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路地裏の悪立地ながら高コスパ商品と密度の高い接客でファンを獲得。「魚と酒 はなたれ 新橋店」の営業戦略とは?

新橋駅から徒歩2分の人通りの少ない細い路地裏に立地する
以前は40年以上営業していたすし店だった物件。カウンター12席とテーブル8席を配置
ランチで提供する「生まぐろ丼」(700円)はディナー集客のためのキラーコンテンツ。+100円で写真のようにお茶漬けにすることも可能
ずらりと並ぶ焼酎は鹿児島から直送。あらかじめ水で割って数日寝かせる前割りで提供することで、まろやかな味わいが楽しめる
「魚と酒 はなたれ 新橋店」代表の西野譲氏

(取材=大関 愛美)


2003年に横浜で産声を上げた「魚と酒 はなたれ」。創業以降、横浜や都内で店舗を展開し、人気を博している居酒屋だ。経営はファーストドロップ(神奈川県横浜市、代表取締役:平尾謙太郎氏)。その「魚と酒 はなたれ」のフランチャイズ店として今年2月に東京・新橋に「魚と酒 はなたれ 新橋店」が開業した。オーナーは西野譲氏。オーイズミフーズを経て、ファーストドロップで店長職などを経験してきたが、同店の開業により独立を果たした。「はなたれ」ブランドの店舗は中型店が多いが、同店は10坪ほどの小ぶりな物件。本部運営には適さないと判断され、同店はフランチャイズ運営とすることになった。そこで「激戦区の新橋で勝負がしたい」と考えていた西野氏に白羽の矢が立ったというわけだ。

同店が立地するのは、新橋のなかでも1位2位を争うほど人通りの少ないと言われている路地裏だ。「ふつうにやっていたらお客さまは来ない」と考えた西野氏は、高原価でも商品力の高い品で集客をする戦略をとった。その方策のひとつが、ランチで提供している「生まぐろ丼」だ。生の本マグロをぜいたくに使用した一品で、一杯700円で提供。原価率は90%を超えており、利益は50円程度というから驚きだ。「この商品はディナーの販促費ととらえています。この『生まぐろ丼』をきっかけに当店を知っていただき、夜にも来店していただければ。とにかく人通りの少ない立地なので、認知度の向上が第一です」と西野氏。20席の店内で多い日は50杯を売るという。お客の満足度は非常に高く、狙い通りディナーの集客につながっている。ディナータイムでは、刺身を1切れ単位で提供しているのも同店の特徴だ。1切108円~(なめろうは15g64円)で11種をそろえ、お客にとって好きなものを好きなだけ、気軽に注文できるのが魅力となっている。このほか、名物のあてまきを18種(378円~)、青魚、活貝、マグロ、神奈川・佐島の旬野菜の料理など、酒に合うつまみを豊富にそろえる。魚は毎日、横浜の中央市場、築地市場、佐島市場から仕入れたものだ。ドリンクは、鹿児島から直送の焼酎を10種を用意し、あらかじめ水で割って数日間寝かせた前割りにて提供する。日本酒は、魚に合うものを厳選し12種。商品はすべて他の「魚と酒 はなたれ」とは異なるオリジナルのラインアップとなっている。ディナーメニューの原価率はおよそ45%で、価格は他店舗の7割程度に設定していることからも、商品力の高さがうかがえる。

店内は元すし店だった造作を生かしながら改装。カウンターなどはもとの形のまま、老朽化していた部分を中心に改修した。カウンターにはショーケースを設置し、その日の鮮魚を並べてアピールする。ずらりと並んだ焼酎のボトルも内装のポイントだ。「店内は10坪に20席を配置しており席密度が高いため、このお客さまとの距離の近さを生かした接客で、ファンを作っていきたい」と西野氏。一度来店したお客にリピートしてもらうことでも、認知度の低さをカバーしたい方針だ。

これらの営業努力が功を奏し、徐々に認知度が向上、3回転する日も増えているという。今後は近隣の新橋・銀座エリアでもう1店舗の開業が目標だ。いつかは独自ブランドの出店も夢見る西野氏。バリューの高い商品や地道な接客など、さまざまな方策を打ち出し悪条件の立地を克服する同店は、着実に繁盛店への道を歩んでいる。

店舗データ

店名 魚と酒 はなたれ 新橋店
住所 東京都港区新橋3-21-2江藤ビル1F

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アクセス JR新橋駅から徒歩3分
電話 03-6432-4170
営業時間 11:00~24:00(L.O.23:30)
定休日 日曜日
坪数客数 10坪20席
客単価 2300円
オープン日 2017年2月8日
関連リンク 魚と酒 はなたれ 新橋店(FB)
関連リンク ファーストドロップ
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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