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全日本最優秀ソムリエのタイトルを持つ阿部誠氏が、下町エリアである馬喰町に新たなワイン業態をプロデュース! “一流のカジュアル”をコンセプトにした「馬喰町 東京ぶどう酒店」が4月12日オープン!

古くから問屋街として栄える馬喰町。店は清洲橋通り沿い、レトロな建造物の1階に店を構える
地下のテーブル席。石造りの黒壁にオレンジ色のビビッドなソファーとショープレートがよく映える
席によっては、セラー内の様子が覗ける場所もある。大きなガラス窓越しに見えるワインボトルがお客を魅了する
温度・湿度管理がなされた、800本を貯蔵できるというウォークインセラーは圧巻!

(取材=小野 茜)


2002年度全日本最優秀ソムリエのタイトルをはじめ、数々のソムリエコンクールでの優勝経験や受賞経験を持ち、銀座のシャンパーニュバー「サロン ド シャンパーニュ“Vionys”(ヴィオニス)」のオーナーソムリエでもある阿部誠氏は、言わずと知れたワイン界を牽引する人物の一人だ。そんな阿部氏も仕事を離れた日常では、カジュアルなワインバルを利用する機会が多いという。しかし、「本当に納得できる美味しいワインと料理を気軽に楽しめるお店はまだまだ少ない……」と、日々感じていたようだ。ならば、自ら店を手掛けようと“一流のカジュアル”をコンセプトに、東京のイーストエリアではまだワイン業態の少ない場所に「馬喰町 東京ぶどう酒店」を4月12日にオープンする。「今回は物件ありきでした」と話す、阿部氏が心を奪われたのは、馬喰町にあるレトロな建造物の1階。清洲橋通りに面した、都営新宿線「馬喰横山」駅A1出口の真正面だ。ヨーロッパのアパルトマンを思わせる4階建てのそのビルは、昭和5年の建築と歴史が古い。しかし、関東大震災から間もなくの建造とあり、石造りで頑丈だという。その上2年前に外装を手直ししたばかりで、見た目にも美しい外観だ。店はこの1階と、螺旋階段を降りた地下の2フロアに分かれている。1階には最大18名まで利用できるスタンディングのカウンターと厨房があり、地下には37席のテーブル席と、800本ものワインが貯蔵できるウォークインセラーがある。温度・湿度管理されたワインを提供するのはもちろん、7種のグラスをワインによって使い分けし、最高のコンディションでサーブする。今回のボトルワインラインナップは「Best Value Sommelier Selection 10×8(ベストバリューソムリエセレクション)」と題し、2000円から1000円刻みに9000円までの8プライスを、各10アイテムずつ取り揃えている。阿部氏をはじめ、同店マネージャーでシニアソムリエの須賀秀和氏、ソムリエールの伊藤しのぶ氏の3人で厳選したそうだ。各プライス、10アイテムのうち泡を1種、場合によってはロゼも1種含め、残りの8~9アイテムを白・赤がほぼ均等に占めている。ワインはフランスを中心に11ヵ国から選別し、品種も偏りのないよう、バランスを重視しながら試飲を重ね選び抜いたという。「今回、リスト作りをして改めて感じましたが、1000円違うと味がかなり変わってきます。この違いを楽しんでもらいたい」と阿部氏。均一価格や低価格に特化した店が多い中で、“値段による価値”を価格ごとにしっかり感じられる同店の打ち出し方は、単に客層の幅を広げるためのラインナップではなく、やはり一流のソムリエによる演出力ではないだろうか。ボトル以外ではグラスワインも500円からあり、泡・白・赤とそれぞれ揃っているので、一人客も安心だ。また、ユニークなのが、時間をかけて練り上げたという同店オリジナルのワインカクテル。エスプーマ仕立ての「赤ワインフラッペ」は、氷を入れたワインにエスプーマ(泡状のワイン)を乗せたカクテルのこと。その斬新さと見た目の華やかさに注目が集まりそうだ。また「グラッパのソーダ割」という、シンプルだが、これまでありそうでなかった飲み方も提案してくれる。「ぶどう酒店なので、ビール以外はすべて葡萄からできたお酒を扱っています」と、一流ソムリエならではの“くずし感”のある、ぶどう酒の嗜み方が随所に盛り込まれている。料理は、都内の一流ホテルやフランスでのキャリアを持つ、中村達也シェフが腕をふるう。一方で料理全般のアドバイザーには、ホテル西洋銀座の総料理長である広田昭二氏を迎えた。本格的なフレンチを軸に置くが、どんな店でも耳にしそうな定番料理は敢えて外し、創作料理に力を入れている。前菜は1000円以下、メインは2000円以下を意識し30種ほどをベースに、季節ものや日替わりなど、そのときどきのメニューを投入予定だ。なかでもスペシャリテは、フォアグラ料理。すべて1260円と驚きの価格で常時5品用意するというから期待が高まる。そのフォアグラに合わせた甘口の白ワインも、当然メニューに載るようだ。客単価は1階で2000円程度、地下では4000~5000円を想定していて、地下のみサービス料を10%受けるという。これまでのカジュアルワイン業態では考えにくい事だが、同店は価格面・精神面でカジュアル化されていても、ワインの選定や管理、使用するグラスやサーブの方法などは一流と呼ばれる高級業態と変わらない。一見、相反する価値を融合させ、“一流のカジュアル”という新しい概念でワイン業態へ挑むところが、今回最も注目する点ではないだろうか。都内あるいは東京以外でも、「ぶどう酒店」ブランドとして出店できればと、将来的な展開の意欲を見せる同社の動きに今後も期待を寄せたい。

店舗データ

店名 馬喰町 東京ぶどう酒店
住所 東京都中央区日本橋横山町4-10 大原第五ビル地下1~1階

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アクセス 総武線馬喰町駅より徒歩3分
電話 03-3663-7373
営業時間 15:00~23:00(L.O.22:30)
定休日 日・祝
坪数客数 24坪・1階18名、地下37席
客単価 1階2000円、地下4500円
運営会社 Cantine d’Or合同会社
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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