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町田のイタリアン、西麻布の会員制高級ラウンジで修行を積んだ24歳の代表が、コロナ禍の中でワインとクラフトビールをウリにしたイタリアンバル「OSPITA(オスピタ)」を九段下にオープン

7月13日、九段下から徒歩30秒の場所にイタリアンバル「OSPITA」がオープンした。町田のイタリアンレストランで副店長、西麻布の会員制高級ラウンジでマネージャーを歴任した24歳の本間拓夢氏が代表を務めるFALKEが運営する初店舗だ。コロナ禍という逆風が吹く中、あえてオープンしたその狙いと意気込みをうかがってみた。

場所は靖国通りを一歩入った路地の一角のビルの2階。元オイスターバーだった物件の居抜き
7.5坪で席数はカウンター3席含んで15席。ソーシャルディスタンスを意識して、2名席を多めに用意している
イタリアン中心のカジュアルながらも本格派の料理を多数ラインナップ。野菜は生産者とつながりのあるものを使うなど素材へのこだわりも深い
オススメの「ローマ風ポルケッタ」(980円)。イタリアで修行を積んだシェフの自慢の逸品。手間を惜しまず2日間かけて作った味に魅了されリピーターになるお客様も多いとか
左から社長の本間拓夢氏、店長の山本龍我、シェフの三原健氏。山本氏は本間氏の元上司だったというから頼りがいのある兄貴分というところだろか

(取材=松野 孝司)


コロナ禍の中、あえてオープンをした若き経営者

武道館や靖国神社、神保町の古書店街など有名スポットが点在する九段下。老舗の料亭や寿司屋などもあり、知る人ぞ知るグルメタウンでもある。そんな九段下にイタリアンバル「OSPITA」がオープンしたのは7月13日。東京都で新型コロナウイルスの新規感染者が119人と5日ぶりに200人を下回ったものの、感染者数は増え続けている頃だ。「コロナ禍での新規オープンが、リスクが高いのは承知していました。しかし、ただ手をこまねいて待っていても会社の経営は成り立ちません。今の自分たちの力を試す意味でもオープンすることに決めました」と語るのは代表取締役の本間拓夢氏。

本間氏は学生時代に町田のイタリアンレストランでアルバイトし、卒業後に副店長を務め、その後、西麻布の会員制高級ラウンジでマネージャーを務めた後に独立。キッチンカーでお弁当やケータリングをやりつつ、資金を貯め、昨年10月、23歳のときに店長を務める山本龍我氏、シェフを務める三原健氏とともに会社を設立。「二人とも自分よりも年齢も経験もありながら、自分を盛り立ててくれているので、とても感謝しています」。

お客が店を選ぶバックボーンまで意識したおもてなしを

出店する際、本間氏は馴染みがある六本木・西麻布を中心に物件を探したものの決め手がなく迷っていたとき、知人から元オイスターバーだった居抜き物件を紹介され、一目見て気に入ったという。「店構えを見たとき、イタリアンバルのイメージが頭に浮かんできました」。同店は武道館と神保町を結ぶ靖国通りを一歩入った路地の一角のビルの2階にあり、周囲には江戸時代から続く寿司屋や老舗の和菓子店などが並ぶ。メイン通りではないビルの2階という立地は、視認性という点ではやや劣る。「お店を選ぶときは、目の前にある店だから選ぶということはあまりないと思います。例えば、今日は記念日だから、誕生日だから、誰とどんな雰囲気の店で、料理やお酒を楽しみたい、といったバックボーンがあって初めてお店を選ぶのだと思います。そんなお客様のバックボーンをどれだけ意識して店づくりやおもてなしをするかどうかで、リピーターになってくれるかどうかが分かれると思っています」。

イタリア語で「おもてなし、歓待」を意味する「ospitalita」から店名を名付けたのも、そういった意識の表れなのだろう。物件を決定してから、プレオープンまでは1カ月もなく、スケジュール的にはタイトだったそうだ。キッチンカー事業をやっていたといえ、店舗運営は初めてだったため、食材をはじめ厨房器具、タオルなど業者の選定など細かいところに苦労したそうだ。「店長やシェフを交えてアイディアを出し合い、それを一つ一つ積み重ねて、ようやく形になりました」。そういった意味では、同店は本間氏を含めた社員三人の夢と希望が詰まったお店といえるかもしれない。

