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野方で居酒屋「囲み屋」を経営する店主が「おでん割烹 日南乃」を開業。2100円でオススメをひと通り少量ずつ提供するコースをウリに創作おでんを楽しませる。つくねやグッズのECなど、手広い戦略で挑む!

7月7日、野方に「おでん割烹 日南乃」がオープンした。ひとひねりを加えた創作おでんが自慢の店で、名物「黒つくね」含む同店のオススメがひと通り少量ずつ楽しめる2100円のおでんコースがウリ。早くも評判を呼んでいる。運営会社は縁で、代表は現在29歳の江川冬馬氏。すぐ近くに居酒屋「囲み屋」も経営し、それに次ぐ新店舗だ。店舗展開だけでなく、店舗で提供するつくねを自社のECサイトで販売することも計画中。柔軟な発想と実行力で、スピード感ある経営を行っている。

一見怪しげな「野方文化マーケット」内の、入り組んだ場所に立地。お客が入りやすいよう、白壁に丸窓、外から中が見えるガラス張りと、清潔感あるファサードに仕上げた
1枚板のカウンターは、キッチンとの仕切りを作らずお客とスタッフが会話しやすいよう設計。奥にはソファのテーブル席もあり、居心地の良さを重視している
「日南乃 彩コース」に含まれる3品。手前から「黒つくね」「濃厚玉子の鰹節ごはん」「厚揚げと椎茸 濃厚卵黄を絡めて」。これらのほか、4品が提供される
餃子を皮ごと巾着で包んだおでん「ニラ饅頭」(350円)。かかっている自家製ラー油も瓶詰めで販売中。焼酎「日南乃」とともに、オリジナル商品開発にも力を入れている
右から店主の江川冬馬氏と、「囲み屋」店長の関義博氏。アパレルとのコラボや動画配信など、江川氏は飲食の枠だけに囚われない挑戦を画策中だ

老舗イタリアンや、「ミート矢澤」のビータスを経て、デリカ「囲み屋」を買い取り20代で独立

野方駅南口を出て商店街を抜けた先にある、戦後、闇市だったという「野方文化マーケット」。一見怪しげな路地を進んでいくと現れるのが「おでん割烹 日南乃」だ。同店は、同じく「野方文化マーケット」内の居酒屋「囲み屋」を運営する縁(東京都中野区)の新店舗。快活な笑顔で迎えてくれるのは、代表取締役の江川冬馬氏。ひとひねりを利かせた創作おでんがカジュアルに楽しめる酒場だ。

江川氏は調理師の専門学校を卒業後、料理の技術を高めたいと池袋の老舗イタリアン「GHIOTTONE」に3年間勤務。その後、「ミート矢澤」などを展開するビータス(東京都港区、代表取締役社長:小宮孝喜氏)に入社し、五反田の「とんかつ あげ福」でメニュー開発などの立ち上げに携わった。その後は同社の系列「焼肉ジャンボ 白金」に1年ほど勤務。独立を見据えて退社し、デリカ(東京都杉並区、代表取締役:石原翔太氏)が運営する「高円寺 魚一」で店長として働き始める。ここで社内独立という形で自身の会社・縁を立ち上げ。入社1年後の2019年、江川氏が28歳のときに、デリカが運営していた居酒屋「囲み屋」を買い取り、独立第一号店として新たにスタートした。

独立の翌年、1号店から徒歩1分圏内に2号店をオープン

「囲み屋」を経営しながらも、江川氏は次の展開を考え、新店舗の構想を練っていた。「次はおでんをやりたいと、コンセプトはある程度固まっていたのですが、実行するには『囲み屋』を任せられる人材が必要でした」と、江川氏。そんな中で「高円寺 魚一」が物件都合により閉店することが決定したため、当時、同店の店長だった関義博氏を引き入れ、自身は新店舗立ち上げに向けて動き始める。今年の4月のことだ。折しも、コロナ禍によって様々な空き店舗の物件条件が引き下げられ、借りやすい状況となっていたことも江川氏を後押しした。

候補物件は色々と考えていた江川氏であったが、「姉妹店同士が近場であれば管理をしやすい」という理由で、同じ「野方文化マーケット」内の「囲み屋」から徒歩1分ほどの長期間空き物件となっていた場所を選んだ。そして、緊急事態宣言発令中の期間に店内を改装し、7月7日、自身にとって初のオリジナル業態「おでん割烹 日南乃」のオープンに至る。

2100円コースを打ち出し、お客の満足度向上、オペレーションの効率化、ロス削減、客単価UPを実現!

