3店舗の焼鳥店の統括部長を10年勤め独立
「20歳で上京したときは、アパレル業を志してたんですよ。それなのに貯めていたお金を全部飲み代に使っちゃって」と軽妙に語るのは代表の橋本幸政氏。日雇いの建設現場やガールズバーでボーイとして働いた。元来、接客が好きだったという同氏。居酒屋運営に興味を持っていたところに鳳凰(東京都品川区)の社長から誘いがあり、吉祥寺「焼き鳥しょうちゃん」を立ち上げた。その後、池袋、五反田にも店舗を拡大し、合計3店舗を運営する統括部長として勤務。立ち上げから10年の節目を機に独立を果たした。
飲食店における“ユニクロ的ポジション”を狙う!
メニューや店づくりは直球の大衆酒場だが、コンセプトとして掲げるのは「ユニクロのような店」だ。「ユニクロの服はシンプルで着る人を選ばないし、リーズナブル。だから高所得の人にも低所得の人にも好まれている。当店も、飲食店でそのようなポジションを狙いたい」と橋本氏。安い、楽しい、美味しいを軸に、席料やお通しも設けない。どんな人にも親しみやすいメニューを揃え、老若男女、ひとり客からグループまで間口も広い。「当店は、お金がないときでも手頃な値段で飲み食いできるし、普段はもっといい店に行く方が『今日はカジュアルに』という使い方もできる。クオリティが良ければ、どの層もついてきます。多方面からリピーターを作っていきたい」と同氏。オープン2ヶ月の滑り出しは順調。毎日のように飲みに来るお客もいるという。
定番のドリンクメニューに「”中野”ハイボール」で引きをプラス
料理は「焼き鳥しょうちゃん」のメニューも引き継ぎながら、刺身、焼き鳥、鉄板焼き、揚げ物など幅広く揃える。山梨県産健味どり使用の焼き鳥は、塩味の効いた飲兵衛仕様で、レアに焼き上げる「レバ」(120円)がイチオシだ。また、国産牛すじ使用の「牛すじキャベツ焼き」(680円)、「屋台のソース焼きそば」(580円)など、関西出身の橋本氏特製の鉄板焼きも人気だ。
看板ドリンクのPEAKウイスキー使用の「中野ハイボール」(500円)は、大胆に「中野」と名乗るキャッチーさがフックとなり人気の商品。「PEAKウイスキーはあんまり手に入らないと聞いて、思い切ってこの名をつけました。クセがなくまろやかな味わいで評判もいいです」と橋本氏。ドリンクはチューハイ類が380円から。日本酒、焼酎などもラインナップしている。
物件選びは家賃より立地を重視
10年以上吉祥寺をホームとしてきた橋本氏だが、中野の街が気に入り開業を決めた。「ここは飲兵衛が多いし、単純にいい街だと思いました」(橋本氏)。幸運にも物件はすぐに見つかった。家賃は周辺の相場と比較するとやや高かったが、同業態の少ない昭和新道通りの立地を重視して契約した。
内装工事は、バルの居抜き物件のため壁を煉瓦色に塗るなど最小限で済んだ。そこにレトロモダンをイメージした昭和家具の茶箪笥や灯篭を設置。「レバーは炙ったほうがいい」や「ハードルは高いほどくぐりやすい」など思いつく限りの言葉を紙に書いて壁に張りつけ、ポップな同氏のキャラクターが表れた店内に仕上がった。今後は店奥の壁に銭湯絵をオマージュした富士山を描く予定もあるという。
今後は「自分の好きなことを事業として広げていきたい」と橋本氏。同店の移動販売化やオリジナルTシャツの販売など、店舗の認知につながる活動に加え、カラオケバーの経営なども新業態の経営も視野に入れる。最終目標は“NONDAKURE(のんだくれ)”ブランドの拡大。「NONDEKUREコーヒー」としてカフェを、「NOTTEKUREサイクル」として自転車屋を……と、居酒屋に限らず様々な業態のヴィジョンを描く。大きな夢を語る同氏のパワフルさが今後の展開を期待させる。
店舗データ
店名 | 大衆酒場NONDAKUREジョージ |
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住所 | 東京都中野区中野5-53-8 |
アクセス | 中野駅から5分 |
電話 | 03-5942-7735 |
営業時間 | 16:00~翌朝4:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 10坪23席 |
客単価 | 2500円 |
オープン日 | 2019年2月13日 |