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グーグル出身の代表が手がける「LOBBY」が池尻大橋にオープン。バイスやハイサワーを使用したクラフトカクテルを提供。居酒屋以上オーセンティックバー未満の店作りで若年層の潜在マーケットを開拓する

5月9日、“ホテルのロビー”をコンセプトに掲げるバー「LOBBY(ロビー)」が池尻大橋にオープンした。お酒に詳しくない20代~30代のライト層を狙い、バイスやハイサワ―など居酒屋でよく見る親しみやすい素材を使用しながら、オーセンティックバーさながらの見た目・香りにこだわるカクテルを提供。“居酒屋以上オーセンティックバー未満”を目指すオリジナルの業態「ストリートバー」として、新しいお酒の価値を打ち出す。運営は、デザイン会社のアンドサプライ(東京都世田谷区、代表取締役社長:井澤 卓氏)。自らアーティストでありながら、マーケティングに精通した代表・井澤氏率いる同社の空間プロデュースにも注目だ。

池尻大橋駅から徒歩5分。ラーメン店の裏手にある隠れ家的立地。コンセプトに自信があるからこそ視認性の悪い場所でも出店に踏み切ったという
入口すぐのゾーン。打ちっぱなしのコンクリートに木の温もりを組み合わせた空間には、カウンターを中心にベンチ席も配置。天井が高く開放感があり、席間も広くとってゆったりと過ごせる。店内奥にはテーブル席を配したゾーンも
「バラとローズヒップのジントニック」。ローズヒップを漬けこんだジンにローズウォーターをプラス。香水のように華やかな香りが楽しめ、縦にスライスされたキュウリと薔薇の花びらが飾られた見た目にも美しい
「梅紫蘇バイスモヒート」(1,100円)。紫蘇リキュールと麦焼酎を大衆酒場で馴染みの深いバイスで割り、ミント、紫蘇、梅干しを加えた和風モヒート
左から、代表取締役の井澤 卓氏、「LOBBY」のマスター松井凉氏、COOの倉嶋歩氏

(取材=福井 晶)


ITマーケティング出身者の若手チームによる飲食店づくり

アンドサプライは、アーティストのマネジメントやイベント企画、ブランディングを手がけ、クリエイティブを生み出すデザイン会社。代表の井澤氏は32歳。2011年にヤフーに入社後、2014年にグーグルに転職。一貫してデジタルマーケティング、ビジネスコンサルティングに携わってきた。並行して2013年より、現在アンドサプライ所属の土堤内(どてうち)祐介氏とデザインユニットPaint & Supplyを結成し、チョークレタリングのアーティストとしても活動。「私はもともとホテルという空間がすごく好きで。空間プロデュースを手がけ、いつかホテル事業も展開したいと考えていました。その第一歩として、“ホテルのロビー”をコンセプトに飲食店を作りました」と井澤氏。マーケティングとデザイン2つの経験を積み、2018年にアンドサプライを起業。2019年から土堤内氏を含めてメンバー3人の仲間を迎え、同店の開業に着手した。

オリジナル業態”ストリートバー”で若年層の潜在的需要を狙う

同店は”ストリートバー”を謳う。これは井澤氏がオリジナルで打ち出す業態で、居酒屋では物足りないが、オーセンティックバーには行きにくいという20代後半から30代の潜在的な需要にこたえるもの。「20代くらいの若年層は、居酒屋で『とりあえず、〇〇』とお酒を注文する。この場合、出てくるお酒に対して特に大きな期待は抱いてないはずですよね。私達は当店を通じて、若い人にもレストランのコースで次の一皿は何が出てくるのだろう?と期待するような楽しみを知ってもらえる業態を作りたかった」と井澤氏。

そこで、居酒屋でよく見る慣れ親しんだ素材を使いながらも、味はもちろん見た目、香りにこだわりオーセンティックバーさながらのクラフトカクテルを用意。大衆酒場でお馴染みのバイスやハイサワーや、スパイスやフルーツを漬け込んだジンなどを使用。難しい用語や馴染みのない素材はできるだけ排除し、お酒の知識がないお客でも注文したくなるものでありながらも、ひとひねりを加え、注文前の想像を超える仕立てのカクテルを用意している。

1番人気はバタフライピーを使用した「バイオレットレモンサワー」(800円)。他にも「紅茶とシトラスサワー」(900円)、「薔薇とローズヒップのジントニック 」(1000円)など、見た目や香りにこだわったカクテルを9品、それらは目黒のバー「バー 014」に依頼し開発したもの。加えて、「焼酎の「つゆひかり」割り」、「「藤枝」トニック」(各700円)の日本茶使用のカクテル2種類、クラフトジンは15種類など、クラフトマンシップが隠れたドリンクも選定する。

フードは「エスニックな美味しいもやし」(500円)、「自家製キャロットラペ」(500円)、「自家製ポテトサラダ」(700円)、「〆のスパイスチキンカレー」(1200円)など、自分たちで考案したものと「バー 014」から受け継いだメニューで構成。今後研究を重ね、ブラッシュアップしていく予定だという。

ホテルのロビーのように多用途に使える空間づくり

店名の通り、ホテルのロビーのように思い思いの滞在の仕方をして欲しいという思いから、どんな人でも入れる門戸のひらいた店づくりを意識。店内は2つのゾーンに分かれ、入口すぐのスペースにはカウンター席とベンチを配置。店内奥のスペースにはテーブル席を備え、ひとり客からグループ客までをカバーする。店舗設計やデザインは、設計会社勤務経験のある土堤内氏を中心に手がけた。拡張性ある空間づくりを意識し、多用途で使えるスペースとなっている。店舗を使用しない閉店時間中は、絵になる店内を活かし、撮影スタジオやギャラリースペースとして貸し出す。

井澤氏は「LOBBY」開業について、今後空間プロデュース業を手がける第一事例として絶対に成功させたいと話す。ここから会社を成長させ、現在は事務所として使用している2階部分を将来は実際のホテルとして改装する予定だ。さらに今後は池尻大橋の地域ブランディングや、本格的な空間プロデュースを視野に入れているとのこと。「当店で私たちが飲食業界について考えている仮説をひとつずつ試して、飲食業界未経験のアウトサイダーであっても店を繁盛させることができる、と証明したい」と、井澤氏は静かに闘志を燃やす。

店舗データ

店名 LOBBY(ロビー)
住所 東京目黒区東山3-6-15 1F

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アクセス 池尻大橋駅から徒歩5分
電話 03-6457-5250
営業時間 18:00~26:00
定休日 日、月曜日
坪数客数 18坪25席
客単価 3000円
運営会社 株式会社 アンドサプライ
オープン日 2019年5月9日
関連リンク LOBBY(HP)
関連リンク LOBBY(Instagram)
関連リンク アンドサプライ(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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