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コロナに負けない!地方版フードデリバリー「やまがたEats」がスタート。「親子三世代が楽しめる」個性豊かな30業態の商品を配達、食に関わる地元業者と協同し地方飲食マーケットの活路を見出す

北海道・東北を中心とした国内とタイで飲食店を展開する蝦夷ホールディングスは、地方版フードデリバリーとして山形県山形市で「やまがたEats」を立ち上げた。地元業者と共同し、飲食店の料理を家庭に配達するサービスだ。都市部ではフードデリバリーが拡大する中、独自の仕組みを構築、地方のフードデリバリーの可能性を模索する。今後はこの仕組みを人口30万人以下の他地方にも拡大予定だ。


Uber Eatsなど都市型デリバリーと差別化する、地方特化型デリバリーが登場!

3月19日から山形県山形市内で開始した「やまがたEats」。いま都市部で広がるフードデリバリーサービスの「地方特化型・地域密着デリバリー」だ。企画・運営をするのは、「北海道レストラン」、「ルンゴカーニバル」「大衆ギャルソン」など居酒屋業態を、北海道・東北地方の国内に加えてタイで飲食店を展開する蝦夷ホールディングス(青森県弘前市、代表:相馬慶一氏)と、山形市内で業務用酒類を販売する北庄武田酒店(山形県山形市、代表武田岳彦氏)。

(サービス開始に先立ち開催された記者会見の様子。地元メディアからも注目された)

「やまがたEats」は、同社が山形市で運営する飲食店「北海道レストラン」で食に関わる他産業とコラボしたメニューを調理し、地元の酒販店である北庄武田酒店のスタッフが自宅などお客の指定の場所まで配達する。商品は、同社がデリバリー専門として開発した30業態を用意。既存店舗の厨房で調理した商品をデリバリーのみで営業するゴーストレストランの仕組みだ。注文や決済はITベンチャーのイトナブ(宮城県石巻市)と共同開発した専用サイト上で行う。ITの会社と共同開発した自社でサイトを使うことで、サイトの運営管理やアップデートに素早く対応でき、サービスの改善スピードが速いのも強みのひとつだという。

(「やまがたEats」の配送を行うバイク)

「やまがたEats」の立ち上げについて、蝦夷ホールディングス代表の相馬氏はこう話す。「Uber Eatsはじめ大手フードデリバリーサービスは都心部を中心に展開されています。最近では地方にも進出していますが、人口20万~30万人の都市まで。それ以下の規模の街にはなかなか進出しづらいのだと思います。そこで、私達は地方で飲食店を運営してきた強みを生かし、大手が進出しない地方で、地元企業と協力して小回りを利かせた地域密着サービスを目指して立ち上げました」。

北海道×山形で「親子三世代が楽しめる」多彩な業態が魅力、すべて一括オーダーが可能

相馬氏が言うように、「やまがたEats」では大手にはない特色を打ち出している。30ある業態は、和食から洋食、中華、アジアン、お子様ランチ専門業態まで多種多様で、合計のメニュー数は500超にもなる。地元の魚卸、山形丸魚と作った海鮮丼専門業態「山形丸魚市場丼食堂」や、同じく地元の食肉卸の高橋畜産と作った肉丼業態「高橋畜産公認肉メシ食堂」など、地域の業者とコラボしたものも多数ある。蝦夷ホールディングスはもともと北海道で始まった企業ゆえ、北海道ゆかりの品も多くラインナップ。自社の北海道業態に加え、行列ができる老舗「中華料理 布袋のザンギ」とコラボしたメニューや、すすきのの人気ステーキ店「オイスター&ステーキハウスes」の豊西牛ステーキなども魅力だ。

意識したのは「親子三世代が楽しめるバリエーション」だ。「地方では三世代同居の家庭も少なくない。ちなみに山形は親子三世代同居率が日本1位だそう。おじいちゃんおばあちゃんから孫まで、老若男女が楽しめるラインナップです」と相馬氏は話す。これらは「やまがたEats」の専用サイトから一括でオーダーが可能。一軒一軒でその都度決済する必要はなく、三世代家族でも、それぞれが食べたいものをまとめて注文できることが大きなメリットだ。

(利用者はバラエティ豊かな30業態から好みの商品を一括でオーダーできる)

