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コラム

オヤジが変わる、新橋が変わる!

最近は、街場が熱い。不況が進めば、さらに客の足は、軽い財布を懐にいだき、乾いた心を癒しに街場に向かう。オヤジの聖地"といわれる新橋。いま、ちょっとした変化が起きつつある。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


新橋は烏森神社の周辺、さらに西口通り。ここは高度成長、バブル経済、繰り返す不況を通じ、役人やサラリーマンが毎夜通いつめてきた“オヤジの聖 地”。古いビルや平屋の1~2階には、立飲み、焼き鳥、ホルモン、魚、串揚げなど、ベタベタの店が軒を連ねる。これほど赤提灯、縄のれんが似合う街は他に ない。当然、男性客が9割、「皺のよった紺のスーツに、ズレた地味系ネクタイ」というのが平均的な客のイメージ。しかし、その新橋に最近、異変が起きてい るというのだ。そこで、定点観測を続けていたのだが、昨日も新店をいくつか回ってみて、その変化の兆しを確信した。 まずは、烏森神社の裏手に7月16日オープンした立飲み「魚金」烏森店。新橋ドミナントで鮮魚を売りとする「魚金」グループの 最新店だ。わずか5坪の箱だが、これまでの「魚金」よりちょっとおしゃれ。いまの新橋では、この“おしゃれ加減”がポイント。私の見るところ、新橋ではい ま“ベタおしゃれ”トレンドが来ているのだが、“おしゃれ度数”が高すぎると客は敬遠する。その度数的に、今回の魚金はジャストチューニングといえる。 「魚金」グループは今年2月、洋スタイルの展開にも乗り出した。JRA新橋ビルの裏手に「ビストロ UOKIN」をオープン、大当たりしている。さらに8月には、やはり西口通り街にイタリアンバールを出店する予定。同グループは池袋がスタート、神楽坂を中心に展開する「てしごとや」グループの創業者兄弟の一人が新橋で「魚金」を始め、徐々に勢力を拡大してきた。これから新橋を変えていく要注意店の一つだ。 二軒目は5月15日にオープンした「みんなの居酒屋 ヒノマル食堂」。赤い朝日のレトロチックなロゴマークが目印。ここは、佐賀で飲食店などを経営する株式会社和僑(代 表取締役・髙取宗茂氏)の東京進出1号店。同グループの系列企業で、囲炉裏茶屋「魯山」や炉端焼き「みさお」などを展開する魯山トランスフーズの代表取締 役・高岸友和氏が責任者として店を取り仕切る。佐賀牛のホルモン料理ややみつきになりそうな辛系の「石焼き」などが名物。まさに、いま旬のローカルフード コンテンツを楽しむことができる。内装はシンプルだが、やはり新橋的ベタおしゃれ系。 最後は、「ヒノマル食堂」の目の前に5月29日オープンした「銀座大衆酒場 手前みそ」新橋店。80席のかなり大きな箱だが、ほぼ満席。女性客はほとんどいない。「手前みそ」は「Afternoon Tea-TEA ROOM」「miso bank」のサザビーリーグのベタ系新業態。昨年12月に御徒町に1号店を 出し、その後銀座「miso bank」1階に2号店、今回の新橋は3号店目。御徒町は実験、銀座は情報発信基地、そして新橋は本格的な店舗展開のための旗艦店とみられる。それだけ業 態完成度が高い店だった。この店は、ベタおしゃれに変わりゆくいまの新橋を象徴しているともいえる。 いま、なぜ“新橋的ベタおしゃれ”なのだろうか。それは、いろいろな要因がある。サラリーマンや役人がクールビズでネクタイを外し、デザインシャツ を着始める。紺の無地のスーツでは似合わない。洋服と同時に靴やメガネをおしゃれなもの変える。そうすると、気分も変わる。気分が変われば、「昔ながらの 超ベタ系の店もいいが、少しは新しい店も覗いて行こうか」ということになる。さらに、もう接待で高い店はいけない。懐と相談しながら、自腹で飲むようにな れば、上司に連れて行かれた店ではなく、自分で新しい店を開拓したくなる。汐留の日テレや電通族が溜まるような店にも顔を出したくなる。そんな変化が新橋 を変えつつある、と言えるのではないだろうか。

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