ランチのお客様どうやってディナーに呼び込むのか

立地にはさほどこだわってはいないという本間氏だが、コロナ禍でのオープンということで、ランチ営業ができるかどうかは気にしたという。「ランチで認知度上げて、お客様をディナーに誘導するということを目標にしていたので、ランチ営業は不可欠と考えていました。九段下エリアは金融機関、郵便局、税務署、区役所などの公的機関が多く、時短勤務やリモートワークの影響を受けにくいので、ランチ需要は見込めると判断しました」。

ランチメニューは週替わりパスタ、ポーク薬膳カレー、イタリアンポークハンバーグなど数種類が用意され、値段は650~950円までとリーズナブルだ。ランチの客単価は850~900円で、回転数は1回転半~2回転という。「グランドオープンして2週間ぐらいしてから、ランチで利用したお客様がディナーにも足を運んでくれるようになったのはうれしかったです」。

ディナーメニューはイタリアで修行をして、帰国後、和食や鉄板焼きで腕を磨いたシェフの経験を生かすよう旬の食材を生かしながら、イタリアンを中心にラインアップ。「桜海老のアンチョビキャツ」(500円) 、「サルシッシャのアヒージョ」(500円)、「本日のチーズ カプレーゼ風」(680円)、「自家製サルシッシャ三種」(950円)などが人気だという。なかでも「ローマ風ポルケッタ」(980円)は、国産の豚肩ロースをシェフが丁寧にさばき、オープンでロースト。作るのに2日間かけている自慢の逸品だ。またチーズはイタリアから直輸入、野菜などは生産地まで訪れて買い付けることも多いという。

一方ドリンク類は、もともとワインが好きで、知人がクラフトビールの醸造に携わり、ビールに対してのこだわりぶりが、自分たちの店づくりにも相通じるものがあるのを感じ、ワインとクラフトビールをセールスポイントに据えたという。
「ワインはイタリア産を中心に3000円~、メニューには掲載されていないグラスワインも用意しています。またクラフトビールは『有機農法富士ビール』 (750円)、『サミエルアダムス・リーベルIPA』 (950円)など国内外から常時十数種類取り寄せる予定です。料理に関してこちら側のこだわりを押し付けることはなく、さりげなくアピールしたいですね」。

ちなみにディナーの客単価は3,000~4,000円で、回転数は1~2回転という。「客単価は当初の設定よりやや低いのですが、これはオープン1カ月はドリンク類100円フェアなどをやっている関係だと思います」。

20年後、ホテル経営をすることを目標に一歩ずつ

コロナ禍という逆風の中、オープンした「OSPITA」。平日はサラリーマン層、土曜日は家族連れが多いとういう。「武道館のイベントが中止されているので、土曜日の客入りは予想より下回っているのは事実です。平日のディナー帯、土曜日の集客をどうするかが課題。そのため今後はインターネットやチラシなどをもっと活用していきたい」という。将来的には「会社を設立したとき、レストランを5店舗、バーを3店舗を運営して、20年後にはホテル一軒を経営するという目標を立てました。この店はその目標に向かっての第一歩なので大切にしていきたいですね」と本間氏は話す。

店舗データ

店名 OSPITA(オスピタ)
住所 東京都千代田区九段南1-4-2 SPQRビル 2F

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アクセス 九段下駅から徒歩30秒
電話 03-6910-0170
営業時間 ランチ 平日 11::00~15:00、ディナー 平日17:00~23:00 (L.O.22:00)  土、日 12:00~21:00
定休日 日曜日(パーティーの予約があれば営業)
坪数客数 7.5坪/15席(カウンター3席含む)
客単価 昼 850~900円 夜 3500~4500円
運営会社 株式会社FALKE
オープン日 2020年7月13日
関連リンク OSPITA(HP)
関連リンク OSPITA(Instagram)
関連リンク OSPITA(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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