2017年5月19日、新小岩駅の南口側、ルミエール商店街をそれた先に「炭火焼肉 矢つぐ」が開業した。兄の矢次貴弘氏と弟の矢次康治氏の兄弟で経営し、毎日芝浦から直送される上質な肉を、炭火でスタッフが丁寧に焼く焼肉がウリの店だ。幼少のころから飲食店開業の夢を思い描きながら、着実なステップを踏んできた矢次兄弟。その夢がこの新小岩の地に開花した。
すし店を営んでいた両親の姿を見て育ち、自らも開業を目指すようになったという両氏。兄の貴弘氏は、なだ万(東京都新宿区、代表取締役社長:野原優氏)に入社し、和食やすしの技術を磨いた。その後、「開業には調理技術だけでなく経営面の勉強も必須」と考え、「ホルモン焼肉ぶち」で店長やエリアマネジメント業務に携わった。そこで貴弘氏は炭で焼く焼肉の魅力に開眼。ロースターにはない焼き具合を実現できるものの、肉を生かすも殺すも焼き手の腕次第、その奥深さに触れ、焼肉店の開業を考え始めた。一方、弟の康治氏も開業へ向けて経験を積んできた。同じく「ホルモン焼肉ぶち」に勤務したほか、飲食業以外にも不動産業の仕事にも携わったことで、飲食店経営に欠かせない物件の知識を蓄えた。「35歳までに独立開業」を目標としていた貴弘氏だが、35歳の2017年5月に同店をオープンし、その目標を無事クリアした。
店舗は以前も焼肉店だった居抜き物件。周囲は住宅地で、富裕層や高齢者が多いことが決め手となった。近隣ではチェーン店が幅を利かせ、個人店は苦戦を強いられているエリアだったが、「あえてそこで勝負をし、強い店を作りたい」(貴弘氏)と、この地を選んだ。
同店は客席に炭火の七輪を設置し、基本的にスタッフが肉を焼くスタイルだ。赤身肉は「兄貴極盛り」(3218円)の赤身4点の盛り合わせをはじめ、「バラ山」(961円)、「ハラミステーキ」(1382円)、「焼きしゃぶ」(1706円)など、貴弘氏が選んだ約15品がそろう。また、両氏は「ホルモン焼肉ぶち」出身だけあり、内蔵系も充実。「弟内蔵盛り」(2138円)をはじめ、「ホルモン」(734円)、「赤コリ」(637円)など、内蔵系は康治氏が約20品を厳選しラインアップ。「とくに内蔵系は焼き加減の判断が難しい。熟練のスタッフが絶妙な焼き加減に仕上げることも、当店の大きな付加価値です」と康治氏。
また、同店のこだわりは肉だけでない。サイドメニューの「特製テールスープ」(842円)は、5日間をかけ、化学調味料を使用せず、牛骨が白濁するまで炊いて旨みを出した自慢の品。自家製のキムチや、前菜、一品料理、ユッケ、サラダ、ごはん・麵類など幅広くラインアップする。タレやブレンド塩も、余計な添加物を加えず、手作りすることがポリシーだ。
ドリンクはサワー類、焼酎、日本酒、ワインなど約50品。「生ビール」(626円)は飲み口の薄いグラス、クリーミーな泡の作り方を研究するなど、ビールひとつにとってもこだわりを見せる。また、「特製緑茶ハイ」(410円)は、実家のすし店のツテで手に入れた粉末の上質な緑茶を使用し、人気を博す品だ。
現在は近隣住民を中心に家族連れやカップル、仕事帰りのサラリーマンなど幅広く集客し、リピート率は9割を超えるという。「一般的に焼肉店の利用頻度はおよそ2か月に1度くらいと想定していましたが、それ以上の頻度で利用してくださるお客さまも多く、驚いています」と貴弘氏。価値の高い商品やサービスでお客の心をしっかりとつかみ、なかには開業してから3か月の間に10回以上も来店した常連客もいるそうだ。
今後はスタッフの焼き方の技術向上を目標としている。「炭焼きの技術は焼いた量、食べた量に比例します。月2回程度、スタッフに対し講習会を実施し、お客さまに満足してもらえるクオリティの肉が焼けるスタッフを増やしたい」と貴弘氏。さらには店舗展開も見据える二人。5年で5店舗を目標に、焼肉業態に限らず、今までの経験で蓄えてきた英知を集結し、幅広いジャンルに挑戦したい考えだ。二人の力を合わせ、今後どのような展開を見せるのか、目が離せない。
店舗データ
店名 | 炭火焼肉 矢つぐ |
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住所 | 東京都江戸川区松島3-13-12 |
アクセス | JR新小岩駅から徒歩7分 |
電話 | 03-3651-3029 |
営業時間 | 【火〜土】17:00〜翌5:00(L.O翌4:00) 【日・祝】16:00〜23:00(L.O22:00) 月曜祝日の場合、日曜17:00〜翌5:00(L.O翌4:00)で火曜休 |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は営業、火曜休) |
坪数客数 | 45坪50席 |
客単価 | 5000~6000円 |
オープン日 | 2017年5月19日 |
関連リンク | 炭火焼肉 矢つぐ(FB) |