アパレル業の知見を活かしたコンセプトメイキングで、商業施設での出店を獲得
堀内章平氏と中野晃一氏は、2010年にアパレル会社のDADDY&SONを立ち上げた。互いに飲み歩きが大好きな二人は、会社のある原宿界隈を散策していたが、カジュアルな居酒屋が少ないことで、どこか満足できない気持ちを抱いていた。「仕事帰りにちょっと一杯、というような、サードプレイスにできるお店がほしいなと感じたんです」と、堀内氏。「周りに店がない中でも、人との距離の近さや活気ある雰囲気が好きで、立ち飲みにはよく通っていました。自分たちが欲しい店が原宿にないなら、作ってしまおう!」と、いつしか出店を考え始めたという。
いざ、出店計画を立て始め、ふたりが悩んだのは出店場所だ。「漠然と原宿界隈で探していたのですが、飲食未経験の僕たちはどこで出せば集客が望めるのか、全くわからなかったんです」と、中野氏。そうして物件探しに苦慮しながら過ごしていた2019年の春先。翌年に開業予定の商業施設「JINGUMAE COMICHI」がテナント募集をしていることを知り、応募。当初は飲食未経験ということもありデベロッパーに難色を示されたが、打ち出していた「立ち飲み」という業態が施設のコンセプトである「横丁」とマッチすること。また、アパレル業界の視点から、小洒落た店づくりを提案したこと。それに加えてふたりの「原宿のランドマークになるような店にする!」という気概も買われ、1階の中心部という好立地での出店を勝ち取った。
また、店づくりでは様々な立ち飲み店を徹底的にリサーチして特長を取り入れつつ、そこに自分たちの強みであるアパレル業の知見を融合。アパレルで使用する什器をテーブルに、のれんはデニム生地で作るなど、異業種からの参入だからこその視点でカジュアルに仕上げ、「若い女性でも気軽に通うことができる立ち飲み店」をテーマに掲げる。
品書きには、遊び心溢れるユニークなメニューがズラリと並ぶ
フードの看板は「ジュワゴロ肉肉 ニク焼売(三個)」、「プリプリほぼ海老 エビ焼売(三個)」、「塩麹マリネ鶏のさっぱりレモンダレ」(各690円)といった「ikuruの蒸し料理」だ。カウンター内に置かれた蒸気立ち込める蒸し器から出来立てを提供することで、ライブ感を演出するという狙いも。また、自家製の「ikuruのおばんざい」(1品490円、おまかせ3品980円、おまかせ5品1580円)も推しの品。「ナスの浅漬けならぬ『今漬け』」や「カレー風味のお酒がすすむポテサラ」、「タコとキュウリの体にやさしい酢の物」といった遊び心溢れる品々が並ぶ。そのほか、「若鶏のまん丸ジュワっとモモ唐揚げ」(590円)や「カニonカニのヘルシーカニクリームコロッケ」(690円)といった揚げ物、「焦げまで愛して 炙りエイヒレ」(390円)、「じっくり燻製の三種盛り」(690円)などの軽いつまみと、ラインナップも充実。オペレーションの効率化とお客の満足度を両立させるため、料理は全て提供スピードを意識したメニューで構成している。
ドリンクの目玉は「日本酒」(レギュラー:グラス500円~、プレミアム:800円~)だ。店内ショーケースからお客が好きな瓶を選んで注文し、スタッフに注いでもらうというスタイル。常時10種ほど揃えており、炭酸割のような変わった飲み方も。「お客さんに好きなように飲んでもらうことで、日本酒へのハードルを下げられれば」と、中野氏。また、「ビオワイン」(グラス490円、ボトル3900円)もワイングラスではなく、木村硝子から販売されているイタリア製の厚口グラスで提供。オリジナルロゴをあしらうことでカジュアルさも演出している。ほか、「エース(スタンダードなレモンサワー)」(450円)や「ジャック(構想入りの爽やかなレモンサワー)」(500円)など、4種のオリジナルレモンサワー。「白」「黒」(各セット500円)だけでなく「茶(コーヒー&白)」、「漆黒(コーヒー&黒)」(セット600円)といった変わり種のホッピーなど、ドリンクにもお客を楽しませる工夫が目白押しだ。もちろん、「生ビール」(500円)や「サッポロ赤星大瓶」(600円)、「デュワーズハイボール」(500円)、「烏龍ハイ」、「緑茶ハイ」(各450円)など、スタンダードなドリンクも取り揃えている。
人と人の出会いの場を提供するべく、店舗展開も視野に入れる
アパレルから飲食に飛び込んだ堀内氏と中野氏だが、「商売をする上で大事なことは同じ」だという。「あくまで僕たちが作りたいのは人々にとってのサードプレイス。料理がおいしいのはもちろんのこと、そこで人々が出会い、隣同士で仲良くなる。そういった空間づくりをしていきたいんです」と、語る。今後、店舗展開していく中でも「場所づくり」に重きを置いて様々な業態に挑戦していく考えだ。また、アパレル業界でのつながりも駆使し、コラボレーションなども考えていると言う。
店舗データ
店名 | ikuru(イクル) |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前1丁目23-26神宮前123ビル COMICHI 1F |
アクセス | JR山手線原宿駅東口から徒歩5分 |
電話 | 03-6455-5526 |
営業時間 | ランチ【月~金】11:30〜14:00、ディナー17:00~23:30、【土日祝】14:00~23:30 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 7坪 立ち飲み約15名+12席 |
客単価 | 3000円 |
運営会社 | 株式会社KOTONA |
オープン日 | 2020年9月11日 |
関連リンク | Ikuru(Instagram) |