地下鉄の六本木駅から徒歩7分、密かにバーやカフェが並ぶ路地裏に、まるでマンションの一室の入口のようなごく普通の扉がある。扉の横には「宮崎県西都コッコファーム bird酉男man」という表札が。店とわかる目印はこれだけだ。半信半疑で扉を開けると、木目を基調とした明るいオープンキッチンのカウンター、大きなワインセラー、そしてスタッフの「いらっしゃいませ」という元気な声。六本木や西麻布などで「てやん亭゛(てやんでい)」、「ジョウモン」、「meat肉男man」を手がけるベイシックス(東京都港区、代表取締役 岩澤博氏)の10店舗目となるこの店は、もうこの入口から「ガンさんマジック」にかかったような気分だ。オーナーのガンさんこと岩澤氏曰く、ここは「人気のない路地裏の、色気のある物件」で、1階のカウンター席の他、2階と3階と地下1階に落ち着いた雰囲気の個室などがある、4層72席という一軒家の居酒屋となった。
「bird酉男man」という店名の通り、この店は地鶏料理専門店。主役は宮崎県のプレミアム地鶏「妻地鶏」で、品質管理を徹底した飼料を与え、広い農場でストレスを溜めないように大切に育てられており、1羽の重さはなんと6キロにもなるという。肉質はしなやかで、旨味が凝縮された地鶏だ。この地鶏を使った料理は、アツアツの鉄板で提供される「宮崎県西都市最高級プレミアム 妻地鶏もも焼き」(中 180g 1680円、大 300g 2480円)や、毎日手こねで仕込みされる「妻地鶏つくね串焼」(500円)、低脂肪、低カロリーで旨味のある「妻地鶏手羽先」(300円)など、焼き方にもこだわり、素材を活かしてジューシーに仕上げている。
ドリンクは、旨味のある地鶏に合うワインをはじめ、焼酎各種(グラス450円~)の他、「宮崎マンゴー割」、「宮崎グァバ割」、「日向夏割」などの宮崎ドリンク(各500円)、「宮崎マンゴーハイボール」、「宮崎トロピカルグァバハイボール」などの宮崎ゴロゴロフルーツハイボール(各580円)など妻地鶏の生産地である宮崎にちなんだユニークなメニューが並んでいる。
ベイシックスが運営する店では、これまでも地鶏は扱っていたが、地鶏料理専門店は新業態となる。岩澤氏は「新業態なので、店はまだヨチヨチ歩きのようなもの。お客さまから意見をいただきながら、スタッフと共に店を育てていきたい」と、これまで通り息の長い店づくりを目指している。今年はベイシックスが設立されてから20年、そしてこの店は10店舗目という節目の店だ。岩澤氏は「六本木はニューヨークと肩を並べるほど国際的な街。ここにあるようでなかった、大人がカッコよく居酒屋遊びができる店を作れたことが僕らの誇り」と語る。色気のある隠れ家で「この業態を熟成」させ、ゆくゆくは路面店舗に出店したいという。「居酒屋は大人の遊び場」という岩澤氏が、今後も大人にとって魅力的な店を手がけてくれそうだ。