裏銀座とも称される八丁堀・新富町・築地エリア。ワインバルブームの火つけ役となった個性的な名店がそろう、聖地のような場所である。この地で「テーブルワイン ポンデュガール」や「ガール・ド・リヨン」をはじめとしたカジュアルな人気ワイン酒場をドミナントで展開するワイン酒場の仕掛人、安生浩氏(有限会社リヨンブルーアンテルナショナル代表取締役)がグループ8号店目となる新店をオープンした。得意のワイン業態での出店かと思いきやまさかの焼肉業態、それも人気店のフランチャイズだという。
気になるそのブランドは、焼肉専門店「炭火焼きホルモン ぐう」。山手線の主要駅を中心に展開する予約必至の人気店だ。新鮮なホルモンを用い、肉の部位ごとに異なる下味をつけて炭火七輪で提供するのが特徴。これまで直営9店舗を運営し、この築地の新店がはじめてのフランチャイズとなる。「ぐう」のゼネラルマネージャー吉田隆行氏いわく、「客単価5000円というやや高価な専門店のため、フランチャイズ展開は難しいとは思っています。それでも、実績のある安生さんだからこそやっていただきました。安生さんも『ぐう』だからというのでやってくれた」と、二人は絶大の信頼を寄せ合う仲だ。「僕らは焼き肉スペシャリストとしての刺激を与え、逆に安生さんからはサービスのなんたるか、それからワインをどう売るのかを勉強させていただきたい。とにかくコラボレーションによるシナジー効果に期待しています」とのことだ。
しゃれたワインバルをやっているわりに、安生氏は「主食は肉」というほどの肉食派。「とにかく『ぐう』をやりたい、おいしいホルモンを食べたい。届けたい」という素直で純粋な想いが根底にある。「うちはワイン中心でやってきた。焼肉でワインを飲むことはあまり多くないし、値も張ってしまう。そこそこの価格でいいワインをちゃんと置くお店が少ないので、一番手としてやってみようかなと。ただし『ぐう』は確立されたブランドなので、その名を汚さぬようにしたい」と慎重な姿勢を見せる。出店に際して立地のこだわりはなく、賃料が高くないこと、今までやってきた地であることを条件に、店舗探しには1年半かけた。平日は近隣のオフィスワーカー、土日は意外に多いファミリー層を見込み客としている。
メニューは、既存の『ぐう』のオリジナルメニューに準じる。調理の特徴は、食肉市場直送の新鮮な肉の部位ごとに味けを変えてること。そのほか、つけダレを置かないことにもこだわり、肉本来の味わいを強調している。「ホルモン」(780円)をはじめ、和牛の部位も充実させた。肉は、お客がそれぞれ卓上で炭火七輪を使って焼き上げるが、強力ダクトを設置しているため、服や髪にほとんどにおいがつかないように配慮をしている。お通しのキャベツと、味つけねぎは無料で何度もおかわりできるのも好評だ。ワインのセレクトは代表の安生氏が主役のホルモンをもっと食べられるような、料理に合うワインをチョイス。おすすめは、「モリ ビアンコ(白)」(2,980円)、「アシエンダ ゾリータ(赤)」(2,980円)など。質のよいワインをお得に提供できるのは、まさにリヨングループの真骨頂であろう。
ワイン業態を中心に、このエリアで確固たる評判を築いてきたリヨングループ。8号店目となる新店を「ぐう」の看板にしたのにはもう一つの理由もある。「飲食人は、大会社にて上を目指すか、小さくてもいつかは自分のお店を持ちたいと頑張るかの2通りだと思う。うちのスタッフは全員が後者。これまでもグループ内で独立支援を進めてきたが、今回は他社ブランドを活用した独立のためのモデルケースとしたい」と独立志願のスタッフに店の切り盛りを委ねた。「スタッフの夢を手伝うのが僕の仕事、会社を大きくしようという思いはないんです」と安生氏。人材不足が深刻になる中で、意欲的なスタッフが集う理由もそんなところにあるのではないだろうか。
店舗データ
店名 | 炭火焼ホルモン ぐう 築地店 |
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住所 | 東京都中央区築地2-6-2 カルム築地 |
アクセス | 東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩1分 |
電話 | 03-3541-3729 |
営業時間 | 17:00~24:00、土・日16:00~23:00 |
定休日 | 月曜 |
坪数客数 | 15坪 31席 |
客単価 | 5500円 |
運営会社 | 有限会社リヨンブルーアンテルナショナル |
オープン日 | 2018年7月18日 |
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