ヘッドライン

西葛西に「大衆焼き鳥とまぐろのおいしいお店 かんぱい家」が開業。あえてキラーコンテンツを作らず間口の広いメニュー構成で、地元民を「まっすぐ家に帰さない」日常使いの店をめざす

地下鉄東西線西葛西から徒歩5分。駅前の喧騒から離れて住宅街の静かな通りに入るあたりで提灯が煌々と輝く
12坪の空間を上手に使って、広々とした店内。8席あるカウンターや、ゆったり座れるソファー席など、合わせて24席
串焼は、焼き鳥、野菜焼、海鮮焼など合わせて20種類以上。「焼き鳥は、安く食べるもの」という伊藤氏の考えのもと、1本100円からで提供する。
鮮度の良いマグロぶつをはじめ、その日に仕入れた刺し身を「盛り合わせ」(1200円)にすることもできる。盛りは150グラムと 、価格に対して多め
穏やかでのんびりした口調が心地よい安堵感を与える伊藤氏。「ウチの店が、西葛西に住んでいる人たちの生活の一部になってくれれば」と笑う

(取材=髙橋 健太)


地下鉄東西線西葛西駅の北口から歩いて5分ほど、駅前の喧騒が遠くなりはじめ、住宅街の入り口に差しかかるその場所に、「大衆焼き鳥とマグロのおいしいお店 かんぱい家」は店を構える。1本100円からの焼き鳥と、新鮮な魚介類をはじめ、サラダや唐揚げ、フライドポテトなど、定番の居酒屋メニューをリーズナブルな価格で提供する。店主の伊藤譲二氏は、都内を中心に多業態を複数店舗展開する居酒屋グループで、焼き鳥の技術の習得に加え、他業態の開発・店舗展開などを経験し、7月2日に独立第一歩となる同店をオープンさせた。

伊藤氏が焼き鳥店の開業を志したのは幼稚園の頃、祖父に連れられて食べた近所の焼き鳥店のつくねのおいしさに感動したことがきっかけだ。大人になってもその夢がぶれることはなく、焼き鳥店を数店舗運営する会社に就職するも、一身上の都合で退職、病院の食堂で働き始める。だが、食べる人の顔が見えずに料理を量産するばかりの日々はどこか充実感を欠いていた。そんなとき、行きつけの飲み屋の店長に声をかけられ、彼の所属する会社に入ることにする。ここは、焼き鳥を中心に多くの業態を展開する居酒屋グループだった。

最初は経験を活かして焼き鳥の店長を任されるも、働きが認められるにつれて、メニュー開発や新業態の立ち上げを担当するようになった。新業態の立ち上げは、ステーキやそばなど、伊藤氏にとって経験のない業態ばかり。「ベンチマークした店へ何回も食べに行ったり、どうにかしてその店舗の仕入れ先業者を調べたり。知らないところからスタートだったんで、とにかく必死でした」と、当時を振り返る。こうして経営のノウハウを学び、ステーキ店のようにハレの日で使う店舗と、焼き鳥店やそば店のような普段使いの店舗、両方の店づくりを経験できたことが、伊藤氏にとって大きな財産になった。今までは焼き鳥一筋だったが、さまざまな業態の構想を持てるようになったという。とはいえ、まずは子どものころからの夢を叶えるべく、焼き鳥をメインにした店で独立することを決意する。

伊藤氏が独立開業の地として選んだ物件は、地元の西葛西。知人からは「駅前から離れたそんな場所はやめておけ」と言われたこともあったが、勝手知ったる街ゆえ、結果を出せる自信はあった。地元民の帰り道になっているからこそ、足しげく通っても負担にならないよう、客単価2500円程度のリーズナブルな価格に設定。多くの人にとって親しみのあるアイテムである、焼き鳥とマグロをおすすめとしつつ、サラダや揚げ物、炒め物、〆ものなど幅広い品揃えで、日替わり含め50品を用意する。「地元の人々が、気付いたら足を運んでしまっているような店にしたいですね。そのためには安くておいしくて飽きが来ない、定番の居酒屋メニューが一番いいだろうなと思ったんです」と、伊藤氏。敢えてキラーコンテンツを置かず、幅広いニーズにこたえるメニュー構成に。それでありながら、ひとつひとつはクオリティが高く、コストパフォーマンスが良いものを提供し、客にとって「もうひとつの家」のような存在になれることを目指していると語る。

子どもの頃からの夢だった焼き鳥は「ねぎま」「特選レバー」「すなぎも」など12品、1本100円から提供。「白ネギ」(100円/1本)や「銀杏」(120円/1本)といった野菜串、「イカげそ」(120円/1本)、「つぶ貝」(180円/1本)のような海鮮串など、焼き鳥以外の串ものも10品を揃える。また、毎朝築地から仕入れている「特選マグロぶつ」(590円)は鮮度の良さがウリで、店の看板メニュー。さらに、生ビールやチューハイ・サワーは「中ジョッキ」(生ビールは480円、サワー・チューハイは390円)と「がぶ飲みスタイルバリュージョッキ」(生ビールは590円、サワー・チューハイは450円)の2サイズで提供している。そのほか、「ハイボール」(400円~)や「日本酒」(390円~)、「本格焼酎」(グラスは400円~、ボトル2980円~)と、一通りのドリンクを飲兵衛に嬉しい価格設定で揃えた。

数えきれないほど色々な店舗を見て、そこで飲み食いしてきた伊藤氏の頭の中には、ステーキやホットドッグ、唐揚げ専門店など、語りつくせぬほど多くのアイデアが詰まっている。今後については、2~3年後に法人化し、5年以内にはそれらを形にして、5店舗ほどに展開することが当面の目標だ。 また、それと並行して考えていることもある。「勤めでもらえる給料って限界があるはずだし、自分で腹をくくり『独立してやる!』って気持ちで仕事をした方が楽しいんですよ。そういう人たちの背中を押せるように、業務委託や暖簾分けなど、なんらかの形で独立支援の仕組みも作っていきたいです。そうやって一人前の経営者になることが、今まで修行させてもらっていたお店への恩返しになると思っています」と伊藤氏。自身の夢を追い開業し、さらに次なる構想を考え、それを形にするプロセスまで考えて動くことの楽しさを、飲食店に携わる多くの若者に知ってもらいたいと語る。

店舗データ

店名 大衆焼き鳥とマグロのおいしいお店 かんぱい家
住所 東京都江戸川区西葛西3-13-2

 >> GoogleMapで見る

アクセス 地下鉄東西線西葛西駅から徒歩5分
電話 03-6339-3205
営業時間 17:00~翌3:00
定休日 月曜
坪数客数 12坪24席
客単価 2500円
オープン日 2018年7月2日
関連リンク かんぱい家(HP)
関連リンク かんぱい家(Facebook)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

ヘッドライン一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集