本物の味に出会って、涙が出た
渋谷駅と神泉駅のちょうど中間。道玄坂から一本入った路地に、個性的な店がひしめく“渋谷の裏顔”的な大人の飲み歩きエリアがある。そんな一角に、タコス専門店「タコストリート」がオープンした。
オーナーは、渋谷で「Conquistar(コンキスター)」など複数の飲食店を運営するSocial Surfers代表の鈴木勝己氏。店づくりを担うのが、岡山出身の加藤健氏だ。加藤氏は学生時代から料理に親しみ、営業代理店での会社員経験を経て飲食の道へ。きっかけは、会社員時代の先輩から「沖縄のタコライスを東京で食べたい」と頼まれたこと。「そんなわがままを叶えたい」とタコライス作りに奔走する日々が始まった。試作を重ねる中で本場の味を学ぶべく沖縄を訪れた加藤氏は、タコスの老舗店「メキシコ」で初めて本格的なタコスを口にし、その味に衝撃を受けたという。以降、タコライスからタコスへと軸足を移していく。
2020年に上京し、引き続きタコスを追求。一時はブリトーやビーガンタコスなど幅広いアイテムに挑戦し、ホームパーティーでふるまったり、ポップアップで販売したりしていたが、2022年にカルニタス1本に絞るようになる。その転機となったのが、原宿「TACOS 3hermanos(タコス トレス エルマノス)」でカルニタスを食べた瞬間だ。それまで作ってきたものとの圧倒的な違いに衝撃を受けた。「その日を境に、粉やラードを一から見直し、本格的なカルニタス作りに取り組むようになりました」。
2023年3月からは、間借り営業を開始。江戸川橋の「水道ギャラリー」や渋谷の立飲み居酒屋「嚔(アチュー)」など、「ケンタコ」名義で都内各地で出店を重ね、自慢のカルニタスをはさんだタコスを提供する。もともとは「手に職をつけたい」という思いから始めた料理だったが、自分が提供したタコスが「美味しい」と言われる度に、料理が自分のものになっていく実感が芽生え、独立への思いが強まっていく。
2024年11月には、約3週間メキシコに滞在。現地のタコスを自分の目と舌で確かめたい思いから、複数のタコス専門店を巡った。中でも心を打たれたのは、「地域で根を張る店の強さ」だった。「どこで店を構えても支持されるだろうと感じましたし、その土地で真摯に働く人たちの姿に胸を打たれました。食べ終えたあと、涙が出るほど感動したんです」。その体験を通じて、「自分も地域に根差して、人をもてなし、感動を届ける店を持ちたい」という思いが明確になった。
帰国後、間借り営業時に出会い、加藤氏のカルニタスの味にほれ込んだ鈴木氏から「ちょうどいい場所が空いた」と連絡を受ける。渋谷と神泉の中間に位置する、約4坪の路面店だ。タコス=ストリートフードという考えから、路面店に強い思いがあったこと、さらに、前店舗も地域で長く愛された店だったことも後押しとなり、開店を決意する。

渋谷マークシティの奥、道玄坂から国道246号線方面へ向かう路地に立地。ガラス張りのファサード越しに店内の様子が見え、通りがかりでもふらっと立ち寄れる、ストリートフードらしい開放感が漂う外観だ

約4坪、最大10人が入れるコンパクトな店内。白タイルで統一されたシンプルな空間に、木製カウンターが温もりを添える。奥には調理場がのぞき、タコスが仕上がっていく様子が自然と目に入る。扉を開けた瞬間、豚肉を煮込む香りが立ちのぼり、食欲を刺激する
店舗データ
| 店名 | タコストリート |
|---|---|
| 住所 | 東京都渋谷区道玄坂1-20-2 |
| アクセス | 渋谷駅から徒歩5分、神泉駅から徒歩6分 |
| 電話 | 03-6416-5492 |
| 営業時間 | 火・土:17:00~28:00、水・木・金:12:00~28:00 |
| 定休日 | 月曜・日曜 |
| 坪数客数 | 4坪10人収容 |
| 客単価 | 1500~2000円 |
| 運営会社 | 株式会社Social Surfers |
| オープン日 | 2025年4月2日 |
| 関連リンク | タコストリート(Instagram) |

















