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中目黒高架下「原トリッパ製造所」が話題 リストランテ出身シェフがつくる“一流の味の居酒屋”

中目黒高架下のなかでもひと際目をひくピンクの暖簾と看板が目印だ
レンガと木材を使い、暖かみのある空間に。「“ただいま感”を出したかった」と原氏。店奥スペースは、人口芝生を敷き詰め、ソファとローテーブルを設置。子連れのファミリー客もくつろいで食事を楽しめるように配慮されている
小さなメロンの器がかわいい「生ハムのパンナコッタ」。原氏らしい遊び心が感じられる一皿だ
「トリッパもつ焼き」はマスタードをつけて。国産の生ハチノスは、希少で手に入りにくい。まずはシンプルに炭で焼上げたこの一皿で、違いを味わってほしい
オーナーシェフの原郁人氏。客との距離を縮めたいと、調理台とカウンターは一体に

(取材=望月 みかこ)


昨年11月22日にグランドオープンした「中目黒高架下」。ユニークな28のショップが立ち並び、中目黒の街に新たな風を吹き込んでいる注目スポットだ。そのなかでも、連日多くの人が押し寄せる注目店がある。トリッパ専門店の「原トリッパ製造所」だ。オーナーシェフは、白金「ルクソール」や恵比寿「イルメリオ」などのリストランテで腕をふるってきた原郁人(はら・ふみひと)氏。確かな経験と実績のある彼だからこそできる“ハイクオリティカジュアル=ハイカジ”を実現した同店。イタリアの郷土料理をベースにクオリティをどこまでも追求しながらも、カジュアルに楽しめるのが魅力だ。コンセプトは、“一流の味を提供する居酒屋”。「高架下だからこそできるガヤガヤ賑やかで気軽に立ち寄れるお店にしたかったんです」と原氏。イタリアにはトリッパ専門店を「トリッペリア」と呼ぶそうで、テラスに椅子やテーブルを並べて、ワインといっしょに軽い食事を楽しむ。イタリアのそんな光景を、日本でも。そんな想いを以前から持ち続け、今回の出店にいたった。

原氏が飲食の世界に飛び込んだのは、18歳のとき。高校球児で昼も夜も野球に明け暮れた高校を卒業すると、寿司屋を営む父からホテル「椿山荘」への入社をすすめられた。そこで料理人として洋食を5年。一流ホテルの厳しい厨房で切磋琢磨しながらも、料理の奥深さを知るたびに魅せられていった。23歳でマリオ・フリットリ氏が総料理長をつとめる東麻布「イルピノーロ」へ。さらに同シェフとともに白金台「ルクソール」に移り、センスと技を磨き続け、数多の食通たちをうならせてきた。そんな輝かしいキャリアを積みながらも内心、お客さんと距離の近い屋台や横丁をうらやましいと思うことも。「恵比寿横丁とか新橋の高架下の飲み屋さんとか、ふだんからよく行くんですよ。イタリアにもガヤガヤした屋台が集まる飲食街があって。そういうところってなんとなく落ち着くんですよね」。客から閉ざされた厨房に籠るよりも、一体となれる店を模索していたのだ。だから、「中目黒高架下」の話がきた時には即断したという。

同店がメインに打ち出すトリッパ。国産の生ハチノスを使っているため臭みがまったくない。それを煮こんだり、炭で焼上げたり、揚げたり、蒸したり、多様な一皿で提案する。「トリッパもつ焼」(650円)、「トリッパ煮込み」(680円)、「トリッパのセモリナフリット」(680円)、「トリッパサンド」(780円)など、トリッパ七変化を楽しめる。また、同店の魅力は、トリッパのほか原シェフの遊び心溢れるクリエイティブなメニューの数々にも存分に見てとれる。例えば、「生ハムのパンナコッタ」(800円)。見た感じはいたってシンプルなパンナコッタだが、一口食べると思わず「やられた」と笑みが浮かべてしまう。パンナコッタに生ハムの香りを移し、メロンのソースで仕上げ「生ハムメロン」をイメージしているのだ。ほかにも海のミルク・牡蠣をジェラートにした「牡蠣の再構築」(1000円)、トリュフとフォアグラを贅沢に使った「社長オムレツ」(1800円)など、口にするまで想像できない客を楽しませるオリジナルメニューが多数用意されている。

合わせるドリンクは、ビール、焼酎、日本酒、ウィスキーと一通り用意しているが、注目は日本ワイン。例えば、山梨甲州の原茂ワイン「一升瓶ワイン」(グラス500円〜)をはじめスパークリング(780円)やサングリア(600円)まで多く取り揃える。「作り手の個性が出るので、すごく面白いんですよね。『この人は真面目だなぁ』とか『やんちゃだなぁ』とか。(笑)」。自身ワイナリーにも足を運び、作り手と信頼関係を築く。それはワインに限らず食材も同じだ。お互い信頼できる関係を長年にわたって築いてきたからこそ、希少な国産の生ハチノスが毎日店に届くし、新鮮で良質な野菜をメニューで出せる。

原氏の気になる今後はというと。「これからも肩肘はらずに気軽に立ち寄れるお店をやっていきたいです」とのこと。すでに彼の中には、ヘルシーな地中海料理をテーマにしたオステリアというイメージがあるそうだ。「地中海って島国が多いんです。島国の食文化って欲張らないんですよね。そこにあるものをいかして食事をこしらえる。それが一番自然体でおいしくて健康なんじゃないかな」。おいしい料理とお酒があれば、そこに人は集う。店と客が一体となって楽しめる原氏の店ならなおさらだろう。“一流の味の居酒屋”が、次の街にも新たな魅力を加えてくれることを願って。

店舗データ

店名 原トリッパ製造所
住所 東京都目黒区上目黒3-5-22

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アクセス 中目黒駅から徒歩2分
電話 03-6412-7165
営業時間 平日17:30~23:30、土日16:00〜23:30
定休日 なし
坪数客数 30坪・40席
客単価 4000〜5000円
運営会社 ティーエッセンス
関連リンク 原トリッパ製造所(FB)
関連リンク ティーエッセンス(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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