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トップ経営者が考える分煙の取り組みとは? 「喫煙客優遇イベント」で集客増を狙え!


中目黒にホルモン焼き「魅惑の七輪 らんまん」、丸の内に同業態「らんまん 丸の内総本山」、恵比寿にからあげとレモンサワーの店「らんまん食堂」、五反田に鶏のホルモン焼き店「酉焼 美智子」、そして渋谷にコーヒー専門店「MUD SPOT 渋谷1」の計5店舗を展開する、有限会社ハレノヒ代表取締役の高野昌宏氏。今回は、数々のトレンドを生み出してきたトップ経営者に、分煙に対しての考え方や、各店舗での取り組みを聞いた。

立地と業態、ランチとディナーで喫煙状況を変更

これまで、ホルモン業態や唐揚げ専門店など、数々の繁盛店を輩出してきた、ハレノヒの高野氏。各店の喫煙環境は、それぞれの業態や立地によって変えているという。
ホルモン焼き店「らんまん」中目黒店は、現在夜営業のみで全席喫煙可。丸の内はランチタイムが禁煙、ディナータイムは全席喫煙可と時間帯分煙を実施する。煙の出る業態であることから、各テーブルに排煙設備があるため、分煙などの対策は必要ないと考えていたという高野氏。しかし、ランチタイムだけは回転率を上げるため、完全禁煙にしている。

らんまん食堂 恵比寿店 外観

恵比寿店をオープンしたのが、折しも「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」の施行された2010年。そうした流れがあったことや、恵比寿という立地で女性客をターゲットにしようとの考えから、ランチからディナーまで完全禁煙の店にして開店。しかし当時、都内での完全禁煙の店は浸透しておらず、愛煙家から「たばこが吸えたら良いのに」との声も上がった。時流に乗ったはいいが、禁煙にすることで客を取り逃がしてしまうことも多かった。そこで、ディナータイムのみ喫煙を可能にし、徐々に客をつけていった。

昨年オープンした五反田店は、業態、立地を考慮して、全席喫煙可能に。サラリーマンをターゲットにしているため、酒とたばこを楽しめるような環境を整えた。「お酒とたばこは相性の良い嗜好品です。ですので、お酒の場所でたばこが吸えた方が、お客様にとっては良いように思います。嗜好品(たばこ)をわざわざ店側で排除してしまうのはもったいない」との考えが高野氏にはある。

スモーカー限定割引で集客アップにつなげる!

MUD SPOT 渋谷1 店内

今年1月にオープンした「MUD SPOT 渋谷1」は、店内は禁煙だが、12席あるテラス席は喫煙可能だ。
「コーヒーも嗜好品ですので、たばこを吸える場所は必要だと思い、テラス席を設けました。屋外テラスでの喫煙による通行人からのクレームなどは今までありません。テラス席と店内を区切る窓は、ビニールカーテンですが、煙が店内に入ってくる事もないです。」(高野氏)。

デモCD持ち込み割の表示

高野氏が考える同店のコンセプトは”音楽をはじめとするサブカルを発信し、軽い文化を作る場所”。実際に「楽器持ち込み割!」や「デモCD持ち込み割」など、音楽を志す若者にお得な割引イベントや、不定期でライブイベントを開催している。
「例えば『スターバックス』は完全禁煙で、若者が勉強をしたり、ノートパソコン片手に仕事をしたりする、おしゃれな空間だとすると、『ドトール』はサラリーマンが打ち合わせや、仕事の合間に休憩する場所。なんとなくですが、それぞれの利用イメージがあります。その中で、当店は、美味しいコーヒーの味と香り、居心地のよいソファ、そしてこだわった音楽と、五感で楽しめる店にしたいと考えています。そうした意味で、他のコーヒーチェーンとは異なる文化を発信できるのではと思っています」。

また、同店では、毎週金曜日に「スモーカー割り」というイベントを実施している。これは、注文時に喫煙するかどうかを聞き、喫煙客であればコーヒーメニューを1杯30円引きにするというものだ(テイクアウトは対象外)。
導入のきっかけは、前述の「喫煙客も取り込みたい」との考えから。7月から始まった同イベントだが、今では来店動機の一つになっており、テラス席は満席状態の続くことが多い。喫煙者と非喫煙者の割合は通常4対6だが、スモーカー割りを実施する金曜日は、とくに喫煙客が多く来店するという。
「でも、少し困っているのは、テラス席に灰皿を置いているため、コーヒーを注文していない道行く人が、休憩所として利用してしまうことでしょうね(笑)。店側としても『たばこが吸えるよ』というサインとして、灰皿を置いているので、仕方がないと言えば仕方がないのですが。店の売上げにはいずれつながるのではないかと思っています」(高野氏)

単に分煙で、喫煙者と非喫煙者が共存できる環境をつくるだけでなく、世間では肩身の狭い思いをしている喫煙者がちょっと嬉しくなるようなイベントを企画する。こうしたちょっとしたアイデアが、集客に結びついているようだ。

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