酒販店「神田小西」を運営する小西(東京都千代田区、代表取締役 三澤佳秀氏)が同社の飲食店3店舗目となる「和酒バル ENISHI(エニシ)」を6月1日出店した。地下鉄神保町駅出口へと続く裏路地、老舗喫茶店「さぼうる」を目の前にしたビルの2階で、3階には個室を構える。「日本酒をおしゃれで身近なお酒として楽しむ」をコンセプトにした同社初の日本酒業態は、あえて洋食をマッチングさせ、新しい価値観と日本酒の懐の深さを見せている。
同社は小川町に「ワインホール神田小西」、「角打ち神田小西」と2軒のワイン業態を出店させ、連日満席となるほどの人気となっている。そんな両店舗を実質的に運営する同社の三澤一水さん(常務取締役)は、2店舗目の「角打ち神田小西」を2013年に出店した頃からすでに日本酒業態を考えていたという。三澤さん自身、ワイン同様に日本酒好きと言うこともあるが、「角打神田小西」での“日本酒と肉”イベントなどでの手応えからも実感していたという。そんなリアルな経験から洋食とのマッチングという新しいスタイルをテーマにした日本酒、和酒専門店の出店を決めたのだ。
同店では、香りタイプにはブルゴーニュワイングラス、味わいのしっかりとしたライプにはボルドーワイングラス、スパークリング日本酒はシャンパングラスといったよう日本酒のタイプに合わせすべて、ワイングラスで提供している。それは、それぞれの日本酒の個性をしっかりと味わって欲しいということ共に、女性がもっと日本酒をおしゃれに楽しんでほしいとのこだわりだ。そしてもう一つのこだわりは、一つの酒蔵で醸される日本酒のスペック違いやバージョン違いを揃えていることにある。アルバム仕立てのメニューでは各蔵元を写真付プロフィールと提供銘柄の詳細を紹介している。「日本酒を飲む時にその蔵が醸す日本酒をいろいろと飲んで、酒造りへの取り組みや日本酒と向き合う蔵の姿勢を知って欲しい」という三澤さん。そこには歴史を継承し、日本酒文化を伝承していくため日々日本酒造りに邁進する酒蔵との信頼関係を繋ぐ業務用酒販店としての本来の役割があるからだ。
扱う日本酒は、福島を代表する「大七酒造」、「惣誉酒造」、車坂の「吉村秀雄商店」、龍力の「本田商店」、四国の「司牡丹酒造」、人気の獺祭で知られる「旭酒造」など直接取引のある11蔵から。基本100mlで価格は500円〜。ほかにも20種類近くの日本ワイン(グラス600円〜/ボトル3200円〜)、焼酎(500円〜)、ウィスキー(600円~)など国産にこだわった和酒を提供している。特に日本ワインに関しては偏見を持たずに飲んで欲しいという。
マッチングさせるフードは「最上級ブラックアンガス牛ハラミステーキ」(1850円)、「もち豚の肩ロースのシンプルな炭火焼」(1200円)、「合鴨の胸肉のロースト」(1400円)などのシンプルに焼いた肉料理。なかでも東京には珍しい八王子にある牧場、菱沼ミルクファームから届く限定の羊の「菱沼ミルクファーム産 羊ロースト」(2000円)は自慢の一品だ。ほかには「パクチーとマッシュルームとクレソンのサラダ」(800円)、「フォアグラのテリーヌ」(800円)、「本日のカルパッチョ」(1000円)などイタリアン、フレンチをベースに馴染みのあるバル料理を揃えている。日本酒には和食だけではない、新しい味との出会い、未知数な魅力を感じさせるメニューとなっている。
今後も酒販店、飲食店として、それぞれの立場、役割を踏まえながら、気軽に楽しめる日本酒、日本ワインの啓蒙を目指す三澤さんの次の店に期待である。
店舗データ
店名 | 和酒バル ENISHI(エニシ) |
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住所 | 東京都千代田区神田神保町1-9 小林ビル 2・3階 |
アクセス | 東京メトロ神保町駅A7出口より徒歩30秒 |
電話 | 03-3259-8880 |
営業時間 | 17:00〜23:30 |
定休日 | 日・祝日 |
坪数客数 | 20.28坪・2階34席(カウンター6席、テーブル28席/3階10席 |
客単価 | 4500円〜5000円 |
運営会社 | 小西 |
関連リンク | 和酒バル ENISHI(FB) |
関連リンク | 小西 |