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コラム

攻撃は最大の防御なり!

先週のつぶやきでダイヤモンドダイニングの松村社長のことを「賞を取って浮かれてる場合じゃない!」と書いたら、さっそく彼から呼び出しがあった。「立川が爆発しています。見に来てください!」

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


昨日の19時30分待ち合わせ。立川駅北口駅前に新しくできた商業ビル「NIS WAVE」7階にダイヤモンドダイニング(DD)の大型店「TACHIKAWA お伽噺」 がある。オープンは2月7日。19時頃ついたので、まず6階のフロアをリサーチ。モンテローザの「月の宴」や「黒まる」などがある。ファサードが閉鎖的 で、どの店も同じような構え。スタッフが誰も店から出て来ない。しばらくエレベータホールにいたが客足も弱い。7階へ。エレベーターを降りると、レセプ ションスタッフが立って客を出迎える。「一寸法師」(220席)「花翁」(140席)「ぶたの恩返し」(90席)の3業態複合店、総面積250坪500席 の超大箱である。複合店「お伽噺」シリーズは池袋、上野に続く3店舗目。立川はプレスレセプションを開催しなかったため、私も行きそびれていた、という か、立川まで行く動機が起きなかった。“業態開発ナンバーワン”を標榜するDDのいわゆる“業態”について、「キャラクターを量産しているだけ」という冷 めた見方も業界で出始めたいたから、「立川もどうせそうなのだろう」と思っていたからかもしれない。 「サシで会いたい」と私は松村さんに申し入れていた。時間少し前に店に入ると、松村さんはまだ来ていない。席に着くと、時間きっかりに電話が入っ た。「ビルの下にいます」。「宮本武蔵だな」と思った。そうか、ビルで出迎えるつもりだったのか。遅刻しただけかもしれないが、悪い気はしない。松村さん は席に着くなり、「ご覧の通り、爆発してますよ。こんな複合業態をつくれるのは、いまウチしかないでしょう!」と強気で“専制攻撃”に出た。確かに満席、 宴会も何組と入っている。月商予算4,000万円のところ、「オープン以来130%のペースで来てます。3月は5,000万円以上売りますよ」と“機関銃 トーク”。反撃の余地がない。「これから大変でしょう。マラソンでも折り返しから35キロあたりが一番苦しい。これからの出店は1業態1業態手を抜けませ んね」と水を向けると、「いや、サッカーでいう“超攻撃型”でいきますよ。見ていてください」とあくまで強気。まさに“攻撃は最大の防御なり!”である。 その強気の攻めで、既存のチェーンと地元系飲食店に飽きていたマス客をつかみ、“先制点”を上げたのは事実のようだ。 DDは3月に入ってからまた出店攻勢に出る。3月1日、恵比寿に九州料理・焼酎「九州男道」 をオープン。「つぼ八」の居抜きをどう変えるか見ものである。改装費用は「1,000万円かかっていない」という。立川には約2億円を投じ、恵比寿は 1,000万以下。この緩急自在ぶりの攻め方もDD流といえる。箱の大小もそう。3月6日グランドオープンの話題の商業施設、赤坂Bizタワーに出店する 55店舗目の初の中華業態「爆麺(バオメン)闇雲堂」はわずか8坪。中華麺におこげをのせて熱いあんをかけたオリジナル麺だ。夜はスタンディングバーに様変わり、点心をつまみながら紹興酒を楽しめる。Bizタワーには際コーポレーションの中華「DRAGON RED RIVER」も出ることから、松村さんの中島さんへの“挑戦業態”とも言える。この中華対決も見ものである。3月はさらに幕張で56店舗目、4月には五反田「remy」にイタリアンを出すなど、出店が続く。 立川「お伽噺」を出るとき、松村さんは「もう一軒行きましょう」と誘ってきた。「ぐるなびの立川エリアでのアクセスランキングでワンツーはウチの店なんですが、3位にいる店があるんです」。どうやら「お伽噺」が出るまでは1位を独走していたとか。その店は株式会社APカンパニー「わ が家 魚米」だった。実は「わが家」が上野に出るとき、私はメニューブックを監修させてもらった経緯がある。社長の米山久さんも“超攻撃型”。八王子から都心に 攻め上ってきた若手注目株で、「わが家」「魚米」をはじめ、宮崎地鶏「じとっこ」のライセンス展開をおこなっている。「立川 魚米」は“ミニ権八”。ここが人気ナンバーワンだったことが何を語るのか。松村さんの感想は「ローカルはまだトレンドに飢えているんです。色気とスケール 感を演出できる店は勝てますよ」。ローカルマーケットでも確実にDDやAPカンパニーのような“ニューチェーン”への主役交代が進み始めているのは確かな ようだ。

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