コラム

「情報を制する者は…」

先日、電通が発表した「ネット広告費が急増し、雑誌広告費を抜いた」という調査結果が飲食業界でも話題を呼んでいる。「今年は情報戦争"元年」とも..."

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。


電通によれば平成18年のネット広告費はラジオの2倍に達し、雑誌とほぼ並んだという。バナー広告から始まったネット広告は、検索キーワードやウェ ブサイトの内容に即した連動型広告が加わり急成長が続き、18年のネット広告費は前年比29・3%増の3630億円と躍進。今後はさらに、高速化が進む携 帯電話が新広告媒体として立ち上がる可能性が濃厚で、3・5世代と呼ばれる高速携帯電話が普及する2~3年後には、ネット広告の波はさらに大きくなると予 想している。 この報道を読んで、さる大手飲食店サポート企業の幹部がこう言った。「飲食店も我々サポーターも、これからは“いかに情報を制するか”が テーマになって来るでしょうね。その武器として、インターネットによる情報発信は欠かせないものになりますね」。フード・レストランビジネスにとって重要 な経営資源は「人」「物(物件)」「カネ」の3点セットだが、今後は「情報」への取り組みが他企業、他店を差別化するための武器となると言うのだ。 ここ数年、サポーター企業が急増し、広告検索サイトやマッチングビジネスが急成長してきた。が、しかし、“サポーター間競争”が激化した挙句、肝心 のプレーヤー(飲食店)たちの真のパートナーではなく、業者意識にとらわれて迷走しているとしか見えないのは筆者だけだろうか。オピニオンをリードすべき 業界メディアでさえ、業者の代弁者に成り下がっていないだろうか。本来、プレーヤーとサポーターは対等であるべきだ。それが前提であってこそ、ビジネスス タジアム(飲食マーケット)が活性化する。 その意味で、サポーターはいまこそ“情報”への取り組みを真剣に考えるときだ。いま、NHK大河ドラマ「風林火山」の山本勘助や、秀吉に仕えた黒田 如水などの“軍師”“参謀”の役割が見直されているのも、時代の要請であろう。ただ、ネットで得られる情報を過信してはならない。情報洪水の時代だからこ そ、「本筋のネタをどう掴み、それをどう活かすか」が問われている。その鍵を握るのはむしろ、“アナログ力”ではないだろうか。

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