宮城県石巻市のデリバリー「ハコブネ。」を原型にブラッシュアップ

この「やまがたEats」の原型となったのが、先に宮城県石巻市でサービスを開始した「ハコブネ。」だ。同地域で飲食店やリラクゼーションサロンを展開するD.I.O(宮城県石巻市、代表:鈴木崇也氏)が立ち上げたサービスで、市内の15の飲食店で共同し、それぞれの店の商品をデリバリーで販売する。「鈴木さんから『ハコブネ。』の取り組みについて聞き、当社でも独自のデリバリーを立ち上げようと考えました。しかし、課題として浮かび上がったのが、参加飲食店を集めることでした。地方では老舗個人店が多く都会ほど飲食店同士の結びつきが強くない。『ハコブネ。』では、結果的に協力店舗が15店集まりましたが、これは100店以上に声をかけてようやく集まったというもの。1軒1軒、交渉をするのにかなり労力が必要だったそうで、それならば自社でそれだけの数の業態を作った方が効率的ではないか?と考え、自社のノウハウを生かして30業態を作りました」(相馬氏)。

配達は地元酒販店が協力。互いにメリットある形を構築

配達は、Uber Eatsのように個人事業主の配達員ではなく、地元の酒販店が行う点がユニーク。商品は北庄武田酒店のスタッフがバイクや車で届け、配送委託料は、蝦夷ホールディングスが北庄武田酒店に商品代金の20%を支払う仕組みだ。毎回、知らない人が来る大手のフードデリバリーサービスと違い、顔なじみの人が届けてくれるというのも地方ならではで、お客の安心や満足につながっているという。北庄武田酒店代表の武田岳彦氏はこう話す。「大手のデリバリーサービスでしたら検討しなかったのですが、相馬さんの発想力と行動力に胸を打たれて、ぜひ、当社の酒販店として培ってきた配送業務の面から協力したいと思いました。『やまがたEats』を通じて当社の配送能力が上がれば、本業の酒販店としての販売戦略も広がると考えました。実際に配送を始めるにあたり、フードデリバリーは初めてのことですから、あれこれ不安や苦労がありましたが、それを超えて『楽しい!』という感想がスタッフ全員から聞かれました。配送先のお客様とのやり取り、家族みんなでデリバリーを楽しんでいる雰囲気などが伝わってきて、スタッフのやりがいになっています」。

(写真左から蝦夷ホールディングス代表の相馬氏と、北庄武田酒店代表の武田岳彦氏。北庄武田酒店はデリバリーサイトの1業態としても参加しており、食事と同時に酒を1本からオーダーできる)

岩手県盛岡市でもサービス開始。今後も人口30万人以下の地方にパートナーを募集

サービス開始から2か月ほど。平日は日商3万~8万円、週末は8万~15万円と、売上に幅はあるものの休日の家族団らんシーンで利用されることが多いという。店舗の通常営業に「やまがたEats」の売上が上乗せされるため、とても助かっているという。「“出前”というと、すしやピザといった特別な日に頼むもののイメージが地方ではまだまだある。『やまがたEats』が目指すのは、日常に根差したデリバリー。例えばお母さんが今日は料理を作れないなという時、気軽に利用してもらえるようなサービスにしていきたい。実際にオーダーの様子を見ていても、個食シーンで注文が多い他のデリバリーサービスと違い、数家族が集まる飲み会や、家族の食事に多く利用されているようです」(相馬氏)。

(プロモーションは東北で成長中のインフルエンサー「宮城と山形のらむちゃん」に公式アンバサダーとして協力を依頼。宮城で絶大な人気があり、山形でも大きな効果があったという)

今後はこの仕組みを他地方でも展開したい考えで、すでに岩手県盛岡市での展開が決まっている。「やまがたEats」で営業する業態の商品の多くはPB化されており、既存の飲食店の厨房を使って、少ない負担のオペレーションで調理が可能だ。他地方でも展開する場合、その地方の特性や店舗の事情に合わせてやりたい業態だけを取り入れて自由度を高く営業することができる。「大手デリバリーサービスが展開をあまり考えない人口30万人以下の地方でこそ真価を発揮できるはず。地域密着を大切にし、地方の人の生活を豊かにするデリバリーを提供したい。同時にコロナ禍で思うような営業ができない飲食店の助けになれれば。山形以外の地方で展開するにあたり、パートナーも募集中ですので興味のある方はお問合せください!」と相馬氏は話す。また、ロードサイドの空き物件で「やまがたEats」の業態やメニューを生かし、「○○Eatsレストラン」(○○にはその地方名が入る)というデリバリー事業と、リアル店舗としてのフードコートの2つの事業を併走させる「ロードサイドのフードコート化」&「リアルゴーストレストラン」も計画している。

やまがたEats
https://y-eats.com/

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