生産者の思いが込められた食材を独自の表現に落とし込む!ノンアルコールの充実ぶりにも注目
今回は高橋氏が中心となってメニュー開発を実施。「目黒 三谷」の名物である芝浦の新鮮な肉を核に構成していった。「芝浦レバーのコンフィ」(1280円)、「芝浦牛ハツのタルタル」(1450円)、「牛アキレス腱のエスカルゴバターソテー」(920円)など、「目黒 三谷」でシンプルに炭焼きで提供していた素材を、低温調理やオーブン調理など、技法にこだわって仕上げ、提供する。
また、直接生産者や販売者のもとに足を運び、自分たちの店づくりの思いに呼応するストーリー性や熱意を感じた食材を厳選し、独自の表現でメニューに落とし込んでいるのも特徴だ。例えば、石司の生本鮪は、刺身ではなくあえて焼き上げて「石司 生本鮪のポワレ ラズベリー醤油」(4400円)として提供。ラズベリーの酸味に、燻製香をまとった生クリーム、黒胡椒、ごぼうチップスと複層的な風味を構築しながら、鮪の旨みを最大限に引き立てた一皿だ。
ほかにも、世界中の500以上の品種を扱う千葉のイチジク農園「フィグモア」の品種を使った「ブルスケッタ フィグモア 無花果と生ハム」(580円)、栃木・長谷川農場の足利マール牛を使用した「マール牛シンシン炭焼き デラウェアソース」(4200円)など、食材の背景にある物語を料理で表現している。デザートには「バスクチーズケーキ」(880円)を提供。食後でも軽やかに楽しめる味わいを意識し、カフェ出身の高橋氏ならではのこだわりが詰まった一品となっている。
ドリンクは料理に合わせてワイン(グラス1200円~)を豊富に用意。セレクトは有名イタリアンで経験を積んだ梅澤有海氏が担当し、料理や客の嗜好に応じてペアリングを提案している。
とはいえ「今回の業態はビストロですが、souzouはあくまで“居酒屋の会社”です。洋食を提供する居酒屋として、ワインに縛られずに好きなものを飲んでほしい」と曽我氏。その言葉通り、生ビール「サッポロ黒ラベル」(900円)、「三谷レモンサワー」(880円)、ウイスキー(1380円~)、「山椒ジン」(900円)などと居酒屋らしいラインナップも並ぶ。
さらに注目すべきは、10種以上揃えたノンアルコールの充実ぶり。「季節の自家製ティースパークリング」(1320円)、「クラフトジンジャーエール」(1100円)、「自家製チャイ」(1100円)などオリジナリティ溢れるメニューは、香りの主張を抑え、食事に寄り添う設計で梅澤氏が開発したものだという。
その背景には、曽我氏の「僕自身、バイクに乗るのが好きということもあり、お酒じゃないとダメということは言いたくない。好きなものを自由に楽しんでほしい」というスタンスがある。こだわりがある分、作業工程は多く、価格はアルコールと同等に設定。曽我氏は「ノンアルだから安く、ではなく、素材や味わいにしっかり向き合って価格に見合う内容にして、それを楽しんでもらいたい。今後もラインナップを増やしていけたら」と話す。

豊洲市場で天然国産本鮪を専門で扱う老舗仲卸「石司」から仕入れた本鮪を使用した「石司 生本鮪のポワレ ラズベリー醤油」。漁師の想いと努力を何よりも尊重する同社の姿勢に深く共感し、仕入れを決めた。その質と価格から、居酒屋業態では扱いが難しく導入を見送っていたが、今回ビストロとしての表現に踏み切った。鮮やかな赤身はステーキのような迫力があり、見た目に驚く客も多いという

「鮎とズッキーニのリゾット」(1980円)。鮎を丸ごとコンフィにし、骨まで柔らかく仕上げた一皿。鮎のワタのほろ苦さがアクセントとなり、味に奥行きを与える。ベースにはきゅうりとズッキーニを用い、夏の瑞々しさを表現。使用する食材は季節に応じて変化する

「マール牛シンシン炭焼き デラウェアソース」は、ワインをつくる工程に出るブドウの搾りかす“マール”を飼料に育った牛を使用。その背景に合わせ、ソースにはデラウェアを使い、付け合わせには巨峰を添えるなど、意外な親和性を料理に落とし込んでいる
店舗データ
店名 | Bistro Sanya(ビストロサンヤ) |
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住所 | 東京都世田谷区三軒茶屋1-32-21 |
アクセス | 東急田園都市線 三軒茶屋駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6690-4886 |
営業時間 | 18:00~24:00(LO 料理22:00、ドリンク23:00) |
定休日 | 火曜 |
坪数客数 | 20坪14席 |
客単価 | 8000円 |
運営会社 | 株式会社souzou |
オープン日 | 2025年9月5日 |
関連リンク | Bistro Sanya(Instagram) |
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