都営三田線・板橋区役所前駅と東武東上線・大山駅は徒歩で10分ほど離れていて、その間を環状6号線が走っている。徒歩圏内にある二つの駅だが、商圏としては、それぞれ独立しており、互いを行き来する人の数は決して多くはない。そうした流れを変えるかもしれない店が環状6号線沿いに誕生した。それが3月17日にオープンした「鶏と酒 かんろく」だ。運営するのはAIYOクリエーション(東京都板橋区、代表取締役 長岡雅也氏)で、同店にとって3店舗の展開となる。
今回の店舗は板橋区役所前だが、その他の2店舗は都営三田線・本蓮沼駅に店を構えている。板橋区と北区の境目にある本蓮沼は、大手チェーンの飲食店さえ数えるほどしかなく、魅力的なマーケットとは言い難い。そこを切り拓いたのが同社の運営する「中仙酒場 串屋さぶろく」と「中仙ちび酒場 ちびろく」だ。“行きたくなる店”をコンセプトに掲げて、人の流れを変えるとともに、エリア全体の魅力も格段に高めた。今回、そこで得たノウハウを活用しながら、板橋区役所前という新たなマーケットの開拓に挑む。その背景について、長岡氏はこう話す。「板橋区役所前駅と大山駅は、ともに飲食店の多いエリアですが、その間にはほとんど店がありません。ただ居酒屋には街を変える力があります。ちょうど中間地点に出店した『鶏と酒 かんろく』は、二つのエリアを結ぶ橋渡し的なポジションを担えるでしょう。飲食店の空白地帯を盛り上げていくことで、橋区役所前と大山をひとつの大きなマーケットにしていきたいですね」。
そもそも長岡氏は、18歳のころ飲食の世界に飛び込んだ。すし店の門を叩いて、8年もの間、職人として経験を積んだが、独立した自分の姿をイメージできず別の道を選ぶ。その後、学校給食の調理員を経て、宅配すし店の店長に就任。この時、いったん飲食店の現場から離れたからこそ、その魅力に改めて気がつく。そして30歳であった氏は、35歳までに第一号店をオープンさせようと決めて、飲食店経営者への道を歩み出す。ビジョンを実現するため「鳥ばか一代」などでの修行を経験し、2010年11月に「中仙酒場 串屋さぶろく」をオープンさせた。独立までの道のりを振り返って、氏は「確かに遠回りをしたと感じることもあります。ただ振り返ってみると、それぞれのステージで調理技術や衛生管理、マネジメントなどと、経営で必要なスキルを身に付けることができました。私はたくさんの人が一緒に料理を食べる空間が大好きです。お客さまの笑顔で私たちが笑顔になり、私たちの笑顔でお客さまがさらに笑顔になる。そんな楽しい雰囲気に溢れる店を作っていきたいと思っています」と語る。
「鶏と酒 かんろく」の看板メニューは「鶏の丸揚げ」と「焼鶏」、「鶏刺身」の3つである。「鶏の丸揚げ」は、600グラムものボリュームがある「大山どりの丸揚げ(半身)」(980円)と仕入れ状況によって提供している「限定 大山とりの背すじ揚げ」(580円)が並ぶ。また「焼鶏」は「葱間」(180円)や「ソリレス」(180円)、「やげん」、「油壺」(150)円など15種類以上のメニューがラインアップされている一方、「鶏刺身」は「もも刺」(680円)や「ささみ刺」(680円)、「砂肝昆布締め」(580円)、「レバー刺」(580円)などが揃う。ドリンクについては、日本酒や焼酎、ワインに力を入れており、“国産”に強いこだわりを持ったメニュー構成になっている。中でも日本酒は「せせり」や「むね肉」、「砂肝」など、部位ごとに相性の良い銘柄をメニュー表に記載しており、同店オリジナルの提案を行う。この他にも、瀬戸田レモンを使用した「丸ごとレモンサワー」(580円)なども見逃せない。
今後の展開について、長岡氏はこのように話す。「どのようにして地域に店を定着させていくか。まずは、そこに力を入れてやっていくつもりです。居酒屋は地域に愛されてこそ存在することができます。料理やお酒は提供するのは、あくまでも方法の一つに過ぎません。地元の方々に長く愛される場所にすることで、当店から板橋をさらに元気にしていきたいと考えています」。一軒の魅力的な飲食店が多くの人の心をひきつけて、だんだんと流れが変化していく。今、板橋が大きく変わろうとしている。
店舗データ
店名 | 鶏と酒 かんろく |
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住所 | 東京都板橋区板橋2-65-5 |
アクセス | 都営三田線・板橋区役所前駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6915-5436 |
営業時間 | 11:30〜23:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 22.5坪・45席 |
客単価 | 3200円 |
運営会社 | 株式会社AIYOクリエーション |
オープン日 | 2017年3月17日 |
関連リンク | 鶏と酒 かんろく(FB) |