「西新宿七丁目」。青梅街道、小滝橋通り、税務署通りに囲まれたトライアングルゾーンである。路地が縦横に走り、なんだか迷路のような独特な空気感が漂 うエリアである。表通り周辺にはマルチターゲットの新興系店舗やメジャー系店舗が集まり、路地に入り込むほどにインディー系店舗がその個性を放っている。 奥に行くと、昔ながらの飲み屋街もある。そこから青梅街道側を見上げると、西口の高層ビル街が空を貫く。おそらく、ここもバブル崩壊で再開発が中途半端に 終わった場所なのだろう。そのせいで、新旧ない交ぜになったカオス感があり、メガエリア新宿の中で、隠れ家のような存在になっているのだろう。そんな街に突如現れた新築ビル3階にオープンしたのが、炉端料理と日本酒を軸にした「燗アガリ」だ。吉田将紀氏率いる絶好調の6店舗目。カウンターバックの棚には日本酒の菰樽が並び、カウンターに置かれているのはアンティークタイプの酒燗器や燗酒チロリ。店名からも想像できるようにぬる燗を楽しむ店でもある。〆は日本一という厳選された米を土鍋で炊いたごはんを味わうという趣向。ヒット間違いなしの業態だ。
2014年11月上旬にが、出す店すべてヒットという魚金の洋業態「タヴェルナUOKIN」が西新宿七丁目に上陸。イタリアンを軸にした洋食系鮮魚料理とワインを気軽に楽しめるとして、オープン時からすでに予約なしでは入店困難の繁盛店だ。これまで新橋、銀座、渋谷、吉祥寺などのトップエリアに出店して、50店舗を目指す同社が新宿初出店で選んだのがこのエリアだった。それだけで飲食エリアとして同地区の評価の高さがわかるというものだ。さらに小滝橋通りを渡ったJR線路近くに11月中旬にオープンしたキャンヴァスの「板前バル新宿店」。板前職人が造る本格的な割烹料理を売りにしながらも進化系のテイストも取り込んだバルスタイルのネオ割烹だ。スタイルはカジュアルだが、食材の魚、鶏、野菜のクオリティは確かで、職人がもてなす大人の隠れ家だ。銀座店をスタートに先日オープンした品川シーズンテラス店で5店舗を展開する同社は、マーケットから必要とされるプロフェッショナル集団を目指すという意識の高さを売りに、FC募集も本格和食へのこだわりとして“板前付き”という。
小滝橋通りに面した場所に10月にオープンしたブラバスの「BIODYNAMIE新宿店」は店名通り、オーガニック農法の一つであるビオディナミをコンセプトに無農薬野菜、オーガニックワインにこだわるイタリアン。レインズ出身者がオーナーの同社はダイニングイノベーション傘下に入り、20~30代の顧客をターゲットに多店舗化を進める。世界的に広がる「イートグッド」コンセプトの業態として注目したい。7月には3号店目を吉祥寺にオープン、これからの成長が楽しみな若い会社だ。4月にオープンした「フィッシュメン」は煮干しの出汁うどんを看板に、煮干しのてんぷらやおでんなどの一品料理を置く、ちょい飲みも楽しめるうどん酒場。経営は「すごい煮干しラーメン凪」を国内以上に海外で出店を展開する凪スピリッツの新業態であり、今後の展開が注目される。
5月にオープンした「欧風煮込料理torotto」はホテルでイタリアンの修業をしたシェフによるトロットロ牛の角煮やハチノスの6時間煮込みといったスパイスを効かせたオリジナルの煮込み料理を軸にワインを楽しめるバルだ。女子好みのこじゃれた雰囲気が目をひく。経営は歌舞伎町など新宿でイタリアンダイニングなどをドミナント展開するネクストステージ。5月にオープンしたばかりの一家ダイニングプロジェクトの「屋台屋 博多劇場 西新宿店」。本場九州の屋台を再現した元気が看板の居酒屋。大箱規模の居酒屋は日常使いからグループ利用まで対応でき、、オフィス街をバックにニーズは高い。西新宿七丁目を代表するブランド「タカマル鮮魚店」を展開する鷹丸はJR大久保駅寄りの小滝橋通りに「タカマル鮮魚店4号店」を出店した。西新宿の外れとなるこの場所、JR大久保駅へと抜ける道として通勤で利用する人も多いが、実は一歩は入れば住宅地。ブランドの強さによる集客とテイクアウトの惣菜や弁当類も充実させ、エリアの新たな可能性を引き出そうとチェレンジしている。隣接したビルの地下には、人気の熟成肉とワインを提供する「Bsitor HaLVeL Bar」もオープンした。また、魚系では神田エリアからスタートした「俺の魚を喰ってみろ!」もこのエリアに進出している。
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