オープン当初の「日南乃」は、「割烹着の女性スタッフが提供するおでんと、彼女たちとの会話を楽しめる店」というコンセプトでスタートした。しかし、いざ始めてみると様々な問題点も見えてきたという。「お客様とおしゃべりすることに集中してしまって、卓上の状況を把握できずに提供していたり、おでんの品質管理ができていなかったりといった問題が目立っていました」。これに対して江川氏は「日南乃 彩コース」(2100円、ドリンク別)を考案。名物の「黒つくね」を含む8品をそれぞれ少量で提供するという内容で、足りない場合は単品の追加オーダーも可能だ。
「コースであれば、出すものがあらかじめ把握できるので、提供のタイミングまでマニュアル化し、スタッフの負担を軽減できます。さらに、練り物が多くてすぐ腹が膨れてしまうおでんでも、少しずつ出すことで店のおススメを満遍なく食べてもらえるというメリットもあると気付いたんです」と、江川氏。これによって接客の質を下げずにオペレーションを効率化。おでんタネの回転を上げてロスを軽減し、客単価の引き上げも実現した。

おでんの出汁には、出汁用乾物の老舗・丸勝かつおぶしから仕入れたかつおぶしや煮干しを使用。タネの名物は「黒つくね」(390円)だ。出汁に染み込ませた自家製のつくねにすき焼き風の黒いタレをかけ、黒いトリュフペーストを沿える。イタリアンのソースに着想を得た逸品だ。「ただ盛るだけでなく、ひとつひとつの品に味の変化をつけてお客様を楽しませたいんです」と、江川氏は語る。また、「大根」(280円)、「たまご」(280円)、「厚揚げ豆腐」(200円)といった定番のタネに加え、江川氏が信頼を寄せる杉並区のおでんタネ専門店「〇佐かまぼこ店」から仕入れた「紅生姜天」(300円)、「チーズ天」(360円)、「挟みレンコン」(330円)といった変わり種の練り物も品書きに並ぶ。さらに〆には「濃厚玉子の鰹節ごはん」(680円)も用意。こちらは徹底した温度管理によって半熟状態を保ちながらも、出汁が染みたあたたかな玉子をのせたごはん。江川氏のこだわりが詰まった品で、「黒つくね」に並ぶ名物だ。

酒は、大分の蔵元からPBで造るオリジナルの「日南乃(芋・麦)」(グラス480円、ボトル4800円)を筆頭に、「三岳(芋)」(650円)、「㐂六(芋)」(650円)、「中々(麦)」(650円)、「鳥飼(米)」(680円)など10種以上の品を揃える焼酎や、「栄光冨士 ~上撰~」(グラス680円、一合800円)をはじめとした日本酒各種が看板。日本酒を出汁で割る「おでんの出汁割り」(480円)も、おでん屋らしい逸品として品書きに並ぶ。そのほか、「キリン一番搾りプレミアム」(中600円、小480円)や「国産レモンサワー」(500円)、「宇治抹茶ハイ」(480円)といったビール、サワー類も揃えている。

店舗展開やECサイトの運営、他業種とのコラボなど、新たな展開を模索

独立から1年で2店舗目出店と、スピード感ある経営で駆け抜ける江川氏。今後の展望にも意欲的だ。「直近では、この『野方文化マーケット』内にもう一店舗出店して、横町のような風情を出したいと思っています。野方のランドマークになりたいですね」。今はシャッターが降りている物件の多い「野方文化マーケット」内に再び賑わいを作り、界隈の活性化にもつなげる狙いだ。

また、「東京つくね本舗」というECサイトも立ち上げている。店舗の看板「黒つくね」を小売や業務用卸として販売することに加え、アパレルブランドとコラボしたグッズも販売する予定だ。「自分自身がワクワクすることを実現していきたいんです。そういう姿を見て、『飲食業って楽しそうだな』と感じて、業界に入ってくれる人を増やしたいですね」と、江川氏は語る。

(取材=高橋 健太)

店舗データ

店名 おでん割烹 日南乃(ひなの)
住所 東京都中野区野方5-30-5文化マーケット
アクセス 西武新宿線野方駅から徒歩4分
電話 03-5356-7676
営業時間 17:00~23:00(LO22:30)
定休日 不定休
坪数客数 7.8坪 13席(カウンター7席、テーブル2卓)
客単価 4200円
運営会社 株式会社 縁
オープン日 2020年7月7日
関連リンク 日南乃(Instagram)
関連リンク 東京つくね本舗(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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