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五反田に3.8坪の小さな酒場「KOMA」がオープン。チーズやスパイス、ハーブのテイストをふんだんに盛り込んだ「晩酌メニュー」が、おひとり様女子の心を掴む

10月1日、五反田に「KOMA」がオープンした。チーズやスパイス、ハーブの知識に精通した店主の浅地朋氏が作る晩酌にぴったりな小皿料理をつまみに、自然派ワインを中心とした酒を楽しめる小さな酒場だ。わずか5席の店舗の外装・内装は、数多くの雑貨店やカフェを手掛けてきた無相創に任せ、隠れ家風の落ち着いた雰囲気を醸し出している。地元民を中心にファンが増加中。女性のひとり飲みも多い。今後は看板であるチーズの小ロット販売も視野に入れている。

大通りから外れた、少し怪しい裏路地に立地。煌々と輝く店の灯りが、通り行く人々の足を止める
目を引く打ちっぱなしのコンクリートや金属の照明に、一枚板のカウンターが温かみを醸し出す店内。キッチン側の壁には手書きのチーズレパートリーが書かれている
その時折々で旬の状態のチーズを仕入れ、おひとり様に合った量で提供している
長野県東御市の「ソーセージハム男」から仕入れた「無添加ソーセージ」。プレーンのほかシソなど、テイストも種類がある
右から店主の浅地朋氏。母の洋子(ひろこ)氏。普段は浅地氏ひとりだが、毎月第2週はふたりで店に立っている

(取材=高橋 健太)


学生時代から飲食業界を志し、幅広い知識を身に着けるため「ポワヴリエ」で働き始める

五反田駅東口から少し歩いた先にある歓楽街。薄暗く、怪しささえ感じる細路地にひっそりと「KOMA」は居を構える。店主は浅地朋氏。10月オープンの店舗だが、すでに常連が付き始め、女性のひとり客が多いのだという。

浅地氏は、学生時代にルームシェアをしていた友人にご飯を作ったり、カフェでアルバイトをしたりしていた経験から飲食業界に興味を持ち、「いつかは自分の店を持つ」という目標を持った。卒業後の進路も飲食に携わるものを考えていたが「バリバリの料理人として修行を積み、独立」という道に対しては「自分の目指す方向性とは違うような気がしていた」と語る。

「興味のある食材や料理が多かったので、『色々なものに触れて、知りたい』という気持ちが強かったですね」と、浅地氏。大学を卒業したあとはマスコットフーズに入社。当時、表参道ヒルズで営業していたレストラン併設のスパイスとハーブのアンテナショップ「ポワヴリエ」に勤務し、知識や調合を習得していった。その後、ナチュラルチーズの販売店やECサイトを運営するフェルミエに入社。「フェルミエ渋谷店」に勤務し、チーズに対する知見を深めていった。

「フェルミエ」での経験が、現在の料理作りの大きな柱に。母の後押しで独立へ

フェルミエに入社してから8年が経つ頃、浅地氏は独立開業の決意を固める。きっかけは、母・洋子(ひろこ)氏の後押しだった。「フェルミエではひたすらチーズを食べて、学んでの日々を繰り返していましたが、本当に充実していたんです。『独立しないでもいいかな』という考えも頭をよぎりました」と、浅地氏。「母は私がいずれ独立したいと思っていることを知っていたので、そんな状況を見かねたんでしょうね。『いつまでのんびりしているの』と、発破をかけてくれました」と、笑う。改めて自身の展望を考えた時、「自分で店舗を持つからこそできる、チーズとの関わり方」という答えに行きついた。「会社勤めで販売という形だと、料理と合わせて提供することができません。小売りをやるにしても、会社の規格の中の分量でしか出せない。でも、自分で店を持てば、そういったことが可能だと思ったんです」と、浅地氏は開業を決意。昔、祖母が住んでいた五反田の古家を改装して、10月に「KOMA」をオープンした。わずか3.8坪の店舗の設えは、無相創に依頼。「無骨な中にかわいらしさを」というリクエストで、隠れ家的雰囲気を演出している。

チーズやスパイスのテイストを加えた「晩酌メニュー」と自然派ワインが看板

料理のテーマは「晩酌」。一日の最後に軽く飲み食いできるような日替わりメニューが品書きに並ぶ。「りんごとシャインマスカットのリコッタチーズ白和え」(500円)や「ロメインレタスとマッシュルームのサラダ 農家製チェダーチーズがけ」(700円)、「コブミカン香る砂肝コンフィ」(500円)「トマトと豚肉のスパイスビネガーカレー」(800円)、「里芋と信玄鶏のブルーチーズグラタン」(700円)などの、浅地氏が培ってきたチーズやスパイス、ハーブの知見をテイストに加えた料理がオリジナリティを醸し出す。また、長野県東御市でソーセージを製造している「ソーセージハム男」から仕入れた「無添加ソーセージ」(600円)、「ロースハム」(1000円)、「柿と生ハム」(1200円)や、毎月第2週に浅地氏とともに店に立つ洋子氏謹製の「十割手打ちそば」(600円)といった、出身地である長野の品も品書きを彩っている。

酒は、季節ごとに旬のものを提供する自然派ワインがウリ。赤と白常時3~4種類とオレンジワイン(各種グラス700円~、ボトル4200円~)、スパークリング(800円)を取り揃える。また、ハイボール(700円)は香り強めと優しめの2種と、りんごの風味が特徴的なカルバドスを使ったハイボールの計3種類を用意。そのほか「キリン ハートランド中瓶」(700円)や「クラフトビール小瓶」(700円)、「イタリアのナチュラルレモネード」(700円)といったラインナップが揃う。

今後はチーズの小売りも計画。地域の小さな社交場としての店を目指す

今後の展望について浅地氏は、「駅東側の歓楽街のイメージから『五反田は怪しい』という印象を持っている人が多いかもしれませんが、祭やみこしの文化が今でも残っている、情緒ある街なんです。地域に住んでいる人々が繋がれる場所にしたいですね」と、語る。また、今後は店舗でチーズの小売りも始める予定だ。「通常、小売店で買うと小さくても100gほどの大きさで、1日では使いきれません。『その日の晩酌用』に使える30g程度の大きさで販売をしたいなと考えています」と、語る。

店舗データ

店名 KOMA(コマ)
住所 東京都品川区東五反田1-18-4

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アクセス JR・都営浅草線五反田駅から徒歩5分
電話 070-8334-4126
営業時間 17:00~22:00
定休日 日祝(月初にInstagramにて店休日を告知)
坪数客数 3.8坪 5席
客単価 3000円
オープン日 2020年10月1日
関連リンク KOMA(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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