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熟成肉の先駆け「カルネヤ」高山いさ己氏による煮干しパスタ専門店「si si 煮干啖(ししにぼたん)」が虎ノ門横丁に開業!日本橋に続く2店舗目はバル使いもできる新業態

6月11日、煮干しパスタ専門店「si si 煮干啖 虎ノ門店」がオープンした。煮干しパスタという新ジャンルを打ち出し、人気店になった日本橋の「si si 煮干啖」に次ぐ2店舗目。熟成肉の先駆けとして知られる「カルネヤ」を手掛ける高山いさ己氏がオーナーだ。ランチ営業のみの日本橋店に対して、虎ノ門店では自然派ワインやおつまみメニューを用意しバル使いも可能に。話題の商業施設「虎ノ門横丁」内でもひときわ強い集客力を見せている。

虎ノ門横丁内で営業。ハイスツールのカウンターを9席(取材時)置くが、横丁のフリースペースのテーブルでも飲食可能。女性客が7割を占める
「特製にぼたん」は虎ノ門店限定。ピアットウニコをイメージし、ノーマルな「にぼたん」よりも具だくさんに。「特製」とつけて、「ちょっとした贅沢・優越感を味わえる商品」として用意した
左の「黒毛和牛の焼きしゃぶ」は、松坂牛(取材時)が3枚で800円とお値打ち。オリジナルの「にぼバター」を乗せた「にぼバター」も人気だ
ワインは自然派を中心にラインナップ。写真のコップに入れて提供。一口が大きくなり、足つきグラスよりも出数が多くなるという
オーナーシェフの高山いさ己氏。浅草の老舗焼肉店「冨味屋」の次男として生まれ、18歳から料理人を志す。イタリア修業や都内レストランのシェフを経て、2007年、「カルネヤ」で独立。2015年には熟成肉の卸、さの萬とタッグを組んだ「カルネヤサノマンズ」も出店した(現在は閉店)

(取材=大関 まなみ)


新ジャンル「煮干しパスタ」がヒット、本店は70食が開店2時間で売り切れることも

東京メトロ日比谷線の新駅、虎ノ門ヒルズ駅開業に合わせてオープンした虎ノ門ヒルズビジネスタワー。その目玉とも言えるのが、マッキー牧元氏プロデュースの虎ノ門横丁だ。これまで店舗展開をしなかった老舗やグルメサイトで高得点の名店を集めた横丁で、「si si 煮干啖 虎ノ門店」もその中のひとつとして営業している。

運営は238商店(東京都新宿区)。代表の高山いさ己氏と言えば、もともとは熟成肉をいち早く取り入れその後のムーブメントを作った神楽坂の「カルネヤ」のオーナーシェフだ。「si si 煮干啖」開業のきっかけは、高山氏が運営していた「カルネヤサノマンズ」にて、期間限定で提供していた肉料理に沿える煮干し出汁のソース。そのソースに使用しなかった頭とワタの部分をフレーク状にして、バターや煮干し出汁と和えたパスタが思いのほか好評だったという。2017年10月、そのパスタを専門にした「si si 煮干啖」を日本橋(三越前、小伝馬町エリア)にオープン。煮干しパスタという新ジャンルはたちまち話題となり、ランチ営業のみで1日分として用意する70食が12時半には売り切れる日も少なくないという人気ぶりとなっている。

そんな「si si 煮干啖」の2号店を虎ノ門横丁内にオープンした理由について、「親しくしていたマッキー牧元さんからオファーをもらって二つ返事で出店を決めました。これまで商業施設で出店はおろか働いたこともなかったので、このタイミングで挑戦しようと思ったんです」と高山氏は話す。

虎ノ門店では「浅草 開化楼」の麺を使用、夜はバルメニューが充実

店舗はカウンター席が12席(※取材時は新型コロナ感染防止のため9席)。名物の煮干しパスタはランチで提供するのはもちろん、夜は自然派ワインとつまみメニューが加わり、酒場としても使えるメニュー構成だ。

