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9坪で月商750万円の学大の繁盛店「ひとひら」が、2店舗目「目黒ひとひら」を開業!既存店から一転、回転数よりゆったり過ごせる店づくり。そこに隠れた戦略とは?

5月23日、目黒に「目黒ひとひら」が開業した。2016年5月に学芸大学にオープンした「ひとひら」の2店舗目だ。学芸大学は単価3500円で1日およそ3~4.5回転、約9坪の店内で月商750万円を売り上げる超繁盛店。そんな「ひとひら」の新店は、既存店とは一転、アッパーなサラリーマンをターゲットに単価5000円でゆったりと過ごしてもらう店づくりとなっている。そこには、オーナー赤川登希夫氏の時代を見据えた出店戦略が隠されている。

目黒駅から徒歩2分、雑居ビルの地下1階に立地
中央に炉を置いたメインカウンター。テーブル席も配置。デザインはA-SWITCH秋本氏。地下のため視認性の面で不安があったというが、それを逆手にとってゆったり過ごせる隠れ家感を意識した
その日の鮮魚を使った炉端焼きもウリのひとつ。ダイナミックに焼き上げる姿はカウンターからよく見える
その日のお造りの一例、「金目鯛冷しゃぶ造り 薬味のせ」(880円)。ひとひねりを加えた割烹レベルの和食を提供
写真左からスタッフの伊藤 剛氏、オーナーの赤川登希夫氏、スタッフの小池桃果氏、南 成凛星氏

(取材=大関 まなみ)


創業店「ひとひら」は天ぷらでちょい飲み需要を獲得、坪月商80万円の繁盛店に

オーナーの赤川登希夫氏が、飲食業界で独立を目指し修業を開始したのは27歳のとき。和食店や焼鳥店で約10年にわたって経験を積み、2016年に「ひとひら」で独立を果たした。一品から注文できる「お好み天ぷら」をウリにちょい飲みできる店作りが大当たりし、たちまち人気店へと成長。優秀なスタッフも増え、9坪の店舗だけでは持てあますようになったことから2店舗目へと目が向いた。

時代を見据えて2店舗目は趣向を変更。回転数よりゆったり過ごせる店づくりを意識

2店舗目となる同店は、同じ「ひとひら」ブランドとしながらも、創業店の学芸大学の店とはガラリと趣向を変えている。学芸大学の「ひとひら」の単価が3500~3700円で、地元の若者を中心にサクッと1杯のちょい飲みや2次会利用を中心に集客し、多い時で4.5回転する。「目黒ひとひら」は一転、ターゲットは都心のアッパーなサラリーマンに定め、単価設定は5000円で、回転数よりもゆったりと過ごしてもらうことに主眼を置き、1~2回転すれば十分に利益の出る構造とした。その狙いについて、赤川氏はこう話す。

「手頃な単価で多くのお客様を回す構造の商売だけでは、この先は厳しい。多くのお客様を迎えるには多くのスタッフが必要だが、人材不足が叫ばれる今、スタッフ獲得自体が難しい。私だって年を取れば前ほど無理はきかなくなる。今後を考えると、短時間で効率よく売上を上げるための工夫が求められるので、回転数を抑えてゆったりと過してもらう店を開業しようと思ったんです」。

同物件は知人の紹介でたまたま巡り合ったものだが、目黒には大企業含め多くのオフィスがあり、また芸能事務所も多いという。求めていたマーケットに合致すると契約に至った。

その日の鮮魚を刺身、炉端、すしで提供、割烹レベルの和食

同店の料理は、その日仕入れる鮮魚が自慢。お造り、炉端、すしなどで提供し、割烹レベルの和食でワンランク上の居酒屋を目指している。

お造りは「天然平目と京九条葱のすだちカルパッチョ」(880円)、「つぶ貝ととり貝盛」(1280円)など。「お造り盛り合わせ」(一人前1380円)など、鮮魚の仕入れにより日替わりで用意。炉端焼は「鮎」(一尾630円)、「鰻のくりから焼き」(1本780円)など、こちらも日ごとのラインアップだ。「おまかせ五種盛」(一人前930円)もしくは単品でもオーダーできる、大皿に盛ったおばんざいも充実。〆には元すし職人のスタッフによる「おまかせ五貫握り」(1980円)の本格派のすしが楽しめる。魚以外にも「大山鶏と茄子とズッキーニのしぎ焼き」(930円)の肉料理から、「ズワイ蟹とクレソンの白サラダ」(780円)、「真鯵と芽ネギのガリ巻き」(680円)など気の利いたつまみまで、およそ全50品を用意する。

焼酎はソーダ割りを推奨し、焼酎を飲みなれない層にも訴求

ドリンクは「キリンハートランド生」(580円)から、さくらの塩漬けを入れた「ひとひら桜サワー」(580円)、「徳島生すだちサワー」(530円)などのサワー、茶割り、ハイボールなどをはじめ、日本酒と焼酎にも力を入れる。日本酒は、赤川氏が思い入れのある蔵元から、魚に合うキレのよい味わいのものを中心に常時約15品(グラス600円、一合900円~)を揃える。焼酎は常時約10品(500円~)を用意するが、ソーダ割りを推奨。「焼酎ブームが下火になる今、まずは飲みやすいソーダ割りを提案することで、そのおいしさを知ってほしい」と赤川氏は話す。

学大の取りこぼし対応策が急務。かつての修行先、三茶の「庄助」の復活も夢見る

「オープンしたばかりなので、まずは安定して1回転させることが目標。その後、軌道に乗っても2回転すれば十分。その分、お客様の満足度を上げて単価を上げることで利益を出していきたい」と赤川氏は意気込む。

さらに今後については3つの目標を掲げる。「学大の移転、もしくは近くにもう1店舗、出店したい。有難いことに多くのお客様が来てくださり、お断りすることもしばしば。取りこぼしを防ぐため、近くで物件を探しているところです」と話す。2つ目は、赤川氏がかつて働いていた三軒茶屋の焼鳥店「庄助」の復活だ。「独立前に6年間働いていた『庄助』。やむを得ない事情で惜しまれながらも閉店してしまい、本店の看板は私がいまだに持っています。5年のうちに当時の仲間とともに再オープンがしたい」と話す。そして最後は、「やりたいことをやりきったら、将来は湘南ののんびりとした土地でゆったりと商売をしたい」と笑う。先を見据えながら着実な経営を続ける赤川氏の未来は明るい。

店舗データ

店名 目黒ひとひら
住所 東京都品川区上大崎2-14-3 三笠ビル B1F

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アクセス 目黒駅から徒歩2分
電話 03-6450-3606
営業時間 17:00〜24:00(料理LO23:00ドリンクLO23:30)
定休日 日曜
坪数客数 13坪22席
客単価 5000円
オープン日 2019年5月23日
関連リンク ひとひら、TRATTORIA 夷、鳥せん(記事)
関連リンク 目黒ひとひら(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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