片寄氏の出店条件は駅から近くでいてあえて分かりづらい場所
「おけい屋」と一文字づつ入れた紺と白のノレンが下がるファサードが存在感を放つ。計7カットののれんの残り3カットにはそれぞれ「想いがぎっしり ナチュラルワイン 心は日本ワイン やっぱり!ビール 魅惑レモンサワー 気分はハイボール」。「縦横無尽で楽しい 旨い肴が好きです」。そして「居心地よい 音と染みる酒に 酔う行きつけの肴屋」との文言を染め抜いている。簡潔にわかり易く店をアピールするフレーズはコマーシャルのコピーを彷彿とさせる。広告会社で営業マンとしてコマーシャル製作に関わっていた片寄氏の感性が垣間見える。
そんな片寄氏が飲食業界で起業したきっかけは広告マン時代に他の広告会社からのヘッドハンティングを受けたことだ。高い評価と好条件が提示され、移籍話しも具体化するなかで改めて将来を見つめ直したという。そして選んだのが飲食業界への道。学生時代に飲食店でアルバイトを重ねるなかで密かに想い描いていた飲食店開業を実現するためだった。
先ずはとピッツア職人の研修をスタートし、イタリアンでスキルアップを重ねた。2005年に1号店「pizzeria bar okéi」を新橋1丁目の路地に建つビル2階に開業。現在は業態変更し「TRATORIA okéi」として運営している場所だ。その後もイタリアン業態を2店鋪展開する片寄氏だが、出店条件は「駅から近くでいてあえて分かりづらい場所」と決めている。探して来てみて発見を喜ぶような路地や空中階の立地だ。「来る人を喜ばせ通ってくれるような楽しい店創り」をモットーにしているという。
自然のお酒の美味しさをさり気なく提案するのはソムリエでもある片寄氏
フードはイタリアンシェフとして同社で腕をふるってき松山陽介氏が遊び心を加えながらも酒場メニューに挑戦する。自慢の一品は「トリッパのトマト×八丁味噌」(780円)。「居酒屋にパスタがあってもいいじゃないか」と開業の決め手となったパスタは「辛い!アラビアータ」などの3種類(1300円)を用意する。麺は浅草の製麺所浅草開化楼の低加水パスタフレスカトンナレッリを使用。「イタリア産生ハム」(500円)、「燻製卵といぶりがっこポテトサラダ」(530円)、「チューリップチキンの唐揚げ4本」(600円)などを揃えている。
ドリンクは常時50種類以上も揃える「日本ワイン」(グラス650円〜ボトル3300円〜)に自然酒造りで知られる寺田本家の「日本酒」(80ml 590円)。奄美黒糖焼酎をベースに無農薬レモン仕様の「ダントツ一番人気!魅惑のレモンサワー」(650円 大750円)。自然派のお酒の美味しさをさり気なく提案するのはソムリエでもある片寄氏だ。そして二人の息のあった接客が酒の場を盛り上げる。
小箱飲食店が軒を連ねる地下飲食街という未知の物件で初の酒場業態にトライ
小料理屋や立呑みなど約50店鋪前後の小箱飲食店が軒を連ねる地下飲食街という未知の物件で初の酒場業態へのトライをした片寄氏。実は創業の1号店、2号店が入居するビルの取り壊しに伴い2019年の12月末に共に閉店となるために新店物件を探していたのだ。そんな折に出会った飲食街に潜む路地の角地の居抜きの元居酒屋環境の物件。学生時代から片寄氏が想い描いていた飲み屋として立ち上げることを決めた。オープン後に空いた向かいの元スナックの場所も「離れ」として取得した約5、2坪で営業する「おけい屋」。ミニマムな空間のなかで出来ること、遊べる事に挑戦しながらも“普通であること”を肝にこのビルの中で必要とされる店、楽しい店にしていく事が当面の目標にする。さらにスタッフが新しい事にチャレンジ出来るいい会社創りに力を入れていくことも課題だ。すでに5年前より独立支援、月7日の休みに賞与などに加え海外研修といった働く環境の充実化に取り組んでいる片寄氏はより健全で質の高い同社創りを目指す。
店舗データ
店名 | おけい屋 |
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住所 | 東京都港区新橋2-20-15新橋駅前ビル1号館B119-5/6 |
アクセス | 新橋駅から徒歩1分 |
電話 | 03-6280-6443 |
営業時間 | 【月〜金】17:00〜23:45【土】15:00〜22:00 |
定休日 | 日祝 |
坪数客数 | 4坪+離れ1,2坪/16席(うちカウンター12席)+離れ9席 |
客単価 | 3300円 |
運営会社 | 株式会社okéy |
オープン日 | 2019年6月14日 |