「健康」「環境」を食べるということ

いま女性客が嵌る仕掛けをつくるキーワードは「健康」「美容」「環境」である。“身体にやさしい”“肌がツルツルになる”“地球のことを考える”と いったキャッチフレーズを冠したレストランが増えている。このトレンドは「スローフード」「ロハス」「マクロビ」「アンチエイジング」「デトックス」「コ ラーゲン」といった用語の氾濫と軌を一にして大きな波となって飲食業界に押し寄せてきた。外食に“不健康志向”を求める私はこのトレンドにできるだけ無縁 でいようとしていたが、どうやらそれに逆らうことはできなくなった。 キリンビールの飲食店向け営業推進雑誌『Hubbuboo（ハバブー）』が夏号で特集を組むので、4ページ「健康志向」トレンドについて語ってほし いという依頼があったのだ。これを機に東京の新しいレストランマーケットを改めてリサーチしたのだが、たしかに急増している。フードスタジアムで「健康」 というキーワードを検索しただけでも34件の店舗情報が出てきた。昨日はその中の一つでもある薬膳中華「Essence(エッセンス）」を訪ねた。オープンしたばかりの“国際薬膳調理師”薮崎友宏料理長が腕を振るう店だが、すでに予約が取りづらいという。ちょうどレストランジャーナリストの犬養裕美子さんが店から出てきたところだった。 実はその前に神宮前の「Kurkku（クルック）」でコース料理を食べ てきていた。フィンランド語で“きゅうり”を意味するこの店は約1年前にオープンしたが、コンセプトは「エコ・シフト」である。キッチン（レストラン）で はロハス料理を提供するが、カフェ、雑貨、ライブラリー、グリーンのショップも併設しており、いわば“ロハススタイル総合施設”である。オーナーは一青窈 と不倫→再婚で話題の音楽プロデューサー小林武史氏。実はこの店、数週間前から予約を入れていたが、やっと昨日取れたのだった。こうしたコンセプトレスト ランが流行る時代が本格的にやってきたということだろう。ただ客のほとんどは女性。男性客を呼ぶためには“アンチ・メタボ”あたりをテーマにすべきだろう か？