世界でも有数のターミナル駅である新宿駅、その東側に広がる新宿三丁目エリアは、玉石混淆、数々の店舗や娯楽施設が集まり、大きな繁華街を形成している地域だ。その一角に、9月1日「UONOSU(ウオノス)」が開業した。雑居ビルの3階の階段を上ると、周りの喧騒が嘘のように感じられる隠れ家的空間が広がる。高知県から空輸で直送される鮮魚と、店内で手打ちする十割そばをウリとする居酒屋だ。オーナーは、現在28歳の橘内久米樹氏。新宿や渋谷などで「ラッツダイニング」を展開するドリームダブルコーポレーション(東京都新宿区、代表取締役:小林 貴志氏)を経て、新宿に「ラッツダイニング 新宿店」をフランチャイズとして開業し、26歳で独立を果たした人物だ。このたび、「ラッツダイニング 新宿店」至近に、オリジナルブランドである「ウオノス」を開業した。
既存店の「ラッツダイニング 新宿店」は、主に2軒目利用のお客をターゲットとする店舗。橘内氏は、その近辺でもう1店舗、1軒目使いができる店の開業を思い描いていた。ターゲットの異なる2店で棲み分けを図り、このエリアでドミナント展開をしたい考えだ。「ラッツダイニング 新宿店」から徒歩2~3分圏内で物件を探すなかで、出合ったのが現物件。スタッフ4~5名でのオペレーションを想定していたため、17坪ほど広さはイメージに合致し、さらに、どこに立ってもすべての客席に目が届くシンプルな長方形の形が決め手となり、契約に至った。
料理は板長の富山智司氏に一任。割烹などで研鑽を積んだ、現在24歳の気鋭の料理人だ。毎日、高知から空輸で仕入れる鮮魚は、おもに「お造り盛り合わせ」(1人前800円、2人前から注文可)などのお造りにして提供。もう一つの看板商品である十割そばは、国産そば粉を使い、店内で手打ちしている。「せいろ」「かけそば」(各800円)や「鴨南蛮」(1500円)「蓴菜ぶっかけそば」(1300円)などをラインアップ。そばは今後ランチでも提供予定だ。このほか、バーニャカウダを和風にアレンジした「蒸和ーニャカウダ」(980円)、1日5食限定の「匠の出汁巻きたまご」(1500円)、「天婦羅盛り合わせ」(2160円)などの天ぷら類、枡に盛り付け見た目にも楽しい「抹茶ティラミス」(750円)など、オリジナリティあふれる創作和食がそろう。ドリンクは、各地の蔵元から厳選した日本酒10品(1合800円~)をメインに、焼酎4品(640円~)、ウイスキー5品(540円~)、ビール、ワインなどをそろえる。
メインターゲットは30代~60代のサラリーマン。雑居ビルの3階でフリ客を多くは望めない立地のため、口コミで勝負をかけたいと橘内氏は考える。おもに1軒目利用の店として、回転率よりも単価を上げることに注力。単価アップのため、店内は居心地の良さを重視し、ゆっくりとくつろげるようソファ席の設置はマストとした。隠れ家のような落ち着いた空間に加え、前述した満足度の高い料理と合わせ、「ラッツダイニング 新宿店」の客単価が2000円なのに対し、同店では5000~6000円をめざしている。
今後は3年以内に3店舗の展開を目標とし、同様に近隣エリアで展開したい考えだ。「一緒に働いてくれる仲間の独立の夢を応援し、ともに成功を収めたい」と、営業が軌道に乗った店については、スタッフにその経営権を譲渡することも検討している。26歳にして独立し、着実なステップを踏んでいる橘内氏だが、若くして独立することに迷いはなかったのだろうか?「確かに、『若いのにすごいね』とはよく言われますが、ただ雇われて働くことが性に合わないだけなんです。自分にできることは何か?と考えたとき、飲食で勝負しようと思いました。私にはこれしかないんです」と笑う橘内氏。独立以前から飲食業界で培ってきた経験に、若い発想力を加えた店で、日本有数の繁華街・新宿で勝負を仕掛ける。飲食業界における新しい世代の台頭は、すぐそこまできている。
店舗データ
店名 | UONOSU(ウオノス) |
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住所 | 東京都新宿区新宿3-35-13 裕永ビル 3F |
アクセス | JR新宿駅 東南口、中央東口から徒歩1分、東京メトロ新宿三丁目駅から徒歩3分 |
電話 | 03-5341-4750 |
営業時間 | 17:30〜23:00 |
定休日 | 日曜日(日曜日を挟む連休などの場合は営業、連休最終日が休み) |
坪数客数 | 17坪25席 |
客単価 | 5000~6000円 |
運営会社 | 株式会社KITSUNAI |
オープン日 | 2017年9月1日 |