JR中野駅から北方向に向かう路地には、多種多様な飲食店がぎっしりと軒を連ねる。ここ中野5丁目界隈は、中央線の中でも独自の文化圏といえるだろう。注目の新店が、「Tori Pani(トリパニ)」。運営は有限会社中国菜館明白(東京都中野区 代表取締役:長谷部智明氏)。女性に人気の「立ち飲み パニパニ」の姉妹店となる。その2号店としての位置づけでローストチキンの店「5丁目チキン とりパニ」を2015年5月11日にスタート。2018年7月4日には、“丸焼きチキン大衆オステリア”という新コンセプトを打ち出し、新生「トリパニ」としてリニューアルした。
「トリパニ」はもともと、長谷部氏がこの場所で長年営んできた中華料理店。ローストチキン業態への大胆な路線変更のきっかけは、アメリカでの体験がルーツになっている。「全米各地のスーパーマーケット、グロッサリーなど、どこに行っても必ずあるのが大型のロースター。中ではローストチキンが回っている。これが店で回ってたら!」と、自分の店で導入することを夢見てきた。「ローストチキンはアメリカのソウルフード。ロースターというのは、日本人にとっての焼き鳥と焼き台のようなものだ」と直感した。
アガリコグループで活躍中の若手を店主に抜擢
リニューアルのタイミングで大抜擢されたのが、店長の長内結氏だ。もともとは長谷部氏目当てに通う「立ち飲み パニパニ」の常連客だった。聞くと、飛ぶ鳥を落とす勢いのアガリコグループで勤務中という。「30歳までに独立したい!」と夢を語る長内氏に、センスを見出し白羽の矢を立てた。長内氏は、店のコンセプト作りから運営まで全部担当し、さっそく才覚を発揮している。「自分のお店のつもりで取り組んでいます」と微笑む。これに対して、長谷部氏は「チキンの調理オペレーション以外は、どんどん変えていってほしい」と、すでに全幅の信頼を置いた。
料理とドリンクのコンセプトは“親しみやすさ”
看板料理は、「回るローストチキン」(丸鶏2680円、半鶏1380円)。岩手県住田町産の清流若鶏を使用。秘伝マリネ液にひと晩漬け込み、大型ロースターでじっくり焼き上げる。豪快に手づかみで頂くのがトリパニ流、選べるシーズニングで飽きることなく堪能することができるのも嬉しい。双璧を成す人気メニューが「極太‼生PASTA」。地元中野で100年続く製麺所「大成食品」とコラボで作った極太麺を使用。ジャンクな味つけは、お酒との相性も抜群。黒トリュフとパルミジャーノの「パスタビアンカ」1,280円(ハーフ750円)など常時3種類をラインナップする。
ドリンクは、イタリアンに合わせてイタリアワインがメイン。立ち飲みに強いグループのため、ボトルよりもグラスワインが人気だ。メニューは「ハウスワイン」(380円)、「こぼれ乾杯スパークリング(赤・白)」(500円)など。高くても680円までと、リーズナブルな価格設定としている。ボトルワインも少数精鋭で銘柄と数を絞って常備しているが、お客に見せるワインリストは用意していない。スタッフと会話を楽しみながらおすすめワインを聞いてほしいという思いがあるからだ。1杯ワンコインがこのエリアで好意的に受け入れられる価格とわかったので、現在は生絞りのスプリッツァーやソーダ割りの日本酒など「ワンコイン」のドリンクメニューも開発中。
激戦地中野では“人”が勝負になる
中野は、中央線でも屈指の飲食激戦地。善戦しているのは、人柄のよさそうな長内氏と、調理チーフの草間氏の醸し出す雰囲気によるところは大きそうだ。長谷部氏は「若い力でとにかく大ヒットを飛ばしてもらいたい!」と期待を寄せる。「最終的にお客さんの琴線に触れるのは人だと思っています。おいしさは飽きるけど楽しさは飽きない。商品以上にお客さんにこだわり、『あいつが勧めてくれたんだから大丈夫だろう』という説得力を感じてくれるかどうかが勝負のカギ」というのが信念だ。中野のベテラン飲食人から、新しい世代へバトンが受け継がれようとしている。
店舗データ
店名 | 丸焼きチキン大衆オステリア「ToriPani」(トリパニ) |
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住所 | 東京都中野区中野5-60-2ライオンズプラザ中野1F |
アクセス | JR線ほか中野駅北口から徒歩2分 |
電話 | 03-3387-1247 |
営業時間 | 【月~金】17:00~25:00(LO24:00)、【土・日】15:00~24:00(LO23:00) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 15.2坪 30席 |
客単価 | 3000円 |
運営会社 | 有限会社中国菜館明白 |
オープン日 | 2015年5月11日(2018年7月4日リニューアル) |
関連リンク | Tori Pani(FB) |