計画していた居酒屋業態2号店から方向転換
焼鳥店や病院の食堂、複数業態を展開する居酒屋グループを経験し、独立した伊藤氏。1店舗目の「かんぱい家」を西葛西に決めたのは、地元であるゆえに周辺環境や客層のマーケティングがしやすかったことが理由だ。コンセプトは、敢えてキラーコンテンツを作らず、万人から親しまれるような商品を数多く取り揃えた大衆酒場。客単価2500円と利用しやすい価格設定も相まってファンを獲得し、月商400万円を安定的に売り上げる店舗に成長した。
その勢いに乗り、2号店の計画を立て始めたのが今年の初め頃。4月初旬には隣町の葛西に物件を決めてスタッフも揃え、5月の開業を目指していた。しかし、その直後に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令。伊藤氏は止む無く開業日を先延ばしに。「かんぱい家」の営業時間も短縮し、売上は半減してしまった。先の見えぬ情勢に新店舗出店の中止が頭をよぎるなど、葛藤する日々を送っていた伊藤氏だったが、現状を分析し「ピンチはチャンス」と切り替えることに決めた。
「今まで葛西は都心へ通勤する人のベッドタウンという印象の街でした。しかし、今回のコロナ騒動で人々の働き方が変わることで通勤せずに自宅で仕事をする人が増え、近所での手軽な食事と、たまにお酒が飲める店のニーズが増えると考えたんです」と、伊藤氏。居酒屋業態ではなく食事を主としたコンセプトへの方向転換を決意した。大衆食として定番のラーメンや餃子、唐揚げをメインコンテンツに据え、飲みのニーズにも対応できるようほとんどの酒メニューを300円台に設定。「かんぱい家」で重視していた「使い勝手の良さ」を継承しつつ、より強い特色を持った「らーめん食堂 まっしぐら」が誕生した。
老若男女幅広いお客の利用を見据えた、多彩なメニューレパートリー
看板メニューの「背脂中華そば」(しょうゆ・うましお750円、特製みそ850円)は、店長の村山彰氏が西葛西の人気ラーメン店に師事して習得したレシピを基に開発。製麺所から仕入れた独自配合の麺を使用するなど、専門店と遜色ない味に仕上げた。また、「ビールに合う餃子」(5個400円)は店内の飲食だけでなくテイクアウトや通販での展開も見据え、オリジナルレシピを考案。PB商品として、工場での量産を始めている。「唐揚げ定食」(740円)や「豚バラ焼肉定食」(790円)などとともに、定食での提供も可能だ。そのほか、「おつまみチャーシュー」(500円)や「生野菜サラダ」(390円)、「えだまめ」(390円)、「フライドポテト」(390円)など、酒のつまみは20種類以上を取り揃える。
ドリンクは「サッポロ黒ラベル 生ビール(中)」(390円)や「ハイボール」(300円)のほか、「ウーロンハイ」、「レモンサワー」などのチューハイ・サワー(各290円)など、定番の酒がリーズナブルな価格で品書きに約20種類並ぶ。ファミリー層の利用も考慮し「コカ・コーラ」や「オレンジジュース」、「ウーロン茶」などのノンアルコール(各190円)も揃えている。
危機的状況に活路を見出し、新たな展開への一歩を踏み出す
予期せぬ形で踏み出した今回の業態変更であったが、これによって伊藤氏は今後の展開の広がりが見えたという。「実は、以前から居酒屋業態以外の展開は考えていたんです。今回の騒動がなければこれほど大きな挑戦はしなかったと思います」と、伊藤氏。今後は「まっしぐら」の店舗展開を進めつつ、さらに専門特化した業態の開発や、通販の体制を確立し、PB商品も増やしていくことを考えているという。
店舗データ
店名 | らーめん食堂 まっしぐら |
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住所 | 東京都江戸川区中葛西5-33-9 |
アクセス | JR葛西駅から徒歩2分 |
電話 | 03-5878-0133 |
営業時間 | 11:30~22:00 |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 18坪 34席 |
客単価 | 1000~2000円 |
オープン日 | 2020年6月11日 |
関連リンク | 大衆焼き鳥とまぐろのおいしいお店 かんぱい家(記事) |