3月にオープンした「東急プラザ銀座」や11月に完成予定の松坂屋銀座店跡地の複合ビルなど、銀座の変化が目覚ましい。インバウンド需要の高まりと歩調を合わせるかのように、多くの外国人旅行客も付けており、日本の中心地から、世界で勝負できる街へ変貌を遂げようとしている。そのような銀座エリアに、7月1日オープンしたのが「きたいち酒場」だ。同店が店を構えるのは、「東急プラザ」も建つ交差点の斜め向かいにある銀座クリスタルビルの9階。運営するのはgood table(グッドテーブル、東京都新宿区、代表取締役 小田嶋直生氏)で、同ブランドの展開は初めてとなる。
同社取締役の山田淳愛氏は、同店のオープンの経緯について「もともと当店は、有機野菜を使ったベジ割烹料理店でした。おかげさまで、お客様には好評をいただいておりましたが、銀座という立地を生かして、よりインパクトがある業態をしてみたいと考えていました。そんな時、あるセミナーで、北海道の根室から現地の食材を直送している方と出会います。銀座という都会の真ん中で、北海道でしか食べられない新鮮な食材を提供できたら面白いな。そう感じて、業態のコンセプト作りが始まり、当店が誕生しました」と話す。同店には、カニやウニ、イクラなどの北海道を代表する食材はもちろん、東京では手に入れることが難しい食材も揃う。こうした高い商品力から「発信力がある銀座で、日本の食材の魅力を世界に広げていく」というコンセプトも導き出されているという。
しかし同店の売りは、食材だけではない。キラーコンテンツと現場力の二軸で、顧客満足度と従業員満足度の向上を実現。銀座という競争の激しいマーケットで勝ち残る体制を緻密に作り上げているのだ。山田氏は「キラーコンテンツを提供することで、顧客満足は上げることができるでしょう。しかし、それだけではお客様が満足する店は作れません。本当の意味で魅力的な店にするためには、従業員の満足度も上げる必要があるのです。そのため当店では、現場で働くスタッフの自主性を最大限に尊重しています。扱う商品に対する自信をはじめ、自らの力が発揮しやすい環境にやりがいを感じてもらったおかげで、現場の力は、以前に比べて格段に上がったのではないでしょうか」と語る。
北海道の食材を使用したメニューが並ぶ同店には、いくつものキラーコンテンツが並ぶ。中でも「超名物!かにぶっかけ出汁巻玉子」(980円)は、オーダー率が9割を超える人気商品である。「ヨイショ!」というスタッフの掛け声に、客が「ヨイショ!」と応えながら、出汁巻玉子の上にかにが乗せられていく。その掛け合いが店内に活気をもたらして、一つのテーブルで注文が入ると、連鎖的にオーダーが起きるという。この他にも、「漁師町の刺身三段板盛」(一人前 980円)や「濃厚特大『元祖北海道』のほっけ焼」(1999円)、「いくら刺」(880円)など、舌だけでなく目で見て楽しめるメニューが揃う。ドリンクについては、「男山」(一合 620円)や「国士無双」(一合 650円)などの北海道の地酒のほか、ビールやサワー、ハイボール、本格焼酎と幅広いラインアップとなっている。現在、顧客の中心は、銀座周辺で働くビジネスパーソンであるが、客単価は4000円とリーズナブルなので驚く。おいしい料理を格安で楽しめるのが、同店の人気を支える一つの要素でもある。
今後のビジョンについて、山田氏は「当ブランドには、大きな可能性を感じています。銀座だけでなく、赤坂や新橋など、他のエリアでも勝負していくことができるでしょう。まずは4店舗体制を実現して、その後はフランチャイズ展開に挑戦したいと考えています。そのためにも、現地の生産者の方との繋がりを強くして、さらに魅力的な食材を発掘していくつもりです。北海道の食材の発信地として、当ブランドが機能していくように、より力強い体制を整えていきます」と話す。高い顧客満足度はもちろん、従業員の満足度にも配慮することで、高い発信力を実現した「きたいち酒場」。同社の取組みは、今後の飲食業界のスタンダードになっていくだろう。キラーコンテンツと現場力で同社が切り拓く地平は、まだまだ広がっていきそうだ。
店舗データ
店名 | きたいち酒場 |
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住所 | 東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル9F |
アクセス | JR有楽町駅銀座口から徒歩1分 地下鉄 銀座駅 B10番出口から徒歩1分 |
電話 | 03-5524-5288 |
営業時間 | 月~木・土日祝:17:00~23:30 金・祝前日:17:00~4:30 |
定休日 | なし |
坪数客数 | 61坪・90席 |
客単価 | 4000円 |
運営会社 | 株式会社good table |
関連リンク | きたいち酒場(FB) |
関連リンク | good table(HP) |