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ヒットデリバリー業態、淡路島パスタ「和太利庵(わたりあん)」“配達後も美味しい生パスタ業態”が生まれるまでの道のり≪エフ・エフ・アルファ五味祥夫総料理長インタビュー≫

パスタはデリバリーでも人気が高いが、配達されるまでに麺やソースの状態が変化しやすく、クオリティの高い商品を提供することがなかなか難しいアイテムだ。そんな中、Uber Eatsで4.9点超の高評価を獲得し、月商200万円越え店舗も続出するヒットを収めているのが生パスタ業態「和太利庵」だ。兵庫・淡路島をテーマにした居酒屋「淡路島と喰らえ」などの飲食店を展開するエフ・エフ・アルファ(東京都新宿区、代表取締役:渡辺真人氏)のヴァーチャルレストランブランドのひとつで、既存の飲食店の厨房を使用し、デリバリー専門で都内の複数店舗で販売を行っている。淡路島の製麺会社、淡路麺業の麺を使用したカルボナーラやボロネーゼを用意。配達を経てもモチモチの食感が楽しめ、さりげなく和素材を散りばめて親しみある味わいに仕上げているのが人気の秘密だ。開発にあたっては、和食の名店で修業を積み、同社の総料理長に就任した五味祥夫氏が半年をかけて試行錯誤の末に完成させた。五味氏に、ヒットデリバリーブランド誕生までの道のりを聞いた。



エフ・エフ・アルファ総料理長 五味祥夫氏
1980年東京都生まれ。都内で11店舗の飲食店を展開するエフ・エフ・アルファで、総料理長として全店舗の料理を統括。それ以外にもテレビ番組への出演や料理教室の講師など幅広く活躍中。

ヴァーチャルレストランブランド「和太利庵」

コロナ禍で起死回生をかけてデリバリー業態を30以上開発!

―「和太利庵」開発のきっかけは?

昨年春頃から新型コロナの影響で当社の店舗で売上が激減してしまい、夏頃から新たな収益源を確保しようとヴァーチャルレストランの業態作りがスタートしました。まずはとにかく数多くの業態を作って投入し、その中で様子を見ながら売れるものを残していく方針でした。しゃぶしゃぶやスンドゥブ、サラダなど30業態ほどを作ったのですが、当初は売上がふるわず、もうやめようかという話が出るまでに追い込まれました。ですが、色々と調べていくうち、どんな業態がデリバリーで売れるのかがわかってきた。パスタも、デリバリーで人気が出る業態のひとつのようでした。パスタは競合も多いのですが、他店のものをデリバリーで頼んでみても麺が伸びていたり、価格が安くても味わいが値段相応だったりと、本当においしいパスタ業態は少ないなと感じました。そこに目を付け、おいしくて価格にも満足してもらえるパスタ業態を作ろう、と試作が始まりました。

―どんなパスタを目指しましたか?

当社では「淡路島と喰らえ」をはじめ、淡路島をテーマにした飲食店を多く運営しています。淡路島の生産者ともつながりが深く、創業110年以上の製麺会社の淡路麺業から取り寄せた生麺を使用しています。パスタなのでベースの調理法はイタリアンですが、隠し味に白みそを加えたり、味のベースには昆布出汁を使ったりと、和の素材をさりげなく使用し、日本人にとってどこか馴染みある味に仕上げたパスタを目指しました。

(カルボナーラ、ボロネーゼ、明太子クリームなど現在は7種類のバリエーションを用意)

半年間は試作を繰り返し。誰が作っても味ブレせず、配達後も美味しいパスタが完成

―開発で苦労した点は?

それはもう、たくさん……(苦笑)。なにより大変だったのが、デリバリーで時間が経っても美味しさを保つことでした。店内で提供するのと違い、デリバリーではお客様が召し上がるのが、調理から40分から1時間後。特にパスタは状態の変化が大きい料理なので調整に苦労しました。例えば、麺の茹で時間は2か月にわたり試行錯誤を繰り返しました。茹で時間を何度も調整したほか、通常、パスタはお湯に塩を入れて茹でますが、塩を入れないで茹でる工夫をしています。そうすることで、1時間後に最も旨みが出るようになるんです。ソースの量や、包材によっても味わいは変わるので、たくさんのトライ&エラーを試した末に決めました。

また、当初はプロの料理人とアルバイトといった作る人によって品質が大きくブレてしまうことも大きな課題でした。現在は、麺とソースともに80秒を茹でて絡めるだけのオペレーションにして、誰が作っても同じ品質になるようにしました。

(麺・ソースともに冷凍状態で店舗に納品。ともに80秒茹でて盛り付けるだけで完成する)

―お客様の反応はいかがでしたか?

やはりパスタはデリバリー人気が高く、販売当初から注文は入りました。ただ、最初はお客様から相当数のクレームが……。「麺が伸びている」「モチモチ感がない」など。時間をかけて完成させた商品でしたが、そこからまた、その都度、改善を繰り返していきました。例えば、「まずい」とクレームをいただいても、実はお客様が食べる前にレンジで指定の時間温めてなかったということも。しかし、それは突き詰めればそれはお客様にとって説明指示がわかりにくかったから。商品に同封する説明書をより見やすいレイアウトに変えたりと、マイナーチェンジを繰り返しました。

結果、現在はクレームも減り、「おいしい」という感想が格段に増え、嬉しく思っています。Uber Eatsで高評価の点数が付いたり、月商は200万円を超える店舗も出たりなど、有難いことに好評をいただいています。デリバリーは商品代に加えて配送料が乗っかるので、価格がどうしても上がりお客様の期待値も上がる。これからも改善を重ね、それにこたえられるような商品づくりを心掛けています。お客様が飽きないように季節限定商品を積極的に投入したり、グルテンフリーの麺を選べるようにしたりと、より魅力ある業態にしていきたいですね。

和食の名店で修業を経て総料理長に、多彩なジャンルで和食の魅力を発信!

―五味さんは和食の料理人だったそうですが、パスタに挑戦するうえでハードルはありましたか?

私の経歴をお話すると、中学生の頃から料理に興味があり、調理師学校を卒業して大阪の「船場吉兆」や「一利木」といった和食の店で修業しました。12年前、縁あって「淡路島と喰らえ」の立ち上げに参加し、現在はエフ・エフ・アルファの総料理長として全店舗の料理を統括しています。当社は和食だけでなくイタリアンや薬膳料理、ヴィーガンなど様々なジャンルの店舗を運営しており、和食以外に様々な料理を開発してきました。私は和食がベースにはありますが、和食にこだわらず様々なジャンルの料理の中に、日本の素材や和食の技術を取り入れることが得意なんです。ですので、「和太利庵」では苦労はありましたが、和を取り入れたパスタ業態作りは楽しんで挑戦できましたね。

先人が築いてきた和食の技術は大切にしつつ、一方で、今の時代には、昔にはなかった技術や道具も登場しています。伝統だけに固執することなく、常に新しいことにもチャレンジしていくことが和食の価値の底上げになると考えています。「和太利庵」を通じて、料理のジャンルに縛られることなく和食の良さを表現し、さらに、従来のイートインだけでなくデリバリーという新しい形態でも伝えていけたらと思っています。

―ありがとうございました!

■エフ・エフ・アルファのヴァーチャルレストランブランド「和太利庵」詳しくはこちら

(取材=大関 まなみ)

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