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常時30種類のクラフトジンを提供する「THE DAY FOOD LAB 」
“クラフト”の魅力をローカルから発信

高円寺駅北口から純情商店街を入ってすぐのビル2階。スチール、ウッド、ストーンを組み合わせたスタイリッシュで空間はSUMAR WORKSによるもの
ビストロ料理をベースにした多国籍料理という同店のメニュー。素材をいかしつつ、ひとひねりを加えたメニューの数々からは同氏の高いセンスが感じられる。ワイン好きという菅原氏が厳選したワインも豊富に取り揃えられている
3~4人でシェアしていただきたい「ブラックアンガスビーフTボーンステーキ」(500g 3800円)は、炭火で柔らかに焼上げられた逸品
クラフトジン&トニックは、世界中から集めたマニアックな一本も含めて常時30種類以上を用意する
THE DAY FOOD LABオーナーシェフ菅原一生氏

(取材=今村 七海)


大衆的な居酒屋が多い中で、クラフトビールやこだわりのワインを提供する店が増えている高円寺。その中でも一風変わった「クラフトジン」をメインに置くのが、2016年6月、JR高円寺駅北口に新しくオープンした「THE DAY FOOD LAB(ザ デイ フード ラボ)」だ。

オーナーは高円寺の人気バル「ホエール」出身の菅原一生氏。地域に古くから根付く店、お洒落なカフェや気軽に入れる居酒屋、はたまたビールやワインなどオリジナルのコンセプトを持つ店など、とかく飲食店の多い高円寺でなぜ「クラフトジン」に目をつけたのか。「その地で愛される店を作るのに、ほかとバッティングして戦うのは違うでしょうと思ったんです。いろんな店がある高円寺では、その日の気分で店を選んで楽しめる。うちはうちで選んで頂けるような差別化をしようと。もちろん、もともとジンが大好きだったのも理由のひとつです。」

ドリンクはクラフトジンの他、海外のクラフトビールも常時4タップを提供。ワインなども様々なラインナップがあり、料理は定番メニューと日替わりメニューを楽しめるのが特徴だ。店名の「THE DAY」は、サーフィン用語で「その日限りの波、出会い」を意味する。その名のとおり「毎日その日限りの出会いがある」店と言えるだろう。

オーナーの菅原氏は秋田県出身。高校卒業後、飲食の世界に飛び込んだ。傍らでアパレルの経験もあり、トレンドの先端を走る面白さ、情報発信の力の強さに関心を持つ。その後、さらに高みを目指して東京へ。上京後はイタリアンリストランテで2年半キッチンとホールに立ち、その後高円寺のカフェ「マーブル」や、六本木ミッドタウンの「DEAN & DELUCA」など、ビストロやレストランなどで様々な経験を積む。スピードやオペレーション、原価管理など、経営に必要なことはすべてこの下積み時代に学んだ。「チームの人が皆とにかく格好よかった」と菅原氏は振り返る。当時はカフェ全盛期、テーブルモダンサービスの人々が時代の流れを作っていた。その影響は大きかったと言う。「店を開くにあたって、自分はイタリアン出身なのでスローフードの感覚が背骨にあったんですよね。その流れでクラフトを大事にしたいと思いました。食のトレーサビリティやフード・マイレージ、作り手が見える安心、安全。そういったクラフトの良さや楽しみを発信していきたいと考えたんです。」

ドリンクでメインに打ち出しているのはジンだが、そればかり飲んでもらいたいとは思っていないと言う。「例えば最初にビールを飲んで、それから食事に合わせて赤白ワインなどを飲み、最後にジン。食後は口直しに珈琲で〆る。そんなふうに楽しんで頂けたら最高ですね。やはり料理にはそれぞれ合うお酒がありますから。ワインなどはお客さんと好みを相談しながらお出しすることが多いです。」自分が飲んで美味しいと思ったものだけを提供したいから、種類の多さでは勝負していない。ただし、その分ラインナップされているドリンクの美味しさは本物だ。

来店時繋がっていたクラフトビールはスコットランドのBREW DOG(ブリュードッグ)DEAD PONY PALE ALE(デッド ポニー ペール エール/ 330ml・473ml/700円・1000円)、他3種。クラフトジントニックは3種テイスティングセットがあり、気になるもの、オススメのものと好きなように選べる。今のオススメはMONKY 47(モンキー47/ベース30ml+トニックウォーター100ml/1000円)。普通ジンと言えばベーススピリッツに4種類程度のボタニカルを組み合わせるが、モンキー47はなんと47種類ものボタニカルを組み合わせている。相当な曲者かと思いきや上品な香りで飲みやすく、特に女性に好まれやすそうな味だ。ほかにも米や山椒など和の材料をふんだんに取り入れてつくった京都蒸留所のKINOBIも仕入れ、国内のクラフトジンをいち早く提供していく。ワインは現在アメリカワインの仕入れを増やしており、一押しはオレゴンワインの赤白(125ml/700円)。

「THE DAY」のクラフトジントニックには、トニック本来の味が味わえる「フィーバーツリー・トニックウォーター」をメインに使用(ジンの種類によっては別のトニックウォーターを勧めることも)。数種〜数十種類のボタニカルを組み合わせて作られるジンは、それぞれのエッセンスを引き立てるトニックウォーターが重要な役割を持つからだ。

料理は、これまで世界各国の料理を作った経験を生かし、ビストロ料理をベースに異国情緒を加味。「カンパチと焼き茄子のタルタル(日替わり)」(700円)や、「サンマのシチリア風リングイネ」(1000円)など、ひとひねりを加えたものが目立つ。食材は市場や地元の魚屋、農園の野菜などを厳選。仕込みは丁寧に時間をかけ、提供のスピードを早くすることを心がけており、真空調理やオーバーナイトクッキングなどを取り入れたものも多い。「THE DAY」だからこそ伝えられる、クラフトの良さを追求している。

10年後20年後にどんなお店になっていたいかと尋ねると「多店舗展開とかは考えてないですね、このままで。」と菅原氏。“クラフト”や“食の安心・安全”を地から人に伝えられる店を実現するには、必ずしも店舗数を増やすことが正解ではないと考えている。まだまだ海外の方が進んでいる中でどれだけ伝えていけるか、高いお酒をいかに手に取りやすい価格で広げるか、皆が普段使いできるギリギリの価格でサービスを提供していくにはどうすべきか、そこを極めていきたいとのこと。「もし10年後にクラフトジンが流行っていたら辞めますね。次の新しい提案をしていきたい。生姜焼きの上手い定食屋をやろうかな。」と、あっけらかんと笑った。屈託のない笑顔の中に、常に真剣に先を見据え、新しいもの・本当に良いものの良さを伝えていこうとする菅原氏の強い想いが垣間見えた。

店舗データ

店名 THE DAY FOOD LAB (ザ デイ フード ラボ)
住所 東京都杉並区高円寺北3-23-11 アンシャンテビル 2F

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アクセス JR中央・総武線 高円寺駅から徒歩2分
電話 03-5356-8900
営業時間 ランチ 12:00-14:30(L.O)
ディナー 18:00〜翌1:00
定休日 なし
坪数客数 13坪・24席
客単価 4000円
関連リンク THE DAY FOOD LAB(FB)
関連リンク THE DAY FOOD LAB(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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