小田急線千歳船橋駅。昔からの個人商店からファストフード店まで、さまざまな業態の店舗が混在するこの街に「千歳船橋バル marunimocco(マルニモッコ)」がオープンした。「“地元に帰ってちょっと一杯”できるような、落ち着いた時間と空間を提案したかった」と語るのは、同店オーナーの鈴木準氏。鈴木氏は大学卒業後、ホテルマンや旅館の支配人、バーのマネージャーなどを経験し、サービスの面白さを実感。その後のオーストラリア留学中も、日本食レストランでバーテンダーとして現場に入る。そうした、サービス業や飲食業とのかかわりの中で、「誰もが気兼ねなく使える、居酒屋スタイルのバルを持ちたい」という目標が自然と湧いてきたという。 それが実現し、夫婦で開業した同店には、これまでの鈴木氏の経験や想いが表現されている。供されるメニューは、さまざまな店で仕入れてきたレシピを、独自の感性でアレンジした創作タパスの数々。三軒茶屋の老舗バー時代に学んだローマスタイルの「自家製ピッツァ」(500円)は、生地から手作りの同店イチオシの一品。また、まろやかな口どけの「沖縄の角煮ラフテー」(700円)は、学生時代に働いていた無国籍料理店で習得したレシピだ。他にも「自家製ピクルス」(300円)や「ウニトースト」(300円)など軽めの前菜から「ラザーニャ」(700円)などのメイン系まで幅広いラインナップの料理を、リーズナブルな価格で提供する。ドリンクはビール、カクテル、ワインなど各種取り揃えているが、一番人気は「アウグスビール」(500円)。原料、製法にこだわった、無ろ過、非加熱、無添加の正統派生ビールで、爽快な喉越しと奥深い味わいを堪能できる。カクテルはバーテンダーとして研鑽を積んできたオーナーの腕のみせどころ。ワインもグラス500円からというお手頃な価格設定で、今後さらに内容を充実させていくという。「月1回しか来られなかったお客様が、週1回いらっしゃれるように……」という思いから、客単価を2000円に抑えることで、地元住民に訴求する。 内装は建築士でもある鈴木氏の兄が手掛けており、木の素材感がナチュラルに伝わる温かみのある空間演出がなされている。また、12坪の面積を効率よく活用し、カウンター席以外にゆとりのあるテーブル席も配置。1人でも、グループでも気兼ねなく楽しむことができるよう配慮されている。客層は30~50代の地元の人が中心。「こういうお店が欲しかった」と言ってふらりと立ち寄り、一杯二杯飲んで帰る客も多いという。 「千歳船橋に生まれ育ったので、やはりこの地に思い入れがありまして。もっと町に活気を与えられたら……」と話す鈴木氏。今後の目標を尋ねたところ、「この店がしっかりと地元に根付くよう頑張るのみです。将来は店舗展開もしたいですが、いずれにせよこの場所が基本です」と語った。「マルニモッコ」とは、鈴木家の家紋「丸に木瓜(まるにもっこう)」からきたネーミングだという。家族や地域の強い絆を感じさせてくれる地元密着型バルの、今後の展開に期待したい。
店舗データ
店名 | 千歳船橋バル marunimocco(マルニモッコ) |
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住所 | 東京都世田谷区船橋1-9-20 |
アクセス | 小田急線千歳船橋駅より徒歩1分 |
電話 | 03-6413-7317 |
営業時間 | 17:00〜24:00(L.O.23:30) |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 12坪・16席 |
客単価 | 2000円 |