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西荻窪に「浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica(ティピカ)」が開業。20代前半でコーヒー店を起業したオーナーの次なるステップは、造り手の魅力を伝え、生活の豊かさを啓蒙する店

9月20日、西荻窪に「浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica(ティピカ)」がオープンした。浅煎りのスペシャルティコーヒーと自然派ワインが昼夜問わず楽しめる店だ。オーナーは相原民人氏、22歳の時に創業メンバーとして「LIGHT UP COFFEE」を立ち上げ、6年にわたってコーヒーカルチャーを発信してきた。組織の成長に伴いマネジメント業務が増える中、「自分のライフワークは現場に立ってお客様を喜ばせること」と自身の原点に回帰。同店から離れ、新たなスタートを切った。コーヒーとワインの「造り手の思いを伝える」をミッションに、“嗜好品がもたらす生活の豊かさ”を啓蒙する。

西荻窪駅から徒歩2分。元は呉服店だったという物件は間口が広く開放的な雰囲気。当初、大家の意向は飲食店NGだったものの、熱意ある企画書を提出したところ契約に至ったという
アクセントに鉄の素材や黒色を散りばめてクールなイメージに仕上げ、あえて「入りづらさ」を出した空間。入店した際のホスピタリティある接客で「ギャップ」を狙っているという
コーヒーやワイン、紅茶にはそれぞれ味わいや生産者に関するコメントを記したカードを添える。「甘露」「芳醇」「華」など独自にカテゴリーに分けて、初心者も直感的に選ぶことができる。カードのデザインは美大出身の相原氏が自ら手掛ける
見た目の美しさも好評な「季節のパフェ」。ジェラートやジュレなどパーツはすべて自家製。季節ごとに内容を変え、取材時はぶどう、次は栗を予定している
「鯖といぶりがっこのポテトサラダ」などワインに合う料理も用意し、17時から提供する
写真右から、相原民人氏と沙季子さん。夫婦2人で切り盛りする。沙季子さんは吉祥寺の「ヴィネリアハーベスト」で1年ほど勤務し、料理の腕を磨いた

(取材=大関 まなみ)


美術の道を目指すもののコーヒーに開眼、22歳で独立開業

老舗から気鋭の新店までさまざまな飲食店が多く立ち並び、ハイレベルな食文化が根付く西荻窪。そんな街で、JRの高架下沿いにオープンした「浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica」(以下「Typica」)は、昼夜問わず、浅煎りのスペシャルティコーヒーと自然派ワインが楽しめる店だ。オーナーは相原民人氏、人気コーヒー店「LIGHT UP COFFEE」を創業したメンバー。次なるステップとして「Typica」を開業した。

相原氏は、高校卒業後、漫画家である父の影響を受けて日本大学芸術学部に進学。将来は美術関係に進もうとしていたものの、カフェでのアルバイトをきっかけにコーヒーに目覚める。特に「豆の個性がダイレクトに表現できる」という浅煎り豆にフューチャーし、同じくカフェのアルバイト仲間で同年代の川野優馬氏とともに、2014年7月、大学卒業後すぐの22歳のときに吉祥寺の「LIGHT UP COFFEE」をオープンした。下北沢や京都(現在は閉店)、渋谷パルコ内に店舗展開するほか、コーヒー豆の卸やコーヒーセミナーの開催などを手掛け、20代前半の若手オーナーバリスタとして注目を浴びた。

現場に立つ、自分のライフワークに原点回帰し新店舗を立ち上げ

そんな相原氏は、創業店「LIGHT UP COFFEE」のオープンから丸6年となる2020年7月末に退職。創業から手掛けた店から離れ、再びイチからスタートを切った理由についてこう話す。「吉祥寺の小さな店から始まった『LIGHT UP COFFEE』ですが、やがて店舗やスタッフが増えるにつれて、現場ではなく数字管理やスタッフ教育などのマネジメント業務に割く時間が増えていきました。それらの仕事も必要なものではありましたが、自分のライフワークは、やはり店に立ってコーヒーを淹れ、お客様に喜んでもらうことだという思いが強くなっていった。再び、自分が現場に立てる店を作ろうと思ったんです」。そうして、以前から興味のあった自然派ワインと、得意分野であるコーヒーを掛け合わせた店を思い描き、週1回ワインスクールに通いながら開業準備を進めた。

