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出版社を母体とし、「カフェゼノン」など飲食店を展開するじぞう屋が、マンガ的な発想を空間に表現したネオ酒場「ゼノンサカバ」をオープン

吉祥寺駅から徒歩5分。JRの高架下に位置する
100坪120席の店内。席間はゆったりしていて、ポップな色使いでカフェのような内装
生産者が少なく希少な「阿蘇あか牛」。溶岩プレートは阿蘇の溶岩から職人が手仕事で作る特注品
コミックゼノンの連載陣が書き下ろしたイラスト入りグラス。食器などは、吹き出しやコマ割りなど漫画の表現技法がモチーフになっている
統括マネージャーの石橋 ケンタロウ氏

(取材=福井 晶)


11月28日、JR吉祥寺駅の高架下に「ゼノンサカバ」がオープンした。運営会社は、「月刊コミックゼノン」などの編集、出版を手がけるコアミックス(東京都武蔵野市、代表:堀江信彦氏)を母体に、ビル管理や飲食事業を手がけるじぞう屋(東京都武蔵野市、代表:堀江信彦氏)。同社は“マンガの概念を空間で表現する”をコンセプトに吉祥寺で「カフェ ゼノン」や「ソラゼノン」、「じぞうバー」の飲食店を運営している。「ゼノンサカバ」はマンガ的要素を加えたポップな雰囲気ありながら、古典酒場をリスペクトした自動販売機やお客が自分で串を焼く炭火場を設置。誰でも集まれるコミュニティとしての酒場を目指し、イベント開催なども仕掛けるネオ酒場だ。

ホームタウン吉祥寺で10年目の挑戦

じぞう屋は吉祥寺をホームタウンとし、これまで焼鳥業態、蕎麦業態などを出店、現在は3店舗を運営する。「ゼノンサカバ」はホームタウンで4店舗目の開業となる。同店に隣接する「カフェゼノン」はオープン10年目。“カフェの姿をした空間の“漫画雑誌”をコンセプトに、マンガとコラボした限定メニューを提供したり、作家の原画を飾るなど、随所にコミックの要素を取り入れている。開業当初は賑わう商店街から離れていたため、集客が心配されたが、徐々に地域に浸透。「カフェゼノン」が開業したことで人通りも増えたほどだ。「もう10年目なので、そろそろ新しい展開を考えたくて。せっかくだから自社で盛り上げてきたこの近辺で新しい店をやりたいなと思ったんです。だから、最初は“場所ありき”でどんな店をやるか構想をはじめました」と語るのは、企画を手がけた統括マネージャーの石橋 ケンタロウ氏。

誰でも集まれる“サカバ”でコミュニティづくりを

“場所ありき”といっても具体的に店舗物件を取得したわけではなかった。「カフェゼノン」の隣接する高架下は、古くから倉庫や事務所があった空きスペース。ここを飲食店舗として貸してもらえるよう、所有者であるアトレ(東京都渋谷区、代表:一ノ瀬 俊郎氏)に交渉するところからはじまったのだ。
当初から決めていた店のテーマは“コミュニティづくり”。「アトレへのプレゼンの段階でどんな業態でやるか、かなり迷いました。当初はブリュワリーを作るという案も出ましたが、協議の末、誰でも集まることのできる酒場ならぬ、新たな“サカバ”を作ることに。街の活性化はアトレの意向でもあり、私たちも同じ考えでした」(石橋氏)
また、30、40代の男女をターゲットに夜がメインの居酒屋業態にすることで、20代女性のお客が多く昼間から稼働する「カフェゼノン」と、隣同士でバランスよく集客を狙えるのも決め手だった。

目玉の炭火場と自動販売機は「ニューカヤバ」リスペクト

店づくりは、約20~30年前に建てられ、今はもう図面のない建物を解体する必要があったため、約2年半を要した。撤去できない鉄骨の柱や梁などを活かしたまま、ゼノンらしい内装に仕上げるのには苦労したという。
店内は約100坪、客席120席。グループから女性の1人客まで、ゆったり座って楽しめる空間だ。目玉となるのは、お客が自分で串を焼ける炭火場とお酒の自動販売機。「茅場町の大衆酒場『ニューカヤバ』へリサーチに行った時、自分で焼いて自分でドリンクを注ぐ、あのシステムに感動したんです。体感型が新鮮で古典酒場に馴染まない層にも楽しんでもらえると思いましたし、吉祥寺のカップルやグループ客にウケるのが目に浮かびました。客同士のコミュニケーションにもつながると思いました」結果、座ってゆっくり飲んでも良し、炭火場の近くで立ち飲んでも良しのユニークな酒場が完成。目論見通り、席をまたいでお客同士の交流が生まれた。

客層は当初のターゲットとしていた30代、40代の男女が多く、男女の比率は概ね5:5。炭火場を利用するのは、約3割。SNS映えのコンテンツとしても機能し、女性グループ客にも人気だという。
お酒の自販機は、コンテンツとして楽しんでもらうのが一番の狙いだが、炭火場とセットで店内に配したことで、焼きながらドリンクをおかわりする客もキャッチ。ついつい飲み過ぎてしまう仕掛けになっている。オペレーションでも助けられることも多く、混み合う時間帯は自動販売機をオススメするなど、うまく活用している。「実は、メンテナンスの手間、原価率を考えると必ずしも費用対効果は良くないのですが、このシステムを気に入ってリピーターになるお客様も多いんです」と語る石橋氏の顔は満足げだ。

メニューはゆかりの深い熊本推し

フードメニューは熊本の食材が中心。阿蘇溶岩の特注プレートで提供される「阿蘇 あか牛」(1,300円)や、「天草大王の濃厚鶏煮込み」(480円)、「あまくさ放牧豚のだご汁」(380円)などがイチオシメニューだ。熊本はコアミックス代表堀江氏の出身地。現地でイベントや会社を立ち上げるなど縁が深く、食材調達のパイプも太い。生産者との交流で生まれたメニューはどれも自信作だ。
ドリンクメニューも同様に、畳の原料のい草を使用した「八代 い草ハイ」(490円)、「天草晩柑サワー」(490円)、熊本の酒造から直送した日本酒などを揃える。また、お客と店員のサイコロの出目でドリンクの料金を決める「チンチロリンサワー」(0円~780円、サイコロの目により)を挟み込むなど、お客とのコミュニケーションも忘れない。

じぞう屋の“サカバ”はこれにとどまらない。毎週木曜日はパフォーマーによるイベントを開催、スタッフがおつまみを抱えて店内を売り歩く「振り売り」など、多方面からコンテンツを詰め込んでいる。石橋氏は「出版事業や飲食店、たくさんのコンテンツを持っているのが当社の強みですから、今後もそのノウハウを活かしていきたいですね。ブラッシュアップして、恵比寿や丸の内なんかで店舗展開していけたら」と展望を語ってくれた。「ゼノンサカバ」が吉祥寺を飛び出す日は近い。

店舗データ

店名 ゼノンサカバ
住所 東京都武蔵野市吉祥寺南町2-11-1

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アクセス JR吉祥寺駅から徒歩5分
電話 0422-27-2275
営業時間 17:00~24:00
定休日 無休(年末年始などを除く)
坪数客数 100坪120席
客単価 3500円
運営会社 株式会社じぞう屋
オープン日 2018年11月28日
関連リンク ゼノンサカバ(HP)
関連リンク ゼノンサカバ(Instagram)
関連リンク カフェゼノン(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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