も注目されるところだ。 ベンチャー・トレンド系では株式公開したばかりのゼットンがフレンチ・シャンパンバー「オランジェ」、グラナダが蕎麦「江戸切庵」、表参道ビルズ次ぐ出店になる「暗闇坂 宮下」グループがアートディレクターの佐藤可士和を起用した「可不可」、西麻布のバーシーンを創り、最近セブンシーズホールディングス入りしたシンクロニシティ・角章さんが60坪の巨大バー「YOL(ヨル)」を、渋谷「SUS」復活に加え、株式上場準備に入ったカフェカンパニーが和バール「247 GARDEN/HOUSE」などを出店、そして話題は何と言っても井上盛夫・ソルトコンソーシアムが250坪のフードコート「OKAWARI.JP」を出店することだ。三井不動産側からのオファーで出店を決めたという。 記者発表の後の懇親パーティは、「出店者とプレスとの懇親」が主旨だった。当然、テナントのトップたちが顔を揃えていると思ってパーティ会場に入ると、上場したばかりのゼットン・稲本健一さん、ソルトコンソーシアム・井上盛夫さん、スティルフーズ・鈴木成和さん、ワンダーテーブル・林祥隆さんた ちの顔が見えないのはガッカリだった。一方、宮下大輔さん、角章さん、カフェカンパニーの楠本修二郎さん、グラナダの下山雄司さんは出席。ベンチャー系に とって、東京有数の商業施設に出店することは大きな社運を賭けた投資であり挑戦だろう。六本木ヒルズのソーホーズの例を今さら持ち出したくはないが、デベ ロッパー側にとってもハイリスクである。いわば運命共同体だが、それだけにこうした場に顔を見せなかったトップたちはとても残念だったと言わざるを得な い。

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