何よりの目玉である煮干しパスタは、スタンダードな「にぼたん」に加え、にんにく風味の「ぺぺたん」、トマト風味の「トマたん」と3種類の煮干しパスタを用意(各種、小750円、中900円、大1000円)。これは日本橋店と同様のラインナップだが、本店では乾麺を浸水し冷凍したものを使っているのに対し、虎ノ門では麺は製麺所「浅草 開化楼」の生麺「カラヒグ麺」を使用。「虎ノ門では昼だけでなく夜の営業もあるので、麺を保存する冷凍庫のスペースがなかったことと、まったく同じものを出すのもつまらないと思って」と高山氏。日本橋店のもちもちとした食感とは異なり、しっかりとした歯ごたえが楽しめるのが特徴だ。

また、虎ノ門店限定で「特製にぼたん」(小1300円、中1350円、大1400円)も用意。半熟卵、ルッコラ、モツ味噌炒めなど、「にぼたん」からトッピングを増やした豪華バージョンで、イタリアンのピアットウニコ(前菜やパスタ、メインを一皿に盛り合わせたスタイル)をイメージしているという。

夜営業では、20品弱のつまみメニューも登場。「黒毛和牛の焼きしゃぶ」(小800円、大1600円)、「短角牛のカツレツor 揚げ焼きステーキ」(100g2300円)など肉料理が得意な高山氏らしい品や、パスタにも使用している煮干しフレークを混ぜ込んだバター「にぼバター」を使った「にぼバターオムレツ」(小600円、大1000円)や「にぼバターピザ」(700円)も人気だ。牛肉をココナッツミルクとスパイスで煮込んだインドネシアの料理「ルンダン」(1000円)や、アルゼンチン発祥の野菜や香草入りのビネガーソース「チュミチュリ(トリッパorタコ)」(900円)など、あまり馴染みのない名前の品も並ぶが、メニュー表にはどんな料理なのかは記載していないという。「商業施設はふらりと入ってくるお客様も多い。目的客でないお客様ともコミュニケーションを取りたいので、知名度の低いメニュー名もあえて説明書きナシにすることで、スタッフとの会話の糸口になれば」と高山氏は話す。

食材原価は40~50%、一方グラスワインで原価を調整

ドリンクは自然派ワインを中心に常時8品ほどを用意し、グラス600~700円。足つきグラスではなく、あえてコップで提供しているのがポイントだ。「気取らず飲めて一口が大きくなるのでグラスよりも杯数が多くなる。当店では食材に40~50%ほど原価をかけているので、グラスワインを売ることで調整しています」。加えてボトルワインや、その他「サッポロ赤星 中瓶」(600円)や「スモールハイボール」(500円)などを用意する。

商品にはあえて足りない部分を残し、印象付けることがリピートの秘訣

新型コロナの影響がありつつも客足は好調で、高山氏が予想していた2倍の売上があるという。今後も売れ行きを見つつメニューのABC分析をするなどブラッシュアップしていく意向だ。「si si 煮干啖」のヒットについて高山氏は「美味しい料理を作るのは料理人なら誰でもできるが、“美味しいコンセプト”を作るのが難しい。『にぼたん』も、すべてを全力で美味しく作ってはいません。あえて足りない部分を残した方がお客様の印象に残り、リピートしてもらえるんです」と語る。

今後も「si si 煮干啖」ブランドを生かした業態を作っていきたいという。「年内にできればもう1店舗。次はパスタをメインにしたイタリアンをやりたい。キラーコンテンツの『にぼたん』を軸にしつつ、自由に業態をアレンジしていければ」と話す。

店舗データ

店名 si si 煮干啖 虎ノ門店
住所 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 3F

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アクセス 虎ノ門ヒルズ駅、虎ノ門駅直結
電話 03-6550-9415
営業時間 【月~金】11:00~15:00(LO14:30)、18:00~22:00(LO21:30)【土・祝】11:00~15:00(LO14:30)、18:00~21:00(LO20:30)
定休日 日曜
坪数客数 6坪12席(取材時は新型コロナ感染防止対策で9席)
客単価 昼950~1000円、夜3000~5000円
運営会社 株式会社238商店
オープン日 2020年6月11日
関連リンク si si 煮干啖 虎ノ門店(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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