育ててもらった街に恩返ししたい。多様なキャリアが導いた飲食の道
オーナーの上田泰之氏は溝の口出身の41歳。大学卒業後は紳士服の販売、ホテル・リゾート企業での営業・マーケティング、IT企業でのSEOコンサルタントなど、多様なキャリアを積んできた。しかし、AIの台頭をきっかけに「お客様の喜びを直接感じられる環境で働きたい」という思いが強まり、働き方を根本から見直すことになる。
そのとき思い出したのが、20代後半に通っていた渋谷のバーでの体験だった。スタッフや常連客との温かな交流に触れ、「いつか自分もこんな店をつくれたら…」と感じた記憶がずっと残っていた。飲食の“目の前の人にダイレクトに向き合える感覚”が再び胸に浮かび、「挑戦するなら、自分を育ててくれた溝の口の街に恩返しできるような店をつくりたい」と考えるように。こうして、人生の後半は飲食の道へ進むことを決意する。
働く場として選んだのは、地元で通っていた「炉ばた 灯台」。ベイシックス出身の佐藤大介氏が手がける繁盛酒場だ。雰囲気や料理のクオリティに惹かれ、「ここで飲食の基礎を学びたい」と考えた。飲食未経験ながら、2年以内に独立する覚悟で、38歳の2023年9月に入社。現場に入ると、最初は体力的な厳しさに直面。長くデスクワークだった身体には立ち仕事が堪えたが、料理を出した瞬間に返ってくるお客の反応に触れるたび、「この選択は間違っていなかった」と実感した。
「炉ばた 灯台」代表の佐藤氏の手厚いフォローにより、原価管理、仕込みの段取り、保存方法など、店を運営するための基礎を一つひとつ身につけることができた。未経験から短期間で独立に必要なスキルを吸収できたことは、大きな自信につながったという。
修業を始めて1年ほど経った頃、独立を見据えて物件探しを始めたものの、希望に合う物件はなかなか見つからなかった。そんな中、プライベートで親しくしていた不動産関係の知人から現在の物件を紹介される。駅前の喧騒から少し離れた、住宅街へと続く落ち着いた通り沿いに立つ6.7坪の路面店。少人数で運営でき、落ち着いて飲める店を想定していた上田氏のイメージに合致していたことから、出店を決める。こうして2025年7月、念願の独立を果たした。

溝の口駅南口から徒歩4分、住宅街と商業エリアをつなぐ幹線道路・野川柿生線沿いに立地。暖簾と木枠のシンプルな外観で、中の様子が見えることで気軽に入りやすい雰囲気だ

6.7坪11席の店内。L字カウンターが主役で、横に4名がけテーブルも1つも備える。入口のガラス面がすぐ背後にあるため、横一列に並ぶカウンターの存在感が強く、どこかラーメン店のような親しみやすさがある
店舗データ
| 店名 | 居酒屋ろーかる |
|---|---|
| 住所 | 神奈川県川崎市高津区下作延2-7-31 NKビル1F |
| アクセス | 東急田園都市線・大井町線 溝の口駅、JR南武線 武蔵溝ノ口駅から徒歩4分 |
| 電話 | 070-8990-6910 |
| 営業時間 | 17:00~23:30(LO 料理:22:00 ドリンク:23:00) |
| 定休日 | 日・祝 |
| 坪数客数 | 6.7坪11席 |
| 客単価 | 5000円 |
| オープン日 | 2025年7月28日 |
| 関連リンク | 居酒屋ろーかる(Instagram) |

















