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楽卒業生が中野で独立。スタッフが元気いっぱいに焼く鉄板焼きがウリの「ニューヨック中野」がオープン。スタジオムーン乙部氏による“立体感”を駆使した空間にも注目!

中野の商店街、薬師あいロード内に立地。駅からは徒歩10分かかるものの、人通りの多い立地だ
奥に伸びる長方形型の空間。デザインはスタジオムーン乙部氏。入口付近にカウンター、その奥に6名掛けのテーブル、店内最奥はゆったりとしたテーブルを配置する
店内奥のテーブル席は、大人数の宴会にも対応できる席配置
名物の「親子巻き」。カウンターの鉄板でスタッフが元気いっぱい焼き上げるパフォーマンスも評判になっている
「親子巻き」に次ぐ看板商品の「串煮込み」。味噌ベースの煮汁がしっかりと染み込み、酒の進む深い味わい
中央が代表の坂野善一氏。「ヨック」の愛称で親しまれている。右はスタッフの阿住駿氏、左は坂野氏の妻でスタッフの坂野麗美氏

(取材=大関 愛美)


9月2日、中野駅から徒歩10分ほど、新井薬師に向かう参道となる商店街、薬師あいロードの中腹に、鉄板焼きをウリにした居酒屋「ニューヨック中野」がオープンした。オーナーは、9年にわたり楽コーポレーション(東京都世田谷区、代表取締役:宇野隆史氏)で修業を積んできた坂野善一氏。楽コーポレーションの代表、宇野氏といえば「居酒屋の神様」として居酒屋業界に多大なる影響を与えている人物だ。楽コーポレーションではこれまで数々の独立者が輩出され、繁盛店オーナーとなった者も少なくない。そんな同社からまた期待の卒業生が登場した。楽コーポレーションのDNAを受け継ぎながらも、自身の色を出した店づくりを発揮。数々の繁盛酒場を手掛けてきた売れっ子デザイナー、スタジオムーンの乙部隆行氏による空間デザインも相まって、駅から離れた立地ながらも、さっそく地元住民を中心にファンを増やしている。

宇野氏の記事を見て楽へ入社を決意。独立めざして9年修業

坂野氏が飲食の楽しさに目覚めたのは大学時代に遡る。「大学1年のときに始めた居酒屋のアルバイトが楽しくて。卒業から2年後、その店に就職しました。3年ほど勤めた後はレストランへ移り、調理技術を学ぼうと考えました」。しかし、次第に飲食で働くことに限界を感じるようになっていった坂野氏。そんな折、雑誌で楽コーポレーション代表の宇野氏の記事を目にした。「商売の楽しさや大切なことなど、お父さん(宇野氏)の考えに感銘を受け、楽コーポレーションで働くことを決意しました」と振り返る。そうして「汁べゑ」「ゑびす堂」などさまざまな店舗で経験を積み、店長にも就任。楽コーポレーションで働いたことをきっかけに坂野氏の独立への想いは募っていった。目標としていた資金が貯まったことから、2018年3月で同社を退職し、開業準備に取り掛かった。

物件と運命の出合い!駅から遠いが“色気ある酒場”に

物件との出合いは想像以上にスムーズだった。「退職する少し前、不動産屋から最初に紹介されたのがここ。広さや家賃が希望に近く、駅からは距離がありますが人通りの多い商店街で、ここなら“色気のある酒場”を作れる、とすぐに気に入りました」と坂野氏。宇野氏をはじめとする師匠や先輩にも相談したところ、商店街の雰囲気や人通りの多さから「いいんじゃないか」という多数の後押しをもらったことで契約を決心した。「物件は運命。躍起になって探すものではない、というアドバイスを多々いただきましたが、その通りだと思います。自分の勘を信じてよかった」と坂野氏は言う。

乙部氏による立体感を使って広く見せる空間マジックに注目

空間デザインは、坂野氏がかねてから憧れていたというスタジオムーン乙部氏に依頼。「乙部さんはスケジュール的に忙しいと思い受けていただけるかわからなかったのですが、知人に紹介していただき、幸運にも引き受けてもらえることになりました」と坂野氏。奥に伸びる長方形の物件だが、入口から奥に向かって3段階の高さを付けた。入口すぐは鉄板焼きとフラットなカウンター席。その奥にはドリンク場と6名掛けのテーブル席をすぐ近くに配置。そして階段を上って足を踏み入れる最奥のスペースは、ゆったりとしたテーブル席のゾーンとしている。「立体感を付けることで、空間を広く見せています。広く見えるので、『ここ本当に14坪!?』と驚かれることもありますよ」と坂野氏は話す。

鉄板焼をウリに活気ある店づくり

「1店舗目なので専門的になりすぎないよう、今まで楽コーポレーションでやってきたことを踏襲しつつ、鉄板焼きをメインとした総合型居酒屋をやろうと思いました」と坂野氏。楽コーポレーションの退職後から開業までの間、吉祥寺の「じゅん粋」で働き、鉄板焼きの技術を習得した。鉄板で薄く焼いた玉子に鶏肉を巻いた「親子巻き」(680円)は店の名物。スタッフの元気な掛け声とともに、ときにお客との掛け合いを交えながら鉄板で焼き上げ、店に活気を生み出す商品だ。そのほか鉄板焼きメニューには「白レバー焼き」(480円)、「じゃがいもの塩辛バター」(680円)など9品。もうひとつの名物「串煮込み」(680円)は、みそベースで煮込んだお任せ4本の串盛りだ。「正しいポテサラ」(480円)、「なすの揚げびたし」(480円)など定番のすぐ出るつまみは13品、ほか〆モノやデザートを3品用意する。ドリンクはバラエティ豊かな品揃え。日本酒は瓶替わりでグラス120㎜490円、徳利180㎜750円で用意する。焼酎は「萬年(麦)」「残波(泡盛)」など全6品、450円均一で提供。チューハイは「なんくるないサワー」(450円)、「レモンサワー」(400円)など9品をそろえる。果実酒4品にビール、ハイボールなども。

さっそく地元に定着、日々、安定的な売り上げをキープ

オープンから1カ月少々だが、日々、売上に大きな波はなく安定的な額をキープしており順調だという。「店舗展開も考えています。ですが、まずはこの店を根づかせたい。普段は中野駅の近くで飲んでいるという人を引き寄せられるような店にしていきたいですね」と坂野氏は意気込む。「楽コーポレーションでは、“自分が楽しむ”ということを学びました。お客さまが喜んでくれることを考えるのは、自分自身がとても楽しい。それと、僕は自分が褒められるより、スタッフがお客さまから褒められているのを見る方が嬉しいんです。今後はそんな環境を作れるよう、日々進んでいきたい」と気合十分だ。

店舗データ

店名 ニューヨック中野
住所 東京都中野区新井1-21-6 関口ビル1F

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アクセス 中野駅から徒歩10分
電話 03-5942-4220
営業時間 17:30~24:00
定休日 不定休
坪数客数 14坪38席+スタンディング2名程度
客単価 4000円
オープン日 2018年9月2日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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