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ジリオン吉田裕司氏の新業態「JB 神田」
本格“和ビストロ”を日常価格で提供

入り口の角打スタイルのハイカウンターを抜けると、オープンキッチンを囲むコの字カウンター席に。一人でもグループでも気軽に立ち寄れ、様々な利用シーンに応えてくれる
KLC Kanmei Officeの矢野寛明氏によるデザインは、モノトーンに統一されたスタイリッシュな空間
「甘海老の塩辛とリコッタチーズのカナッペ」。バケットではなく、柔らかなブリオッシュをつかったもの
メインとなる「短角牛フィレのロースト ~わさび菜のピューレ~」には、わさびや醤油といった和の要素が添えられている
代表の吉田裕司氏(2列目中央)とスタッフのみなさん

(取材=望月 みかこ)


「1サプライズとパワーを提供し続ける『街のエナジースタンド』へ」をコンセプトに、「ジル」「煮ジル」を展開してきたジリオン(東京都品川区、代表取締役 吉田裕司氏)が、7月5日、「JB 神田」をオープンさせた。出店したのは、野村不動産が開発する飲食ビル「GEMS 神田」の2階。これまで街場で出店を重ね、業界でも随一の繁盛店メーカーとして知られる吉田氏にとって初の飲食ビルだ。フルスペックのオープンキッチンに、カウンター、テーブル、半個室まで備えた同店は、クライアント企業、直営店舗の商品開発やES(=従業員満足)向上のためのスタッフの研修の場にもなるよう設計されているという。

今回の出店の理由について同氏は「ファミリーのいるスタッフや女性スタッフが安心して働ける職場の提供と、他社と一線を画す商品開発能力、プロデュース力の実現など会社として次のステージを目指すための拠点としたい」と話す。 これまで街場で店を作ってきた同氏が、神田の飲食ビルに出店した背景には、“ES”よりもう一歩踏み込んだ“FS(=従業員の家族満足)”があるという。「昼業態で深夜営業なし、さらに店舗休があるので、長時間労働の抑止や休日の確約につながります。今回の出店は、女性スタッフやお子さんがいる家族持ちのスタッフが安心して働ける環境を会社として提供するため。日祝の売上ボリュームが少ない神田は、この考えにマッチするエリアです。また、今回の出店は、今後のデベロッパー案件でのマーケット獲得の実施検証という意味合いもあります。だから、あえて成功の難しい神田GEMSへの出店をきめた」とその背景を語ってくれた。

同社は、2013年4月、目黒に1号店「大衆ビストロ ジル」をオープンさせ創業。駅近とはいえスナックビルの地下という悪立地に出店しながらも、超繁盛店へと成長させ、“目黒の奇跡”と呼ばれた。翌年2月、2号店「大衆ビストロ 煮ジル」を学芸大学に、11月「大衆ビストロ 煮ジル」を五反田に、2015年7月には「大衆ビストロ ジル」を中目黒にオープン。どの店も連日満席の人気店だ。緻密な計算と明確なビジョンから一つの店を構築するスタイルは、吉田氏の店作りの真骨頂だ。そんな彼が最も大切にしている言葉がある。「凡事徹底。当たり前のことを追求すること、その先にあるサプライズをゲスト、スタッフ、そして街に提供していく」。この哲学がどの店にも息づき、毎夜、街の一画に活気を生み出しているのだ。

最新店となる「JB 神田」。店名には「JB=ジャパンブランド、ジャパニーズビストロ」の意味を込めた。「四季や旬という日本固有の価値を体験してほしい」という発想から、和食とフレンチの創造的で大胆な融合を試みられている。日本の滋味に富んだ食材を、あえてフレンチの調理技術を駆使して四季を感じる一皿に仕上げる。西麻布の星付きフレンチ「サイタブリア(現・レフェルヴェソンス)」出身で、同社の総料理長・小林周(まこと)シェフがそれを見事に表現している。ハイクラスな食事を“日常価格”で楽しめるとあって、神田駅の南側という難しい立地でありながら、すでに予約困難の人気店とありつつある。

日本の四季を表現するのにフレンチの調理技術を用いるのは、食材のよさを最大限に引き出す“工夫”だという。吉田氏いわく「和食は、シンプルな調理技法で食材の味を引き出します。ですが、“日常使いできる店”がうちのモットー。日常価格で提供するために、手に入る食材をいかにおいしく出すかが最も重要です。その壁を超えるには高度に発達したフレンチの調理技術を取り入れようと考えました」と話す。

フードメニューは、先付から、前菜、メインの魚・肉料理、〆、甘味までアラカルトで60種類以上という充実ぶり。そのうち、40ものメニューを旬にあわせて入れ替えていく。「旬野菜のムース」(480円)、「甘海老の塩辛とリコッタチーズのカナッペ」(580円)「軍鶏のパテドカンパーニュ ~柚子香る 黄身味噌添え~ 」(880円)など、一見フレンチのごとく盛りつけられた前菜には、食材や調味料で和の要素が隠されており、口にふくむと慣れ親しんだ日本の味がしっかり感じられる。メインには、「平目のムニエル ~原木椎茸のデュクセルのソースで~」(1380円)や「短角牛フィレのロースト ~わさび菜のピューレ~」(1880円)など、“和”をソースに仕込んだものが並ぶ。

料理に合わせるドリンクは、シニアソムリエをはじめ専門家が厳選したワインと日本酒(120ml 580円〜)を軸に組み立てる。日本酒は「特選」のほかは、「爽・薫・醇・熱」と4つの味わいにわけて30種類以上を常時取り揃える。サワー系から焼酎までも幅広く用意し、男性客が多い神田のニーズにも配慮する。

吉田氏が飲食企業として目指すこと、それは業界の在り方そのものを問うものだ。「飲食業界は、長時間労働や社員比率が低いのは当たり前。そんな現状を変えたい、社員の幸せを大切にして伸びていきたい」。その吉田氏の言葉通り、同社の社員比率は7割を超え、研修中のスタッフも合わせると9割にものぼる。「全従業員、全社員化」を目指し、教育環境を整え、独立支援にも力を入れる。「就職するならジリオンに行きたい、と言われる企業を目指す」と話す同氏。その思いは「社員は家族」と考え、お客だけではなく、一人ひとりを心から大切に思い尊重する彼の生き方そのものの表現でもある。その優しく力強い一歩一歩が飲食業界を変えていくことを願う。

店舗データ

店名 JB 神田(ジェービー)
住所 東京都千代田区鍛冶町1-9-19 GEMS神田 2F

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アクセス JR・東京メトロ銀座線 神田駅から徒歩5分
電話 03-6262-9939
営業時間 月~金 ランチ11:30~14:30(L.O. 14:00)、ディナー 17:00~23:30(L.O./23:00)
土 15:00~23:00(L.O./22:30)
定休日 ランチ 土日祝、ディナー 日祝 
坪数客数 35坪・60席
客単価 ランチ1000円、ディナー4500円
運営会社 株式会社ジリオン
関連リンク JB 神田(FB)
関連リンク JB 神田(HP)
関連リンク ジリオン(HP)
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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