コーヒーとワイン、造り手の素晴らしさを伝える場所に

同店は浅煎りコーヒーと自然派ワインが看板。相原氏によると、どちらも「造り手の考えや思いが表現された作品」であることが共通点だという。「コーヒーもワインも嗜好品で、生活に絶対必要なものではない。でも、そんな嗜好品こそが生活にもたらす豊かさをもたらしてくれる。もともと美術畑だった僕は、レストランは美術館と同じだと考えています。レストランはお腹を満たすための食事とは違う、豊かな体験の場所。美術館も心を豊かにできる場所。美術館は作品の魅力を伝えるキュレーションの場ですが、僕はこの店を通じて、造り手ごとにそれぞれ個性を持ったコーヒーやワインという作品を紹介する、食のキュレーターになりたい」と相原氏。

コーヒーは常時5品、古巣の「LIGHT UP COFFEE」と、山梨・甲府の「AKITO COFFEE」から仕入れる。すべて浅煎りのシングルオリジンで、1杯づつフィルタードリップして提供(各種550円)。「生産者のすばらしさを伝えるというのが第一なので、焙煎度合いは余計な苦みを付けずに豆の個性がダイレクトに出る浅煎りに限定。ブレンドもしません」と相原氏。自然派ワインはグラスで泡、白、赤、ロゼ、オレンジを常時15品ほど。量を調整し1杯600~800円と手頃に提供する。加えて紅茶も用意し、静岡県のマルヒ製茶と茨城県の長野園のものを4品用意。コーヒー、ワイン、紅茶はいずれも「甘露」「芳醇」「華」「苺」などの独自のカテゴリーに分け、商品には味わいや生産者についての説明を記したカードを添えて提供。「美術作品の解説のように、知識とともに味わってほしい」(相原氏)との思いだ。コーヒーとワインはそれぞれに「3種飲み比べ」(コーヒー700円、ワイン1200円)も用意する。

店は妻の沙季子さんと2人で切り盛りするが、フードは沙季子さんの担当だ。ワインのつまみにはイタリアンをベースに可能な限り無化調で作る品を16品用意。「エビとチーズとジャガイモのガレット」(800円)や「鯖といぶりがっこのポテトサラダ」(600円)が特に人気だという。コーヒーや紅茶に合うスイーツは、「ピスタチオプリン」「チョコレートテリーヌ」(各500円)、「季節のパフェ」(1200円)。パフェはおよそ一か月で内容を変え、旬のフルーツを使用し見た目の美しさにもこだわった品で、SNSで写真を見て来店する人も多いという。

「量より質の追求し、単価を上げる商売」が目標

オープンから1か月ほど、予想の2倍ほどの客数が来店しているという。昼にコーヒー、夜にワインを楽しむのはもちろん、昼からワインを飲んだり、夜にコーヒーとスイーツを楽しんだりするお客も多い。「お客様の多くが近所の方で、カフェの本質は地域に根付くことだと思うので嬉しいですね」と相原氏。「これまでコーヒーを生業にしてきましたが、コーヒーは1杯に付けられる値段には限界があり、お酒のように何杯も飲むものではないのでどうしても量を売らなければならなかった。これからは量よりも質を追求し、単価を上げる商売をしたいと思っています。お客様ひとりひとりに向き合って1杯のクオリティを上げ、2、3杯目につながるような仕事をしていきたい」とも話す。

店舗データ

店名 浅煎りコーヒーと自然派ワイン Typica(ティピカ)
住所 東京都杉並区西荻南3-18-10

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アクセス 西荻窪駅から徒歩2分
電話 070-4072-5629
営業時間 14:00~22:00
定休日 木曜
坪数客数 10坪12席
客単価 2000~3000円
オープン日 2020年9月20日
関連リンク Typica(HP)
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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