神田の「焼ジビエ罠」で話題の夢屋(東京都渋谷区、代表取締役:小林研氏)が、直営2号店となる「焼ジビエ罠 炭打」を新橋に3月19日オープンした。七輪を囲み客が楽しみながら自ら焼く、焼き肉屋スタイルの1号店(神田店)と異なり、2号店では達人が炭火でジビエを焼き、カウンター越しに食べごろを提供してくれる、カウンター業態。日本古来より食されてきた日本のスローフードであるジビエと呼ばれる野生の蝦夷鹿や天然猪。しかし、現在では目にすることも、口にする機会も少なく、その本質を知ることはあまりない。実は、高タンパク、高鉄分、しかも低カロリーのヘルシーで良質な食材というジビエ。まさに健康志向でありながらも肉食が進む現代の食生活に最適な食材である。なかでも蝦夷鹿は、木の実や木の芽を好むために、クセのない旨味が楽しめ、シンプルに炭焼きするのに適しているという。
そんなジビエの美味しさを実感して欲しいとジビエ専門業態「焼ジビエ罠」を立ち上げた小林氏。プロデュースした八丁堀店、自社直営の神田1号店では客自ら焼く七輪焼きスタイルであったが、同店は、さらに旨味の頂点、瞬間を味わって欲しくプロの職人が焼いてくれるスタイルに。一部位約35gを3カットにし、一切れ一切れ、炭火で炙り、美味しいタイミングでカウンター上に置かれた和紙を敷いたヒノキのゲタの上に丁寧に提供してくれる。そのスタイルはまるで、高級な寿司屋、天ぷら屋といった趣で、ジビエのイメージを一新する。自家製タップナード、岩塩、醤油、蝦夷山葵の4種類の調味料も添えられ、繊細な食材であることをも実感する。
メニューにあるジビエは、蝦夷鹿、日本鹿、天然猪、雉を基本にして、熊なども加え、その日、その日に入荷する部位が約20種類ほど用意される。ほかに、猪豚、牛もあり、肉好きを満足させる。なによりも美味しいジビエを味わってと用意するのが、その日おすすめの3種類の部位が楽しめる「蝦夷鹿セット」と「天然猪セット」(1129円 ※部位により価格は変わる)。部位はところにより、塩、醤油、味噌の下味が付き、より深い味わいを楽しめる。モツ系では猪豚の「モツナムル」(350円)と牛ホルモンの「煮込み」(450円)。時には猪豚のレバーやハツ、タンと出会えることもあるとか。珍しいところでは「鹿ユッケ」(580円)やオリジナルの雉の出汁でつくる「雉出汁巻」(380円)。ほかに「大椎茸」(480円)、「千住葱」(480円)といった野菜もあり、専門店ではあるが、厳選の日本酒や日本ワインなどと共にゆっくりと呑める居酒屋業態に仕上げている。
揃えるドリンクは、数は多くはないが、かなり厳選されており、居酒屋、呑み処としてのこだわりを見せている。無農薬の国産レモンで毎日手作りする「レモンサワー」(450円)、日本酒の「大和のどぶ」を炭酸で割る「どぶハイ」(350円)、大衆酒場の定番「梅割」、「葡萄割」(350円)、「ホッピーセット」(450円)と、割ものへもこだわりを見せる。ワインは、村民還元、冨士山麓といった一升瓶の日本ワインのみで、白赤、それぞれ3種類を置く。ポーションはグラス(500円~650円)、ハーフ(1100円~1600円)、ボトル(2100円~3100円)。厳選の日本酒は隠し酒を入れて7種類。常温、冷酒はグラス450円、一合800円均一、燗酒は一合のみで750円だ。
今後、ジビエ啓蒙のためにさらに同業態の出店を考える小林氏は、同店をパッケージモデルとして積極的にアピールして行きたいと考えている。ジビエを食することは、北海道をはじめとした中山間地域で深刻な農作物被害を引き起こす害獣駆除に貢献する事に繋がり、また日本古来の食文化を見直すことにもなるからだ。古くて新しい日本の文化、食文化を大事にする夢屋らしい。