2017(平成28)年度台東区観光統計・マーケティング調査によると、2016年の台東区の外国人観光客数は830万人を突破した。2012年が426万人、2014年が526万人なので、ここ数年で急激に観光客数を増やしている。中でも浅草は、浅草寺や仲見世通りなど、日本独自の文化を堪能できるとあって、訪れる外国人は多い。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さらに注目が高まるエリアに7月1日オープンしたのが「上州和牛専門店ぐんま育ち」だ。運営するのはJA全農(全国農業協同組合連合会)の事業会社の一つであるエーコープ関東(神奈川県横浜市、代表取締役社長 織田展男氏)。同社は「焼肉あぐり」というブランドを群馬県内で6店舗運営中だが、より「和牛」に特化したブランドとしての都内での展開は初めてとなる。
同店のコンセプトは、群馬県内の農畜産物のアピールだ。同県で育てられたブランド牛・上州和牛を中心として勝負を挑んでいく。実を言うと、上州和牛は群馬県内のHACCP(ハサップ)認定工場から欧米やアジアなどへ輸出している。欧米各国へ輸出するには、HACCP認定工場で処理を行なわないといけないが、国内には4つしかない。中でもEU(欧州連合)への輸出は、群馬県食肉卸市場が国内認定第一号を受けたため、「上州和牛」は世界にはばたく銘柄牛となった。こうした背景も踏まえて、インバウンドが好調な浅草で飲食店を出店し、さらなる認知度の向上を目指す。
メニューは「上州和牛 焼肉コース(10品)」(5000円)や「上州和牛 牛鍋コース(8品)」(5000円)、「上州和牛 焼きと鍋コース(10品)」(6500円)といったコースをはじめ、「本日限りの盛り合わせ(2名様盛り)」(400g 3480円)や「本日限りの希少部位入り盛り合わせ(2名様盛り)」(400g 4480円)などの盛り合わせが揃う。また「ハネシタ」(約150g 2800円)や「リブ巻」(約150g 3200円)、「イチボ」(約150g 2800円)といった「本日の希少部位」を塊肉で提供。日替わりであるだけでなく、フォトジェニックでSNS映えするとあって、どのメニューも人気が高い。希少な部位をはじめ、リーズナブルに幅広いメニューを提供できるのは、上州和牛を一頭買いしているからこそ可能であるのだ。
この他にも、「蒟蒻」や「もつ煮」、「すいとん」といった群馬県の郷土料理が堪能できたり、「利根きらり」といった米や「ブリックスナイン」というトマトなどの食材も群馬県より直送していたりするため、食を通して同県の文化に触れられる。特に米に関しては、水のアルカリ度や炊飯時の温度も徹底的にマネジメントをするなど、思い入れは強い。
アルコールは、「プレミアムモルツ 香るエール」(550円)や「プレミアム生ビール マスターズドリーム」(750円)などのビールの他、群馬県の地酒を数多くラインアップ。日本酒では「赤城山 純米吟醸」(一合880円)や「妙義山 本醸造」(一合680円)、「榛名山 本醸造」(680円)といった上毛三山から名付けた銘柄を中心に7種類が揃う。また、「麦の国(麦焼酎)」(500円)などの焼酎や日本ワインも豊富に用意されている。
近年、地方のJAグループ直営の飲食店が都内に進出するケースが目立つ。各地方自治体の自慢の食材が気軽に味わえるようになるにつれて、エーコープ関東のような企業の存在感がますます高まっていくはずだ。今後、同社は関東一円で1年1店舗出店を進める予定で、本年度は改装1店舗、新店1店舗に加えて、セントラルキッチンも設立する。また、JAファーマーズという産地直売所を併設したスーパーと一体化した店舗づくりも推し進めていく。都内進出を足掛かりにして、さらに勢いを増す「上州和牛専門店ぐんま育ち」。JAというバックグランドを生かしながら、飲食業界の六次産業化の在り方も提示している。将来、マーケットの中心にこうした飲食店があったとしても、何らおかしくはない。
店舗データ
店名 | 上州和牛専門店 ぐんま育ち |
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住所 | 東京都台東区浅草1-34-4 |
アクセス | 東武伊勢崎線・地下鉄銀座線浅草駅から徒歩3分 都営浅草線浅草駅から徒歩7分 |
電話 | 03-6860-0222 |
営業時間 | 11:00~22:30(L.O 21:30) |
定休日 | 第三火曜日 |
坪数客数 | 20坪×4階 105席 |
客単価 | 4700円 |
運営会社 | 株式会社エーコープ関東 |
オープン日 | 2017年7月1日 |
関連リンク | 上州和牛専門店 ぐんま育ち(FB) |
関連リンク | 上州和牛専門店 ぐんま育ち(HP) |
関連リンク | 株式会社エーコープ関東(HP) |