新橋の烏森口を出た左側先に広がるのは最も新橋らしい飲食エリア。古典的な立ち飲み屋や居酒屋が軒を連ねる。そんな通りに色鮮やかなブルーのキャノピーが目に飛び込んでくる。通りに面し、スタンディングのハイテーブルも並ぶエントランスは、どこかヨーロッパの路地にある店の雰囲気。それでいて新橋らしい庶民的な気軽さを醸しだしているのは、新橋を知り尽くした“魚金”の経営だからだろう。
新鮮で豊富な魚貝を売りにした居酒屋業態、立ち飲み業態でドミナント展開している魚金は、和食業態に留まらず、洋食業態においても飲食マーケットをリードしている。ワインの“ガブ飲み”スタイル、ビストロブームの発信源となった新橋の「びすとろUOKIN」、続く「UOKINイタリアン」。両店とも予約なしの入店は難しい繁盛店だ。そしてこのたびオープンしたのが「Italian bar UOKIN piccolo」。新橋で3店舗目の洋食業態となる。
今までと大きく異なるのは、魚貝ではなく、炭火焼きの肉料理がコンセプトである点だ。ボリュームもたっぷりの男前な肉料理とフルボディワインで、“魚の魚金”ではなく、“肉の魚金”として、新しいフィールドを広げる。
「びすとろUOKIN」の現場に立ち、新橋の洋食業態をリードしてきた、営業本部フレンチ・イタリアン事業部の部長である成田氏は「新橋には今だイタリアンやワインを敬遠し、体験の少ないサラリーマンが案外と多い」と語り、「そんなサラリーマンの方が一人でも気軽に立ち寄り、楽しむことが出来るイタリアンバルを目指した」と続ける。ターゲットは女子でなく、サラリーマンがメインなのだ。
料理は、皿からはみださんばかりの「自家製サルシッチャ(ソーセージ)」(580円)、「国産牛サーロインのタリアータ」(780円)「骨付き仔羊の炭火焼」(780円)、「牛すね肉の赤ワイン煮込み」(780円)など、オススメ肉料理が7種類前後。前菜の「鶏のテリーヌ」(480円)も外せない一品だ。肉料理の多くは150グラム、200グラムと男前ボリュームでお腹もお財布も大満足。当然、「魚金」らしく、魚貝料理も揃えている。なかでも「海のカルパッチョ」(580円)は「魚金」を実感する一皿だ。基本は4点盛りだが、仕入れにより5点盛り、7点盛りとなる。大葉ベースのソースとフレッシュトマトのソースが新鮮だ。
シェフの青木氏はイタリアンの料理人になりたく、30歳でサラリーマンから転職した個性派。「愛情ある料理を出していきたい」と語る。また、成田氏は「カテゴリーはイタリアンバルであるが、ヨーロッパの伝統的な家庭料理に忠実でありながらも、『魚金』でしか出せない旨みとコクを持たせた料理を楽しんで欲しいと」とも語る。
ワインは肉料理に合わせ、フルボディタイプ(赤ワイン9割、白ワイン6割で構成)を揃え、「ボディがしっかりした、旨みの凝縮したワインを味わい、料理を楽しんで」と成田氏。ボトルワインはイタリアンを中心に、2500円から3000円代を中心にして6000円代まで、お手ごろ価格となっている。190mlから200mlと気前よく注がれるグラスワインは「ハウスワイン」(490円)と「日替わりワイン」(590円・690円)を赤白それぞれ揃えるほか、スパークリングワインが1銘柄。
ヨーロピアンブルーを基本カラーにした店に一歩入れば、オレンジ、赤、黄緑、青とカラフルな色使いがモダンアートのような、賑わいのある楽しい環境を演出している。ハイテーブルとカウンター合わせ着席は16席と限られるため、予約が必要となるが、外のハイテーブル、店内一部のスタンディングで楽しむのが「UOKIN piccolo」流の基本スタイル。
「サラリーマンの街、新橋らしく、気軽に立ち寄れることをモットーにし、たくさんの美味しい体験をして欲しい」と成田氏をはじめ、マネージャーの望月氏、スタッフは口を揃える。
「今後も安くて美味くて、街に馴染み、根づく店づくりをしていきたい」と成田氏は語る。
店舗データ
店名 | Italian bar UOKIN piccolo(イタリアンバル ウオキンピッコロ) |
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住所 | 東京都港区新橋3-18-2 |
アクセス | JR・地下鉄銀座線 新橋駅より徒歩1分 地下鉄日比谷線 内幸町駅より徒歩5分 |
電話 | 03-5473-0676 |
営業時間 | 月~土17:00~23:30、日・祝16:30~23:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 8坪・16席(スタンディング:16名) |
客単価 | 2800円 |
運営会社 | 株式会社 魚金 |