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日本酒・肴・細巻の相性を追求した「あてまき喜重朗」が、立川に5月26日オープン。地元・立川から和食で海外を目指す

背をかがめて入る小さな入り口が目印。一人でも食事を楽しめる落ち着いた大人の雰囲気だ
カウンター18席のみの店内。茶室を連想させる低い椅子とカウンターが印象的だ。オーナーの稲垣氏があてに合わせて日本酒をすすめてくれる
同店のキラーコンテンツ「あてまき」。写真は、クリームチーズの味噌漬けとサーモンを巻いた「フィラデルフィア」(手前・680円)とネギトロとたくあんの「トロタク」(奥・600円)。合わせる日本酒は、東京福生市の酒蔵・田村酒造場の「田むら」。穏やかな香りとフルーティな味わいが、あてまきと相性抜群だ
「あての3点盛り合わせ」(880円)。この日は、中央から時計回りに「サザエのうま煮」、「合鴨の土佐煮」、「アボカドの西京漬」が供された。どれも丁寧に仕上げられた優しい味わいが感じられる
オーナーの稲垣将午氏とスタッフとして店を手伝う奥様の稲垣優さん

(取材=望月 みかこ)


新宿から30分、都内の一大ベッドタウンの立川は、駅前を中心に大規模な再開発が行われるなど、注目が高まるエリアだ。周辺には一橋大学や中央大学などのキャンパスもあり、学生やファミリーが多く住まう街でもある。そこに5月26日オープンしたのが、「あてまき喜重朗(きじゅうろう)」である。JR立川駅北口から徒歩5分。駅前の商業施設や商店街とは少し離れた静かな路地に店を構える。同店オーナーの稲垣将午氏が追求するのは、和食の神髄とも言える寿司と日本酒の合わせだ。稲垣氏いわく「『あてとは何か?』という問いからはじめました。日本酒のうまみと、同じうまみを持つ発酵食品のあて(=肴)を細巻にした“あてまき”に行き着いたんです」と語る。独自に生み出した“あてまき”というメニューが評判を呼び、すでに常連客で連日席が埋まる人気店としてその地位を築きつつある。

同氏は高校を卒業してすぐにアメリカへ留学。ロサンゼルス近郊のオレンジカウンティで英語を学びながら、地元の鉄板焼き店でアルバイト始めたのをきっかけに飲食の道に入った。その後、寿司屋で板前として和食の腕を磨いてきた。そんな時、突然の父親の他界。さらに、母親が体調を崩したという知らせが入り、帰国を決意。帰国してからも飲食を続けたいという想いが強く、いつしか自分の店を持つという目標を抱くようになった。あらためて日本のサービスを学び直すために、幼なじみの保村良豪氏(マザーズ代表)の「伍楽」で2年間ホールスタッフとして入った。そして、今年5月、念願の独立店をオープンさせた。墨色の大きな箱のような外観に、背をかがめて入る小さなにじり口が一つ。杉玉が下がる入り口を通ると、18席のコの字カウンターのみの店内が広がる。「ファミリーなどのグループ客向けの店が多い立川でも、一人で気軽に飲みに行ける場所を作りたかった」と、お客とのコミュニケーションがとりやすいカウンターにこだわった。
                                               
同店のメインメニューを、肴を巻いた細巻“あてまき”にした理由は、アメリカでの飲食経験にあるという。「アメリカの寿司屋で働いていた時、巻物がとても人気でした。ですが、あるのはカリフォルニアロールなどの海外生まれのものばかり。そこで、本物の寿司の味を海外のお客さんにも知ってほしいと思い、巻物をもっと追求してみようと思たんです」と語る。さらに、巻寿司を細巻にすることで、つまみとしてライトに食べられるメニューを創り上げた。

同店のメニューは、あて、造り、酒肴、あてまきの4つのカテゴリーから構成される。あてとしては、「3点盛り合わせ」(880円)、「サザエの旨煮」(500円)など一口二口で食べられるつまみを、酒肴としては「エビ春巻きとポン酢のサルサ」(400円)、「牛タンの味噌漬焼き」(780円)などもう少しボリュームがあり、海外の要素も加えてアレンジした創作料理を、そして、あてまきには「鯛わに」(450円)、「カキ味噌」(400円)、「うなぎクリームチーズ」(580円)、「フィラデルフィア」(680円)など全12種類を用意する。どの料理も季節感を重視し、旬の食材をつかった創作性あふれるメニューとなっている。

合わせる日本酒は常時30種類に加え、特別に稲垣氏が選んだ季節の酒などの“隠し酒”も揃える。グラス(半合)450円、一合800円均一。「黒龍」(福井・黒龍酒造)や鍋島「伯楽星」(宮城・新澤醸造店)などの人気銘柄のほかに、「るみ子の酒」(三重・森喜酒造場)や「喜多屋」(福岡・喜多屋)など、エッジの効いたセレクトが他店にはない魅力を添えている。

稲垣氏に今後について尋ねると「日本酒や和食を通して、海外とつながっていける店にしたいです。外国のお客さんが頼りにする店になりたいですね。3年を目処にここを軌道にのせて、それ以降は国内だけでなく、私が飲食をはじめた西海岸にもお店を出したいです」と。そして、スタッフにも飲食という仕事を通じて、語学力やコミュニケーション力をつけて、海外へと発信できるようになってほしいと願っているとも。世界的に注目が高まる和食。地元・立川から海外へ、稲垣氏の新たなチャレンジはいま始まったばかりだ。

店舗データ

店名 あてまき喜重朗(きじゅうろう)
住所 東京都立川市曙町1-30-15

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アクセス JR立川駅から徒歩5分、
多摩モノレール立川北駅から徒歩3分
電話 042-595-9885
営業時間 16:00〜翌1:00
定休日 日曜日
坪数客数 8.4坪・18席
客単価 4500円
関連リンク あてまき喜重朗(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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