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あえて焼肉激戦区・赤坂に殴り込みをかけた「手巻き焼肉 金の牛」、9月15日にオープン。焼肉をチーズや野菜と手巻きで食べる斬新さと「元祖・焼肉文化を啓蒙する」熱意が込められた店

TBS、博報堂などメディアが並ぶ一ツ木通りから一本入った、小さな路地のビル5階にある。最初は見つけづらいが、赤坂駅徒歩1分の便利な立地
キッチンと客席を一体化させた「半セルフ」の内観。大阪の天丼店などを見て「うまい店は客席の距離が圧倒的に近い」という青山氏の気づきからこの形が生まれた。従業員の負担も少ない
メイン料理の「プルコギセット」。中央にプルコギ1人前220g、横の溝に「トロッとチーズ」、「フワッと玉子」、「カレーソース」と日本人好みの具材を注ぎ、温めながら肉を焼く
チーズや卵の他、たっぷりの葉野菜にフライドガーリック、「ネギっぺ(ごま油などで味付けた白髪ねぎ)」、野菜やフルーツを使ったオリジナルソース(1種類を選べる)がセットになっていう
代表取締役の青山航太氏。商売の戦略はあるが、常に考えているのはお客が喜ぶか、という一点のみ。「お客さまの方を向いていれば、自然と商売は付いてくる」が自身のポリシー

(取材=浅野 陽子)


ジャンル問わず繁盛店が密集し、特に焼肉業態は古くからの有名店が集中する赤坂。都内でも随一の焼肉激戦区に殴り込みをかけ、9月15日にオープンしたのが「手巻き焼肉 金の牛」赤坂店だ。運営会社Origin to Growth(兵庫県神戸市、代表取締役 青山航太氏)の直営店として、神戸と姫路での出店に続き、初の東京進出である。立地はTBSのある赤坂サカスから徒歩1分、赤坂のど真ん中だ。「赤坂で焼肉?!」と外食業界の師匠からは大反対されたそうだが、「僕が実現化するのは、細部にこだわった1店舗の成功ではなく、飲食業界で日本一の経営者になること。うちが『赤坂で一番流行っている店だよね』と評判が立てば、日本全国どこでも勝てると確信したのです」と青山氏は目を輝かせる。

「手巻き焼肉」は青山氏発案のオリジナル商品だ。韓国から持ち帰ったサムギョプサル用の鉄板を改良した特注品を使う。メインメニューの「プルコギセット(一人前)」(3000円)は、客はタレと玉ねぎを合わせたプルコギ220gを鉄板中央の広い部分で焼きながら、横の3カ所の溝にチーズ、卵液、カレーソースを流し込み、加熱する。それを葉野菜やキムチ、味付けした白髪ネギ(「ネギっぺ」)、フライドガーリック、オリジナルソースと巻いて食べる。「日本人に『手巻き』スタイルは寿司でおなじみですが、食べる人によって無限に味が広がる。『究極の口内調理』と僕は呼んでいます」と青山氏。

この手巻き焼肉を、掘りごたつ形式の座席で、靴を脱いで家でくつろぐように楽しむのが「金の牛」全店共通のコンセプトだ。顧客ターゲットは女性に絞り、女性客が男性客やファミリー客を連れて再訪する流れを描いた。構想半年、初めての人にもわかりやすい「手巻き」焼肉というネーミングの考案に2カ月をかけ、今年1月29日に1号店となる三ノ宮本店(直営)をオープン。6月24日に姫路店(FC)、今回の赤坂店(直営)、9月29日に神戸・東加古川店(FC)を続々と出店した。来年は一気に加速して全国で60店舗のFC出店を目指している。

手巻きスタイルで焼肉をチーズや卵、カレーなど日本人好みの具材で味わう新しさ、そしてメインは牛肉だが、野菜もたっぷり食べられることが近年の健康志向や女性の好みに合い、評判に。関西の本店と2号店ではさっそく女性客のリピーターが付き、曜日問わず毎月予約が埋まっている状況で、テレビやグルメ誌などメディアでも取り上げられている。さらにまだオープンして一カ月の赤坂店でも、週一回ペースで訪れている客もいるそうだ。

今年始動したばかりの「手巻き焼肉 金の牛」だが、青山氏自身と飲食の歴史は長い。本人いわく「中学からロクに学校も行かず、悪い奴らとプラプラしてどうしようもなかった」時代を経て調理師免許を取得。最初は、父親から100万円の援助を受け、19歳でお好み焼き店を神戸で開業したが3年で閉店。20代前半は東京と神戸を行き来し、飲食チェーン店長や焼肉店勤務を繰り返して再び「プラプラした」状況に戻るが、25歳で「商売人として最後のチャンス」と父親に喝を入れられ、予約専門の高級業態、牛骨しゃぶしゃぶ店の「金の牛」をオープン(現在の「金の牛」の原型となる)。以上が、青山氏の飲食業界人生「夜明け前」期だ。これ以降、飲食店経営の勉強に日夜打ち込むが、当時、一般に浸透していなかったSNS、特にFacebook(以下FB)との出会いが青山氏の人生を切り開く。すでにFBを活用していた光山英明氏と知り合い、師事する。
光山氏の展開する「わ」の系列店で味わった「塩だけで食べるホルモン」に感動し、「炭焼塩ホルモン『あ』神戸酒場」をオープン。光山氏からの誘いにより31歳で「肉山 神戸」もFC店として開業した。両店ともに経営は順調だったが、「あ」をもっと展開したい、と光山氏に相談したところ「俺のマネをしているだけ。青ちゃんのためにならん」と叱責を受け、現在の「手巻き焼肉 金の牛」の発案・開業に至った。

それまで関わってきた肉の業態店と「手巻き焼肉 金の牛」の圧倒的な違いは、味にこだわりながらも、提供の際は高度な調理技術が要らないことだ。厳選した加工業者からスライス済みの良質な米国牛を仕入れ、営業中は包丁を使用しない。「僕が目指すのはみんなが使いやすく、頻繁に通ってもらえる店。それを多店舗展開したい。リーズナブルな価格が欠かせないです」と話す。一等地にある赤坂店だが、客単価は4300円に抑えている。
今後の目標は「33歳の僕は、まず牛角の西山知義さんが達成した『38歳で1000店舗』を超えたい。長期的には、真の焼肉文化を日本で広めていくことがミッションです」と語る。青山氏によれば、金の牛で扱う「プルコギ」は焼肉の一部と思われがちだが、日本の焼肉のルーツを朝鮮半島での発祥までさかのぼると、野菜と肉を炒めるプルコギから焼肉文化が始まったのだという。
「まずは金の牛を成功させる。そして、いつか麺業態もやってみたい。若い頃は両親や周囲の人に迷惑をかけ通しだった僕が、飲食業界に形を残すことが恩返しだと思っています」と話す青山氏の挑戦は続く。

店舗データ

店名 手巻き焼肉 金の牛 赤坂店
住所 東京都港区赤坂3-14-7 赤坂ステラビル5F

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アクセス 千代田線 赤坂駅から徒歩1分
銀座線 赤坂見附駅から徒歩6分
電話 03-3583-0029
営業時間 17:00〜翌1:00
定休日 年末年始
坪数客数 13坪・24席
客単価 4300円
運営会社 株式会社Origin to Growth
オープン日 2017年9月15日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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